六話:その人物の罪は…
出会いはどんな物であれ、その人の何かに変わる。
「まずは、お互い自己紹介をしましょうか。自分の名前は新田 始という名前です、貴女の名前は?」
と互いに名前を知らないのは不便だと思い、喫茶店に入って椅子に座った後、最初に自分が出した声はそんな言葉だった。
「鹿部 時雨です」
とだいぶ落ち着いたのか静かに彼女は名乗る。こっちとしてはとてもありがたいことだがな。
彼女は自分に気づいた時はとても混乱してたのか大声でいろんな事を聞いて来た、しかも泣きながらと言う面倒な事をしながら、落ち着かせるために拳骨して喫茶店につれて来たが…どうやら正解だったようだ。
「鹿部さんですね、わかりました。それじゃあ、まずは何を聞きたいですか?」
と自分は彼女の質問に答えると言う形にして話を進めることにした。
「それじゃあ…」
と言うと彼女、鹿部 時雨は自分に聞いてきた、この世界の事を。
(どうゆうことだ?)
と全ての説明をした後、自分の頭に浮かんだのは疑問の二文字だった。
この異世界にきて、少なからず異世界人とも交流をもった。その人物達は共通して自分と同じくこの世界の一般知識と読み書きのスキルを持っていて、そして一部の記憶を失っていた。だが彼女は違う家族や友人の事を思い出すこともできて、自分の事もわかっているそして何よりこの世界に来た時の事を覚えていると言う。
(完全に面倒事だな)
と思いながらも、彼女はこの世界に来てからこの場所に来るまで何も食べてないらしく、色々と不安が消えたのかたくさん食べている。
「とりあえず、この後はさっき言った冒険者ギルドに行きますよ」
とこの後のすることを彼女に伝える。
「何故って?顔をしてますが消去法ですよ、元の世界に戻るにせよ、この世界で暮らすにせよ。職を持ってないと今を生きていけませんからね」
と自分はこの喫茶店の会計を済ませるために冒険者カードを確認する。
(ギリギリじゃないですか)
と会計を済ませた後どんだけ食べてるだよ、と思いつつも冒険者ギルドに向かう。
(しかし、回りを見ないようにしてるな)
と隣を歩く彼女をたまに見るとそんな印象を受けた。
(まぁ、なんかあったんだろう。それを聞く資格は自分には無いがな)
なんて思考すると冒険者ギルドについた。
いつも通り、扉を開き先に入り後から彼女(鹿部)をいれると…。
(…なんだ、今の)
…一瞬だけ空気が変わった、そんな感じがした。
自分は回りの他の冒険者達を見るが、いつも通りだと今見ると感じる。
(何だったんだ?)
しかし、さっきの違和感と呼べばいいのか、君の悪い感覚がどうしても抜けない。
(とりあえず、いつも通り、あの怠惰のギルドスタッフに登録を頼むか)
と当初の予定を進めることにして、自分がそう思い顔をギルドスタッフに向けると何故か嫌な顔をしたような気がした。
(本当になんだって言うんだ)
回りは普通だ、けど自分達が異常だと言った空気がしてとても居心地が悪い。
それでもその原因がわからないので普通を装うしか自分には出来ず、彼女を呼び通過儀礼をさせる。
その間にとくに問題はなかった、それがとても不気味だと思ってしまう、自分がいる。
そんな考えをしていると、彼女の冒険者カードが出来た、そこには…。
罪:嫉妬
と書かれていた。