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(旧)闇夜に踊る  作者: 東雲飛鶴
四章 腭<アギト>に喰われる者
76/134

28 最終更新 2015/10/24

【28】


「今日は無理せず休んでいてもいいんだぞ」

 シスターベロニカは心配そうに言った。

 勝利はそれに応えず、自室のベッドの上で黙々と全身の包帯を外している。サージカルテープで貼り付けた幾枚ものガーゼをピリピリと剥がす度、彼は顔をしかめた。多少カサブタが剥がれたものの、あらかたの傷は既に塞がっていた。


「ほっとけば、また今夜も誰かが死ぬんだ。俺が全ての獣を狩り尽くすまで、死人は出続ける。行かないわけにゃいかないだろ」

「今夜は私が――」

「その足で、どうする気なのさ。また、残った手足を食われたいの」

 ベロニカは二の句を告げられず、ただ歯噛みするしかなかった。

 勝利の言うとおりなのだ。今の彼女では、たとえ武器が充実していたとしても、囲まれたらお終いだ。現在装着している義手と義足は、最低限身を守るためにパワー重視のセッティングとなっている。五体満足な頃のように機敏な動きは出来ない。

「……分かっている。だが、今お前が無理をすると……」

 シスターベロニカは、珍しく口ごもった。普段は明瞭簡潔な物言いをする女なのだが。

「大丈夫。もう、あんなみっともないマネなしない。ケガも全部治っている。大丈夫。いつも通りに狩りをすればいい。でしょ」

「しょうがないヤツだな。今日は軽めの区画にするんだぞ」

「分かってる。それと……」

「なんだ?」

 勝利はニヤリと笑って言った。

「小遣い増やして。…………ダメ?」

「ああ、検討しておく」ベロニカは呆れ顔で応えた。


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