四話:己を知れ
己が知らぬ者が何かを言っても無意味だ。
「おんなじ天井だ」
なんて、言葉をはく。
(夢落ちではなかったか…)
と日本に帰ってこれるのでは?と期待はしたが…残念な事に昨日泊まった宿屋の部屋の中で目を覚ました。
(たしか、チケットは朝間飯まではついてたっけ)
と腹が減ったので一階の食堂に降りる。
イスに座り、料理が来るのを待つ、昨日も考えたが今日は怪物狩りと薬草集めをするつもりだ。
(怪物はたしか、Gと素材やレアドロップがあるんだっけ)
と狩りの主な意味をあの怠惰のギルドスタッフに聞いた内容を思い出す。
(Gはその怪物を倒した証拠としてカードに加算される、素材は昔は剥ぎ取りだったらしいが…カードが自動で解体及び回収してくれるので売るなり武器や防具の素材にするなり自由に出来る)
なんて思考の底に行きかけた時に料理が来た、とりあえずこれを食ってから続きを考えよう。
(そして狙いたいのがレアドロップ関係だな)
と宿屋を出て、武器屋と防具屋の装備をとった後、今は考えながら冒険者ギルドに向かっている。
(レアドロップは、本当に希少でそのモンスターの素材以外に手に入れられる物全般をさす、この町近辺の弱い怪物でもレアドロップに魔法書がある、出来れば『回復』と『無属性』の魔法書が出ればいいのだが…うまくいくだろうか)
そんな事を考えていると、ギルドについた。
「夕日が沈む前には町に戻って下さい、中に入れられなくなるので」
と門番の男性に軽い説明を受けて、自分は町の外に出る。
ギルドについた後、この近辺の薬草と怪物の種類を図鑑で確認し、予定通り薬草集めと周辺の怪物狩りの仕事を選択して外にいる。
(狙うは大怪鶏とコアスライム)
と決めて、早速狩りを始める…がどちらも弱いモンスターらしいが初めての戦闘なので、少し観察をするつもりだ、ごり押しなんて普通にできる筈もないしな。
(お、いたいた、あれが大怪鶏か)
早速お目当ての怪物を発見したので観察を開始する。
(たしか…)
大怪鶏はステータスで言う力が高い怪物だ、そのために人の子ども位の大きさがある…だが賢さが低い為に罠にかかりやすいと図鑑では書いていたが、試しに足下の石を大怪鶏の近くに投げてみる。
「ココー!!」
と石が地面について音がなるとすぐになった場所を見るが、すぐに興味をなくしたようだ。
(気をそらせることは可能か)
と10分間観察して、少しの戦闘のイメージを考えて戦うことにした。
(ちょうど、後ろをむいてるし)
と足音をたてずに、近づく。
(バレるなよ)
距離はまだ遠く、さらに近づく。
(よし、ここら辺でいいだろう)
と持ってた石を大怪鶏の奥に投げる、と同時に走る。
(こっちを見るなよ!!)
走る速度を保ちながら自分は武器を振るう、狙うは首。
「ふん!!」
振るった武器は少しの抵抗を感じながらも大怪鶏の首を斬る事ができた。
そのすぐに、怪物は消えてGと素材に変わる。
(まぁ、出ないよな)
レアドロップはなかったが奇襲をかければ一撃なのを確認できたので、次の相手をロングソードについた血をふきながらも探す。
5分程度だろうか、また大怪鶏を見つけた、自分は隠れもせずそのまま大怪鶏の前に出た。
「コケー!!」
警戒する怪物、その声を聞きながらも鞘から剣を抜き盾を構える。
(今度はどれくらい、かかるかな)
そして、真っ向勝負の戦いが始まる。
防御の姿勢のまま、剣が届く距離を近づき保つ、その間に体当たりやクチバシの攻撃を受けてみた。
(けっこうムズいな)
うまく防御しないと攻撃に繋げられないだけでなく、体勢を崩しそうで隙が出来てしまう、その時は距離を無理矢理とりまた近づき戦闘を続ける。
発見から何分かたったがなんとか無傷で2体目を倒せた。
(いい練習相手だな)
なんて、図鑑で書いていた『戦闘の基礎を学べます』と言う文を思い出した。
(休むか)
思ったより、疲れた為に気力が減った気がしたので休みながらカード見ると気力48/50と書かれていた。
(聞いてた通りか)
と初めての戦闘では気力が減る場合があると聞いてた、休憩すれば気力は回復するようなので自分が持ってる魔法についてカードを使い見てみる。
スキル項目を触れるとそれについての説明を知る事が出来るらしいが魔法矢はこう書かれていた。
魔法矢=気力2消費:魔力でできた矢を生み出す事が出来る
としか分からなかった、ゲームならこんな説明でもいいのだろうが、あいにく現実での説明にしては曖昧過ぎるので次の戦闘に魔法矢を試しに使ってどんな事が出来るか確かめてみるつもりだ。
太陽が真上に来た頃、充分休んだので怪物を探しながらも薬草を採取する。
(ちょうど良いところにいたな)
なんて事をしていると怪物を見つけた、そいつは戦士キラーと呼ばれる怪物。
(こいつがコアスライムか)
であり、魔法使いの練習相手だ。
さっき戦った大怪鶏が物理ならコアスライムは魔法の練習に狙われるやつで、理由はこちらから攻撃するまで無抵抗だからだ。
見た目はゼリーの体に核となる球体が体の中を動き回っているといった感じか。
「魔法矢」
観察しても今回は無意味なので逃げれるように少し距離をとり、魔法を発動させる。
そうするとすぐに空中に魔力でできた矢が生まれる、そのままにしてコアスライムに目をむけてコアに狙いをつけて発射するイメージを浮かべるとコアに当たっていた、そのままGと素材になる。
(想像してたのと案外違うな)
と初めて使ってみたが、完璧に使えてるとは感じなかった。
その後は夕方になるまで狙ってる怪物を探しながらも薬草を集めて、狩りを続けた。
狩りの結果は大怪鶏は合計10体コアスライムは13体倒す事ができた、その途中でレアドロップが出た。
町に入り冒険者ギルドにて、魔法書の鑑定をしてもらってる。
(おさらいしとくか)
と待ってる間に魔法書のことについて思い出す。
魔法書は魔法を覚える事のできる唯一の本だ、こいつがないと新たな魔法を覚えることはできない為に高値で売られてる、鑑定しないとなにも書かれてない本だし、しかも1度読めば他の人には使えないらしい。
「回復の魔道書ですね」
なんて考えてたら鑑定が終わった、魔法書を受けパラパレとページを読む、すると魔法書は少し発光する。
これで自分以外は使えないようになったので宿屋に戻り、飯を食べて昨日と同じ部屋で魔法書を読み、少しして眠気がきたので眠ることにした。
(明日には覚えてるといいが)
と日をまたがないと魔法は覚えないらしいと思い出しながらもゆっくりとまぶたを閉じて眠る。