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乙女よ。その扉を開け  作者: 雪桃
第三幕
80/164

情緒不安定な主人公もいるよね多分

一つ言っておくんですがこの運動会終わったら下書きがあらんことに迷走しているので不愉快になる方は見ないことをおすすめします。

紫ちゃんが病んでっちゃうし(そんな主人公いんのか)

「ねえひいちゃん。補欠として出てくれな……」

「出る!!」


 先程の弱気な紫はどこへやら。体育委員のクラスメイトが紫を呼びに来たのだ。何でも騎馬戦の騎手の子が怪我をしてしまい上に乗ることのできる者が紫以外にいなかった。病み上がりでも元気に走る紫を見て声をかけたらしい。案の定体が怠ってイライラしていた紫にとっては喜び以外の何者でもない。


「そ、そう? なら招集が始まってるから急いで」

「はーい!」


 楽しそうに鼻歌をしながら招集場所に急いだ。


「ひな。ゆかってたまに情緒不安定になんない?」

「今更」


 常習犯だった。

 招集場所にて。紫が乗る騎馬は一つ上の学年だった。という訳で一応やまに伝える。


「別にあいつら鬼じゃないから上下関係とか気にせずやれよ」

「いや流石にそこは気にします」


 だが紫と同じように全員体育会系で気があった為、競技前から険悪(けんあく)にならずに済んだ。ついでにやまが『ゆか』と呼んだのを聞いていたらしい。


「ゆかちゃんは攻めたい? 守りたい?」

「攻めたいです。とりあえず女性軍を全滅させてから男共を蹴散らします」

「あはは! ゆかちゃんそんな可愛い顔して凄いこと言うのね。オッケーよろしくね騎手さん」


 騎馬戦は一試合二試合では無く、全ての騎馬を一斉に戦わせ、残った者達で一騎打ちするというルールだ。


「ゆかちゃん軽すぎない? 体重かけてる?」

「全体重かけてます」

「もう少し肉つけた方がいいかもね〜」


 無駄に体力を消費させないように後方二人の肩に尻を乗せる。見晴らしが良くなったおかげで視界もはっきりした――紫は身長が低いせいで普通に立っていると見えない。


(とりあえず最初は近くにいる騎馬三つ倒して間を縫ってもらって移動中にハチマキ奪って)


 一騎打ちは紫も勝てる自信が無い。図体(ずうたい)のでかい敵チームの大将に襲われたら体格差的にハチマキだけじゃ済まされない気がする。

 というか敵の中にしんくらいの身長プラスあのボディービルダーとも思われるような筋肉で何故騎手がいるのか凄く聞きたいのが紫の本音だった。全滅させる気でいた紫は始まる前から挫折しそうになった。


『それでは始めます。よーい』


 ピストルが鳴って喧騒(けんそう)が戻ってきた。紫は最初全員動かないで様子を見るのかと思って重心を後ろに置いていた為、走り出す騎馬からすっ転げそうになった。


(あっぶな! もう少し油断してたら折角の競技で成果なしのところだった)


 先に作戦を言ってあったので騎馬は敵をすり抜けて弱そうなチームに行ってくれた。


「え、ひいちゃん?」

「や、やっほー。バイバイ」


 偶然友達と当たったが紫に慈悲なし。逃げようとする敵の隙をついてハチマキを奪い取る。そのまま狂気的なスピードで傍にいた敵を一掃(いっそう)していく。


「あ、あの子もうハチマキ取ること以外頭にないでしょ」

「仕方ないよ。出たくて我慢できなかったんだから」


 ついでに情緒不安定も足されていたのか目が大分病んでいる。


「フフフ。もう大将以外全員壊しちゃいましょうか」

「わか……壊す?」


 紫の言葉に首を傾げながらも一対一で戦っている所の援護に向かう。


(ああ楽しい! もっと戦いたい!)


 ひょい


「ひょい?」


 紫は宙に浮いたような感覚に襲われて、考える暇もなく地面に尻から落ちた。その時に強く舌を噛んでしまい少し血が出た。


「ふん」


 ハチマキを多く取っていたことで大将に目をつけられていたらしい。


「殺す」

「ひな落ち着いて! 異能漏れてるから!」


 紫を傷つけた怒りで雛子の膨大な魔力が外に出てきた。


「敵の私達が言うのもなんだけどあれって反則じゃないの?」

「振り落とすだけなら。ちゃんとハチマキ取ってるしそのついでに落ちたって解釈されるんじゃないか」

「あんなちっちゃい子に大男とサシで勝負して勝てなんて無理に決まってんでしょ」


 だが紫だけでなくあの巨体に勝てるものなどいなく、結局白の勝ちとなった。




「ゆか、あーん」

「あー」


 すぐ治るとしても雑菌が入るといけないので念のためしんが舌に専用の消毒液を塗る。


「うにゅう〜」

「苦いけど我慢。もうほとんど治ってるから痛みはないと思うけど」


 紫が怪我をしたのは見られていた為、捻った足に一応湿布を貼っておく。


「……る」

「ひなみ?」

「あいつのデータ全部収集してやる。異能で恐怖与えてハッキングして」

「犯罪犯罪」


 雛子の怒りは収まっていなかった。

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