表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女よ。その扉を開け  作者: 雪桃
第二幕
18/164

急げ

めっちゃ短いです。きりが良かったので。

「あさが行方不明!?」


 里奈の驚いているのか怒っているのかよくわからない大声が社内に響いた。


「何考えてんのよあんた! 一人で充分だって言ったからあさだけ行かせたのにヘマやらかしてんじゃないわよ! 後でたっぷり絞るから覚悟しときなさい!!」


 受話器を乱暴に置いて里奈は肩で息をした。


「社長が怒ると目上でも容赦なしだからなー」


 あやが今電話の向こうで怒られていた警部に同情の合掌をしている内に里奈は全員に命令を下した。


「とにかくあさがGPSを作動させてくれてるし捜索に行きましょう。私とあや、ひよで良いわ。ゆかとやまは事件現場で調査。警部に直談判してきなさい。他は万が一に備えて待機」

「「「了解」」」


 全員が割り当てられた役職に入った。


(あさ。あなたは何があろうと殺させない。木葉として帰れるまでは)




「にい……ちゃ……やめて」


 爪が肉にくい込むほど首を掻きむしりながら喘ぐあさを見下ろす。


「すごい精神力ね。常人は三十分経ったら死ぬか自殺しようとするのに。丈夫ね」


 心はほとんど飲み込まれてはいるものの目には戦意が残っている。


「……っ。はぁ、はぁ……ま、マフィア……たお……た……ぐぅ……」


 黄色く鋭い獅子の目が茜を睨む。


「闇に落ちたくせに光を求めて私と同じなのに一人だけのこのこと幸せに生きて。探偵社よりこっちの方がお似合い。あんたは……あんたなんか!!」


 苛つく声を出して茜はあさの腹を蹴った。


「あ……」

「げほっ! う、うぇ……」


 茜はその場で固まった。


(こんなに感情を出したのはいつ以来だろう)


 倒れ込み咳き込みながら涎を垂らすあさの顔を見る。すると前髪に金色の髪が混ざっているではないか。少し触れてみると地毛だと思っていた者は落ちて、長いブロンドが姿を表した。


「……」

(いや違う。あの子とは名前があってないじゃない。あの頃のことを思い出すな)

「ねえ浅葱。あなたがもし私のことを知っていたらあの子のように仲良くしてくれた? 味方に……そんなのもういらないけどね」


 嘲笑いを浮かべてあさを本部へ連れていこうとしたその時だった。


「――っ!」


 殺気を感じて素早く銃の引き金を引く。


「あら凄い。流石はマフィアの暗殺者部隊幹部。殺気には敏感なのね、幻覚の死神さん?」


 時を止めて里奈は弾を握りつぶした。


「……百目か」


 里奈の後ろに控えているひよを睨む。


「異能を使いたければ好きにすればいい。どうせこの女は死ぬ。破壊神がいればまだ対処できたのにいないみたいね」

「あんた達の狙いはゆかでしょう?あんたを倒してから連れていくわ」

(そんな暇、こいつにあるかしら)


 茜は機関銃を二丁取り出した。


「特別事項。異能者抹殺開始」


 そう言って茜の銃弾が絶え間なく襲いかかる。


「異能・時雨の化」


 その場で弾が全て落とされる。


「ひよ、あや、隙を見てあさを連れてきなさい。急がないと手遅れになるわ」

「はい!」


 里奈は隠し持っていたナイフを異能で増やし、一斉に襲いかからせた。


「行け!!」


 あやとひよは持ち前の体術であさの方へ向かった。


「あさ!」

「お、にい……ちゃ……もう……」


 あさの目が虚ろになって来ており焦点も合わなくなってきている。


「本当に急がないと。命が見えなくなってきてます!」


 反対の出口の方へ向かった。


「行かせな……」

「余所見とは良い度胸ね」


 こめかみ辺りにナイフを掠め血が流れる。


「ちっ!」

「あさを死なせるわけにはいかないわ。あの子にはまだやらなければいけないことがあるのだから」


 あやとひよは雑木林を分け進み走った。

次であさちゃんは終わります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