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ロワールハイネス号の船鐘  作者: 天柳李海(旧・天竜風雅)
第2話 かけがえのないもの
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2-19 駆け引き

 話は少し前に戻る。


 ストームがシルフィードを容赦なく傷つけているのを見たシャインは、櫂を握りボートを静かに動かした。ロワールハイネス号の船首部から船尾の方へ――正確には船体の中間にあたる舷梯(甲板に上がるための足場)へだ。



「待って。今あなたが行ったところでどうするのよ! 無駄に捕まっちゃうだけだわ」

ロワールはオールを握るシャインの腕をとった。

「ただで捕まりはしないよ」

「……えっ?」

 そう答えたシャインの声のトーンがいつもと違う。

 甲板に聞こえることを恐れたせいで口調を潜めているのとは違う。ロワールはそれが気になって、シャインの顔を覗き込んだ。

 夜の闇のせいでどんな表情をしているのかはわからなかったものの、彼が何らかの決意を胸に抱いていることは確かだった。


 決意? 

 いや、そんな生易しいものではない。

 彼はもうそうすることを決断して実行している。

 これは覚悟だ。

 だが、一体何の?


 そこまでしかシャインの心を見通せなかったロワールは、いいようのない不安に駆られた。

 どうしても彼を止めるべきだと、頭の中で誰かが痛くなる程叫んでいる。


「シャイン、やめて。行かないで。みんなのことは私に任せて。あなたは助けを呼びに行くの! それが、みんな助かる確実な手だわ」

「ロワール。君の言う事は正しいし、もしもの時、君なら錨を引きちぎってでも、船を動かしてくれるだろう。けれど、時間がないんだ。あの雰囲気だと、奴等はみんなをどこかへ連れていくかもしれない……君ごとね。それだけは避けたいんだ。俺は艦長だから、自分の務めを果たさなければ。部下や船が危険にさらされているのに、逃げるわけにはいかない」


 シャインはロワールに語りかけながら、自分にもそう言い聞かせているようだった。

 いつもと同じ穏やかな口調。彼女を心配させまいと意識してのものだ。

 けれどロワールは、自分にそう思わせたいというシャインの意図に気付いていた。


 安心させて、結局ひとりで行ってしまうのだ。

 彼は嘘をつくのが上手だから。

 海賊が船ごとロワール号の水兵達をどこかへ連れ去るなど、なんて最もらしい言い訳だろう。

 誠実そうな外見とは裏腹に、彼が時として驚く行動に出るのをロワールは知っている。

 彼は何かをしようとしているのだ。みんなを助けるために。


 ロワールはシャインの腕から手を放した。そのまま彼の両頬へ手を伸ばし、その顔を自分の方へと向かせた。

 やっぱりそうだ。

 シャインは痛い程ロワールを見つめていた。辺りが暗いせいで表情までわからないと思っているようだが、彼の頬のひやりとする冷たさや、きつく結ばれた唇に触れれば、どんなに思いつめているか容易に想像できる。


「……わかったわ、シャイン。私が何百回、何千回も“行かないで”って、言ったって、あなたを止めることはできないから。だから、お願い。私から離れないで。あなたがいてくれたら、きっと逃げ出すチャンスがあるかもしれないから。あいつらが移動するために、私の錨を上げたら軍港めがけて走ってやるわ。あなたがいれば、私は簡単に船を動かす事ができる。知っているでしょ?」


 シャインは笑ったようだった。口の両端の筋肉がごく僅かに歪むのをロワールは感じた。


「十分知ってるよ。そして、君が船を動かすということは、君自身の生命力を削るようなものだという事もね」

「どうしてそれを」

「その話はまた後で」

 シャインは右手を上げると、自分の頬に置かれたロワールの華奢な手へ自らのそれを重ねた。

「もう行かなくては。……じゃ、もしもの時は頼むよ。錨が上がったら、君の好きなようにしてくれたらいい」

 冗談とも本気とも言えない口調でシャインが言った。

 その時だ。甲板からストームのだみ声が響いたのは。


「……お頭は寛大なお方でね。あんたが反省し、エルシーア海賊の一員でいたいというなら……さしずめ、2000万リュールで手を打とうと言ったのさ。どうだい、払うかい? それで手下の命が助かるなら安いもんだよ」





