プロローグ
同時進行で行います。
「暇」
制服に身をつつんだ少女は椅子を三つ並べて寝そべっていた。
「暇。暇。暇暇暇暇暇暇暇暇暇ひ」
「うるさい」
もう一つの少女より少し低い声が呪文なるものを諌めた。
「君は暇では無いのかね? あさとん君」
「ワトソン君みたいに言わないでよ。普通にあさと呼べないの? そうね〜暇と言われれば暇だけども」
少女の目が獲物を捕らえたとでもいうように光った。
「あささんや〜しりとりをせんか〜」
「婆さんか。まあいいでしょ」
「じゃあしりとりのり」
「リア王」(シェイクスピアの作品の一つ)
「海」
「ミオマンドル」(十九世紀~二十世紀のフランス小説家)
「る……ルール! どうだ、返してやった……」
「ルアーブル」(フランスの海港都市)
「う、うぅ〜る、ルビー!」
「ビール」
少女はがくっと頭を突っ伏した。
「もう……無理」
「あらまだあるのに? ルーとかルーアン種とかルーアン大聖堂とか」
「全部フランスのやつじゃん! そこで外国部分出さなくていいよペチャパイあさちゃん!」
あさちゃん――浅葱こころ――はこめかみ辺りに青筋を立てて少女の方に向かった。
「今何て言ったのかな〜あ・や・ちゃん?」
「ペチャパイ」
あさはあや――秦彩乃――の首を鷲掴みにして殺意をあらわにした。
「だ・れ・が・ペチャパイじゃごら――!! お前には言われたくねえんだよEカップがっ!」
「好きでおっきくなったんじゃ無いですよ〜だ。ペチャパイはペチャパイらしく引っ込んでてくーださーい」
あやの首に置いていた手にあさは力を込めた。
「一回殺す! 土に還らせてやるぅぅぅぅ……」
「落ち着けあさ。後お前らペチャパイだ何だってでかい声で言うなよ」
「黙れやま。女の戦いに入んじゃない!」
「ほんとにKYよね、やまは。あら、まさとしんもいたのね」
「お前らなんでそんなに人の当たり方が変わるんだ」
色々と困惑してしまった人もいるだろうから説明をしよう。
まずここは桜川高校・通称桜高。そんな学校の一角には誰も使っていない無人の教室があった。
そここそが探偵部の聖地・五-一だった。
探偵部には五人の部員がおり、それぞれの特徴を話すときりが無いため簡単に紹介。
まずは部長二-一 秦彩乃。
副部長三-三 浅葱こころ。
二-二 大山俊。
三-一 白川真一。
三-三 白川正一。
彼らは探偵部として生徒の悩みを解決していく。探偵部は他生徒からこう呼ばれていた。
〜闇を抱える人間達〜
彼らに舞い降りる謎は何でしょう。
次から本編始まります