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(旧)闇夜に踊る  作者: 東雲飛鶴
四章 腭<アギト>に喰われる者
69/134

21

【21】


 ドジを踏みたくない、と思えば思うほど、ドジを踏んでしまうものだ。

 多島少年の、本日二十五回目のドジは、アギトと間違って、置き去りにされた民家の飼い犬を射殺してしまったことだ。


「あああああああああ――――――ッ、もうやだああああああああ――――ッ」

 頭を抱えて地面をゴロゴロのたうち回る、異界獣ハンター。

 教団マニュアル通り、変質者の犯行ということで処理されるが、良心は痛む。


「あ、あの、こちら勝利――」無線でキャンプを呼び出す。

『どうした』いつも通りのシスターベロニカの声。少し安心する。

「やらかしました……」

『む、お前は無事なのか!! 歩けるか!?』

「そ、そうじゃなくて……」


 心配性のシスターベロニカに事情を説明し、可愛そうな犬の座標を記録してもらう。明朝になれば警察から、今は避難している飼い主に話をつけてくれることだろう。

「あれ……? そういや、ここの区画封鎖って、不発弾処理だったような……」

 勝利の背中に冷たい汗が流れた。

(ごめんなさい警察の人、ごめんなさい、言い訳めんどくさくなってごめんなさい)

 元犬に手を合わせると、勝利は先を急いだ。


 足を囓られ、コートの裾を破られつつ、道中十匹ほどのアギトを処理した勝利は、順調に西側の閉鎖区画を攻略していった。

「どこが順調なんだよ! クソッタレ」

 誰に毒づいているのか分からないまま、勝利は月夜の道を進んでいく。

 汚れようとも、みっともなかろうと、アギトとの戦いで積み上げた『勝利』は本物だ。しかし、それが今は実感出来ない。

「こんなの俺じゃねえええええええッ!!」

 彼のイライラは限界に達しつつあった。

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