五話:新たな日常そして新たな…
世界は変わる、それが望もうが望まないが同じ事であり続けるのはありえない。
(この世界に目覚めて、二ヶ月がたったか)
そんな事を『回復』の魔法書を見ながら、この二ヶ月の出来事を思い出す。
狩りと採取の仕事を二日やり三日目休むと言うローテーションを組んでいたが、これといって変化はない。
(まぁ、あの二種類の怪物は余裕で倒せるようにはなったが)
技術は上がったのは分かるがレベルアップには繋がっていないのが現状だ。
(しかも魔法書などのレアドロップは出ないしな)
とビギナーズラックだったのか、と思いながらこの本で覚えた魔法の効果を思い出す。
覚えた魔法は『回復=気力消費4』『浄化=気力消費3』『解毒=気力消費3』『常時回復=気力消費5』の4つだ、回復はそのまんまある一定の生命力を回復させ、浄化は呪いや気絶や混乱などの精神的異常を治し解毒もそのままで麻痺や毒等を治す、で常時回復は使うと回復より少し少ないが回復し続けるといった感じだ。すべて魔力の多さで効果が変動するので調べる必要があったので面倒だが最初の一ヶ月はこれらの性能を試してみた。
会えて連戦し一日のノルマを達成した後に回復を使ってみると冒険者カードに回復力がのった、たしか200と書かれていたな、次に試せたのが解毒だ、生卵を食べてみたら腹を下しものの試しに使ってみたら回復できた。
内容は違うが夜に町の外で出る幽霊と言う怪物に浄化を試して見たら倒せたのはびっくりしたのを覚えてる。
また別のある日、巨大四手熊と言うパーティーで戦うのが前提の怪物と戦った時に常時回復を使ってみたが今思うと覚えてなかったら自分は死んでただろうと思う。
回復力は一分に50と言った感じだが巨大四手熊一回の攻撃は上手く防げて60位だと思う、そのときに知ったが気力を過剰に使うと効果が上がるので回復力を62位にして一時間かけてなんとか倒せた、その日はすぐに切り上げ回復して眠った。
魔法矢も巨大四手熊を倒した翌日に調べてみたが実現できるのは6本までで維持するのには気力は使わない、過剰に気力を使うのは気力5まではできるが賢さが足りないのか形にするのに少し時間がかかるし、それ以上気力を使おうとすると生命力にダメージが入るのもわかった。
(説明文だけではわからんもんだな)
なんて事を考えて、ふと気づく食料がないことに。
(買い出しするか…チラシあったけ?)
と印刷の知識持ちがいたのか、この世界ではけっこう読み物が多い。しかも安価な物ばかりで今日のような日は魔法書を勉強した後になにかをつまみながら読書するのが楽しみだったりする。
(さてと、何を買おうか)
と食材を買いに外に出てみたが…自分は2つの選択肢で悩んでる。
(魚か、肉か)
どっちが良いだろうなんて、先につまむ食べ物を買った後コロッケを食べ歩きしながら歩を進めていると町の中心部にある広場についた。
(そー言えばここだっけ)
と自分の新たな開始した場所にふと周りを見る。
ここは『異世界人の始まりの広場』と呼ばれていて、自分のような異世界人が現れる場所らしい。
(まぁ~全ての人種は異世界人らしいけどな)
とこの世界についてあの顔を思い出せない男の人の話を少し思い出しながら、また歩き始めると、この広場に暗い顔をしてたっていた人のすれ違い時に、その人の声が聞こえて。
「誰か、分かってよ」
と本当に小さな声だったがその懐かしい言葉を聞いて自分はつい。
「日本語」
と母国語で声を出してしまった。
聞こえてたのか、すぐにこっちを向き近づいて来た。
(面倒だなぁ)
なんて思ってしまったが近づく女性の必死な表情を見て、はぁ~とため息をつきながらも。
(仕方がないか)
と思い、どんな話をしようか頭の中で整理することにした。
これが、この世界の闇を知るきっかけになるとも予測もしないで気楽に考えてた馬鹿な自分の罪の始まりの出会いであるとも知らずに。