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(旧)闇夜に踊る  作者: 東雲飛鶴
三章 迷宮の入り口
44/134

21

【21】


「やだあ、どうしたのその顔! おっきなばんそうこうなんか貼って」

 翌朝、朝飯の最中に遙香が教会にやってきた。で、開口一番がコレだった。

 門の柵越しに勝利の顔を見て呆れている。

 気まずい空気を作る前に、こんな風に切り出されてしまってはどうにもならない。

「昨日、仕事でちょっと」勝利はバツ悪そうに、頬の絆創膏に手を当てた。

 化け物に切られた頬の傷が存外深かったので、痛み止めを塗った湿布を貼っている。傷口自体はもう塞がっているのだが。

「そう……」

 何かを悟ったのか、彼女はそれ以上追求することはなかった。

「えっと……き、昨日は勝手に帰って、ゴメン」

「あ、あああ、ああ……いいよ、べつに。急にあんなこと言った私が悪いんだし……ごめん、ショウくん」

 遙香はそっぽを向きながら、ブレザーのポケットに両手を突っ込んで、肩を左右に振っている。気まずいとも若干違うような、微妙な空気が流れる。

「あーっと……いま朝飯食ってる最中なんだけど、なに?」

「通学路の途中だし、一緒に学校行こうかなー、とか思って――」

 そこまで言うと、ぐきゅるるるる……と遙香の腹の虫が盛大に鳴いた。

「きゃぁっ」顔を真っ赤にし、腹を押さえて前屈みになる彼女。

「……朝飯まだなのか?」

「うん」うつむきながら、こくりと頷く。

(そっか、こいつんち今、ハルカしかいないから、朝飯抜いてるのか……可愛そうに)

「来いよ。一緒に食おうぜ」

 勝利は門戸を開けて、遙香を中へと促した。

 虹色ぐるぐるソーセージをご馳走になったから、そのお返しである。


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