 ◇◇◇





「俺が2000万リュール払う。だから、彼らを解放しろ」


 その声でジャーヴィスは絶望の淵から奥底へ叩き落とされた気分に襲われた。もしくは、大きな金づちで頭を割られたような。

 密かに期待していたのだ。

 ひょっとしたら、シャインが応援を引き連れて帰艦するのではないのかと。

 シャインは船の精霊と会話できるのだ。ロワールがいち早く、彼にこの船で起きている事を伝えるはずだと、ジャーヴィスは考えていた。


 けれど。

 何故、こんな無謀な事を。


 シャインはひとりだった。

 数時間前に出て行った同じ服装で。きっと船に近付いた時にこちらの会話が聞こえたため、いてもいられず姿を現したのだろう。

 優しい彼の性格が裏目に出てしまい、ジャーヴィスは思わずそれを呪った。

 自分の感情を優先させるなんて――指揮官として最低の判断だ。


 甲板に上がったシャインは、真っすぐジャーヴィス達がいるメインマスト(中央)へ歩いてきた。その両脇を、鈍く光る白刃を持ったストームの子分がすばやく取り囲む。

 シャインは鋭い眼差しでこちらを見るジャーヴィスを、ちらりと一瞬だけ一瞥した。

 その視線はすぐ、両腕を縛られてストームの足元へ倒れている、傷ついたシルフィードへと注がれたからだ。

 見る間に彼の端正な顔が曇る。シルフィードが自ら言い出した事とはいえ、こうなった原因を作ったのは、自分のせいだと思ったのだろう。

 シャインはシルフィードへ手を伸ばそうと、その場へ膝をつきかけた。


「おっと。こいつは人質だ。触るんじゃないよ」


 ストームの長剣がシャインの首筋へ突き付けられていた。

 やや上を向く格好で、シャインはゆっくりと立ち上がった。

「何か武器を持ってないか、早く調べるんだよ」

 小さいがまったく隙を見せないストームの目が光った。

 彼女の隣に居た中年の、がっしりした男がシャインに近付いてきた。彼も他の子分のように灰色の布で口元を覆っていたが、着ている服やマントは黒色で、おそらく、副頭領といった手合の者のようだ。その腰には古びてはいるが、由緒正しそうな立派な造りの短剣を帯びている。

 彼の痩せたしわの目立つ指がシャインの薄手のマントを掴み、その右肩へ裾をひっかける。


「あんた……海軍じゃないか」

 副頭領は驚きの声を隠す事無くつぶやいた。

 ツヴァイスに呼び出されたシャインは普段の青い航海服ではなく、純白の礼装姿だった。海賊の老いた目にはそれが夜の闇の中で眩しかったのか、彼はしきりにまばたきを繰り返した。


「はぁ!? 海軍だってぇ?」

 少し動揺した声でストームがつぶやいた。

 副頭領はざっとシャインを鋭く眺めると、彼が何も武器を携行していない事を示し脇へ下がった。


「一体どういうことだい。しかもこの坊やは、ずいぶんとお偉いさんだよ?」

 彼女はさも訳がわからない、といった様子で、シャインとその背後で睨み続けているジャーヴィスの不機嫌な顔を見比べた。

「ジャヴィール……あんた、まさか海軍の犬だったのかい?」

「彼は海賊じゃない。俺の副官だ」

 ジャーヴィスが口を開く前に、シャインがその問いに答えていた。

 ジャーヴィスを庇うように、彼の前に立ちはだかって。


『ああ……どうしてストームに素性をばらすんです……』


 ジャーヴィスは歯ぎしりしながら、シャインの小柄な背中を睨み付けた。

 もう自分達の命運は尽きたと感じた。




 ◇◇◇



 ストームはシャインの言葉に、口をあんぐりと開けて驚いていた。

「今……何て言ったのかい? よく聞こえなかったよ」

 シャインは挑発的な態度でストームを見つめた。普段は穏やかなあの瞳さえも、今はなんと強気に光っていることか。

「海賊ジャヴィールは、お前の気を引くために俺達が打った芝居さ。お前を捕まえるよう命令を受けたんでね」

「ほんとかい?」

 ストームの動揺をシャインはお互い様だと内心野次った。

 こっちだって無名の海賊ストームを捕らえるため、この四日間苦労させられたのだ。

 ストームはシャインの首筋に長剣の刃を突きつけながら、値踏みするようにその顔を覗き込んだ。

「おや。明るい所で良く見たら随分見目のいい坊やじゃないか。今さっき、あんたはジャヴィールを『副官』って言ってたけど、ホントにあんたみたいな坊やが、あたしを――この『海賊ストーム』様を、捕らえる命令を受けたってのかい?」

