21
【21】
ドジを踏みたくない、と思えば思うほど、ドジを踏んでしまうものだ。
多島少年の、本日二十五回目のドジは、アギトと間違って、置き去りにされた民家の飼い犬を射殺してしまったことだ。
「あああああああああ――――――ッ、もうやだああああああああ――――ッ」
頭を抱えて地面をゴロゴロのたうち回る、異界獣ハンター。
教団マニュアル通り、変質者の犯行ということで処理されるが、良心は痛む。
「あ、あの、こちら勝利――」無線でキャンプを呼び出す。
『どうした』いつも通りのシスターベロニカの声。少し安心する。
「やらかしました……」
『む、お前は無事なのか!! 歩けるか!?』
「そ、そうじゃなくて……」
心配性のシスターベロニカに事情を説明し、可愛そうな犬の座標を記録してもらう。明朝になれば警察から、今は避難している飼い主に話をつけてくれることだろう。
「あれ……? そういや、ここの区画封鎖って、不発弾処理だったような……」
勝利の背中に冷たい汗が流れた。
(ごめんなさい警察の人、ごめんなさい、言い訳めんどくさくなってごめんなさい)
元犬に手を合わせると、勝利は先を急いだ。
足を囓られ、コートの裾を破られつつ、道中十匹ほどのアギトを処理した勝利は、順調に西側の閉鎖区画を攻略していった。
「どこが順調なんだよ! クソッタレ」
誰に毒づいているのか分からないまま、勝利は月夜の道を進んでいく。
汚れようとも、みっともなかろうと、アギトとの戦いで積み上げた『勝利』は本物だ。しかし、それが今は実感出来ない。
「こんなの俺じゃねえええええええッ!!」
彼のイライラは限界に達しつつあった。




