表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(旧)闇夜に踊る  作者: 東雲飛鶴
三章 迷宮の入り口
52/134

【4】


 ――万一教団クビになったら、ヤクザになるのも悪くないかなあ、と思ったけど、最近はヤクザも肩身が狭いので、シスターベロニカみたいに外国で傭兵とかするのもカッコイイかなあ――


 タケノコも居残り勉強を終えて帰宅してしまい、話し相手もなくなって暇をもてあました勝利は、万一の際の身の振り方をぼんやり考えていた。

 その彼がいいかげん待つのに飽きたころ、遙香が教室に戻ってきた。


「おまたせおまたせぇ~~」

「お待たされだよ。ったく鍵取りに行くだけでどんだけかかってんの」

「だってぇ、緊急職員会議で先生がいなかったんだもん。しょうがないじゃない」

「そっか。じゃ、しゃあねえな」

「んじゃ、いきましょ」


 勝利が遙香に連れられていった先は、部活棟だった。

 もちろんその位置は把握している。

 だが、さすがにここだけは学校ごとに違う気がした。いくら部の配列がある程度同じだったとしても、廊下に積み上げられている荷物や壁のポスターまでは、さすがに同じにはならない。

(よかった……。ここは、違う場所なんだ)

 自分が存在しているのは、あくまでも現実であってゲームのサーバー内なんかじゃない。だから、箱が同じでも中身の人間は全部違う。細かいところまで一緒にはならない。

 この事実を目の当たりにして、彼はとてもホっとした。

 何故なら、急に自分のいた場所が異常な空間だと認識してしまったら、気がおかしくなりそうに思うのは、当たり前じゃないか。

 勝利は、すごく恐かった。ホントに恐かった。

 なんでこんな恐ろしいことに今まで気付かなかったのか……。

 その事実そのものが、彼には恐ろしかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