「そうだ」

「ふうん。あたしも随分焼きが回ったもんだ。まあいいだろう」

 ストームはシャインからジャーヴィスへ視線を向けた。


「確かにおかしいとは思ったよ。このジャヴィールってやつは、どうも海賊らしくなくてさ。お堅い海軍の人間だ、って言われたほうがぴったりくる」

「そういうことだ。だから、俺達はお前の言う“海賊の掟”とは関係ない」

 それを聞いたストームは、いきなり大口を開けて、は、は、は、と笑い出した。マストを震えさせんばかりの通る声だ。

 シャインはその迫力に一瞬気後れした。


「だからってあんた達を見逃せというのかい? 坊や。あんたは私を捕まえるんじゃなかったのかい?」

ストームは手にしていた長剣をシャインの首筋から鼻先へと突きつけた。

その刃の表面はしっかりと研がれて青白く光っており、ひとつの曇りもない。

シャインはストームを真っ向から見返した。


「部下の命には代えられない。シルフィードを返してくれ。そうすれば、今回はお前を諦める」

「艦長!」


 たまらず後ろにいたジャーヴィスが叫んだ。もうジャヴィールでいるつもりはさらさらないらしい。

「ちょっと坊や、まわりの状況を見てから物をお言いよ。どうみたってあんたらの命は、このあたしが握ってるんだよ? あんたはあたしと取引できる立場じゃないんだ」

 ストームの言葉に、シャインはさもがっかりした表情で肩をすくめた。残念そうに彼女から視線を外し、小さく嘆息する。

「海賊だったら2000万リュールでその命を助けるのに、海軍とはその交渉の余地すらないのか?」

「なんだって?」


 ストームが小さな目を目一杯見開いて喘ぐようにつぶやいた。

 ジャーヴィスはシャインの考えが読めず、息を飲んで彼の背中を見つめた。


「おやおや……これは、高貴な(ノーブル)エルシーア海軍ブルーの軍人が海賊を買収しようとはね。本部に知れたら、ただじゃあすまないだろうに」

「お気遣いどうも。お前に船を奪われたら結果は同じでね。だったら、部下を返してもらいたいのさ。お前にとっても損な話じゃないと思うが?」

 長い睫の影に縁取られたシャインの瞳が、意味ありげに、突き付けられたストームの刃を見つめていた。

 そっと右手を上げる。

 ストームが動くなと叱咤する前に、シャインの指は彼女の剣の刃をゆっくりと滑らせていた。


「きれいなものだね。血の曇りが全くない」

 少しばかりの驚嘆を込めてシャインは呟いた。


「……あたし達はむやみやたらと人を殺さないんだ。よく覚えておきな坊や」

「それは失礼」

 シャインはストームの敵意が込められた視線をやんわりと受け止めた。

 軽く頭を下げて彼女に謝罪する。

 ストームはシャインの行動に、態度に、戸惑っている様子だった。

 気取られてはならない。

 こちらに有利な取引へと持ちかけなければならないのだから。

 その緊張感が自分の中で高まるのを感じる。


「坊や。あんたは命が惜しいのかい?」

 シャインの真意を探るためだろうか。

 先程までのふざけた態度がストームの言葉尻から消えた。

「それは勿論。やりたい事がまだ沢山ありますからね」

 シャインはふっと言葉を吐いた。

 ストームの足元でじっと痛みに耐えているシルフィードの具合を案じ、ジャーヴィスはきっと怒り心頭なんだろうなと思いながら、囚われの水兵達へと視線を巡らせる。


 誰も失わせるものか。

 決して、誰ひとりとして。

 その命を。


 

 ストームが口を開いた。

「この条件なら、あんたと交渉してやってもいいよ。そう、3000万リュールで手を打とうじゃないか。お頭にジャヴィールは、もうエルシーア海から逃げたと報告して、奴からもらうはずだった2000万リュールを彼に納めれば、それ以上の詮索はされないんでね」

「残りの1000万リュールが、お前の手数料か?」

「そうさ。もっとふっかけてもいいんだよ」

「いや……3000万なら大丈夫だ。いいだろう」

 シャインは迷うことなく即答した。

 それに驚いたのはジャーヴィスだ。ストームも目をぱちくりさせている。


「待って下さい艦長! そんな大金、どこにあるっていうんです?」

「そうだよ坊や。3000万といえば、あんたの給料でも払える額じゃあないだろうに」 

 ストームが身構えた。

「言っとくけど坊や。あたしを見くびらないでおくれよ。『ここにはないが、別の場所に金を置いてある』なんて言われて、ほいほいついていくのは駆け出しの海賊だよ。あたしゃ、そんな手には乗らないからね?」

