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【19】
「勝利さん、こちらがマガジンパックです。ドリンクのお代わりは?」
「ああ、下さい。それとチョコバーも、もう一本」
東側の区画の駆除を終えて、補給地点Aに来た勝利は、待っていたシスターから弾薬の補給を受けつつ休息を取っていた。
「それにしても、どうしたんです? そんなに泥んこになって。大変だったんですねぇ」と、スポーツドリンクを紙コップに注ぎながら、呑気に言うシスター。
「うっ……ちょ、ちょっとね」
「じゃ、ウェットティッシュも出しますね」
死闘の末、と言えれば格好はいいが、実際には、さんざん自分で転びまくって汚れただけだった。つまり、自爆。花壇に突っ込んだり、ぬかるみに足を取られたり、異界獣の返り血をモロに浴びたり等々。普段なら、こんなに汚れることはない。そもそも、異界獣は勝利の体に触れることすら出来ないのだから。
シスターの用意した、キャンプ用折りたたみ椅子に腰掛け、深いため息をつく。
(ああ…………。なんで。どうして。ホワイ? こんなみっともない事になってんの)
仕事だけはなんとかこなしているものの、まるでルーキーの時のようにドジだらけだ。
「勝利さん、顔上げて」
「んあ……?」
しょんぼり項垂れていると、シスターがウェットティッシュで顔の汚れを拭ってくれた。
「一人でこんな広い場所を駆除するなんて、大変ですよね。これ食べて、頑張って」
彼女はエプロンのポケットからチョコバーを出して、勝利に差し出した。
「ありがとう……」
「よほど疲れているのね。私たちが役に立てればいいのだけど……ごめんなさい」
「いや、一般職の方に、そんな無理させられないですよ。これで十分。それに、そんなに疲れているわけじゃないから大丈夫……」
「心配事?」
ぎくり。
勝利はチョコバーの包みを、手元から落としそうになった。
「いや……あの……」
「彼女さんのこと?」
「へあッ、いや、その……」
「あ、ごめんなさい、余計なこと言って。お仕事に差し支えちゃいますね」
「あ、あはははは……」
勝利は力なく笑った。やはり女の人は騙せないようだ。