「ああ。わかっている」

 ストームが構える長剣の刃を間にはさみ、シャインはストームへ頷いた。

 次の言葉を紡ぐ前に軽く息を吸って、気持ちを落ち着かせる。

「心配しなくても金はここにある。俺自身が、3000万リュールだからな」

「なっ……!」

 ストームが再び剣の刃をシャインの首筋に突きつける。

「冗談にも程があるよ!」

「こんな時に冗談なんて言うわけないだろう! 現金はないが、俺の身代金をアドビス・グラヴェールに要求すれば、きっちり3000万リュール支払ってくれる!」


「アドビス……アドビス・グラヴェールだって……?」

 ストームの顔から一気に血の気が引いていくのをシャインは見た。

 エルシーア海で海賊をしているのなら、彼の名は聞いたことがあるはずだ。

 エルシーア海から海賊を駆逐し、今もなお睨みを利かせているあの男のことを。


「どうしてあんたの身代金を、『エルシーアの金鷹』が支払うんだい。まさか、あんたは――」

「ストーム、お前がグラヴェール中将を知っているなら、この件から手を引いた方が身の為だぞ!」

 ジャーヴィスの鋭い声が辺りに響いた。

「う……うるさいね! どうするかはあたしが決めるんだよ」

「お前が虜にしようとしているのは中将のひとり息子なんだ。彼の身代金を間違ってでも中将に要求してみろ! 海軍はどこまでもお前を追い続けるぞ!」

「ジャーヴィス副長!」

 シャインはこれ以上ジャーヴィスにしゃべらせないよう鋭くその名を言った。

 ジャーヴィスが驚いて口をつぐむ。

「黙っていてくれ。交渉は俺がしている」

「しかし」

 シャインは縋るようなジャーヴィスの視線に向かって首を横に振った。

 皆を助けるために、ストームにうんと言わせなければならない、大切な交渉だった。

 ストームの顔には明らかに迷いが生じ始めている。

 父親の名を告げた時から危惧してはいたが、ここで交渉を打ち切られるわけにはいかなかった。


「ストーム。お前も知っている通り、『ノーブルブルー(海賊拿捕専門艦隊)』はジェミナ・クラスにいない。しかも、海軍は人手不足でね。だからお前のような小物は、本来後方業務の俺が仕方なく捕縛を命じられたのさ。こんなに力の無い海軍の状態はそう長く続かない。今が千載一隅のチャンスじゃないのか?」

 ストームは分厚い唇をふるふると震わせ、迷っているようだった。

「坊や……今の海軍の状態はあたしもそう思うけどね。ただ、あたしのことを“小物”よばわりすることは許さないよ! あんたの父親が“金鷹”だろうが、知ったこっちゃないね。あたしは20年海賊をしてきたんだ。今更、海軍を怖がるなんて馬鹿馬鹿しい! 心配することはないよ、あんたの申し出を受けようじゃないか。アドビスの息子という素性もわかったことだしね」

 シャインは満足げに微笑をたたえていた。

 交渉の第一段階をクリアしたのだ。けれど、まだ気は抜けない。


「では、ストーム。シルフィードをまずは返してくれ。彼は治療が必要だ。大事な俺の航海士なんだ」

 ちらりとストームが甲板に横倒しにされているシルフィードを見た。

 ひどくつまらなそうに。

「そんなにこいつの腕が惜しいのかい」

「当たり前だ。優秀な人材を失うのは船にとって大きな痛手だ」

 ストームは足元に転がっているシルフィードをじっと見つめ、やれやれと肩をすくめた。

「じゃ、さっさとあたしの船に乗るんだね。そうしたらこいつは返してやるよ」

 ストームはあごで副頭領に、シャインを自分の船に連れて行くよう指示した。

 だがシャインは首を振った。


「ちょっと待ってくれストーム。俺は逃げない。だがお前は海賊だ。俺がお前の船に乗れば、他の部下達を解放してくれるのか……確証が持てない。だからまずは、先にそちらの誠意を見せてもらいたい」

 ストームはヒューっと口笛を吹いた。その分厚い唇を小さくすぼめて。

 シャインの要求が気に食わない様子だ。

「だったらこっちも約束するよ。あんたがあたしの船に乗ったら、子分共を引き上げさせるって。それじゃあ駄目かい?」

 ストームのしたたかさは底が知れている。

 シャインはこの交渉に、一切、妥協するつもりがなかった。


「今すぐお前の手下を全員退去させろ。俺の部下はあのまま、ミズンマストの前で待機させる」

 案の定、ストームは大口を開けてからからと笑った。

「バカ言うんじゃないよ。誰がそんな事を信じるかね!」

「……じゃ、嫌でもそうしてもらう」


 シャインは静かに呟くと、突き付けられているストームの刃を素早く両手で握りしめた。

 それをぐいっと引き寄せて、自らの首筋にぴたりと押し当てる。

「な……なにをするつもりだい!」

 ストームはシャインから剣を離そうと、柄を握る手に力を込めた。だがそれは吸い付いたようにシャインの首から離れない。


「お前が手下をまず先に退去させなければ、3000万リュールはここで消えるってことさ」


 シャインの声は驚くほど落ち着き払っていた。動揺の欠片すら、その青緑の瞳には宿っていない。

 まるでこうなることを知っていたかのように。

 いや、始めからそれだけを、ただそれだけを狙っていたのだ。

 利用できる物はすべて利用する。それが自分の命であっても。

 でなければ、生きている価値がない。

 今まで生かされていた『意味』がない。

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