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(旧)闇夜に踊る  作者: 東雲飛鶴
二章 相棒は、シスターベロニカ
37/134

14

【14】


『メキャアアアッ』


 ブロック塀をも打ち砕く勝利の渾身の一撃を、醜悪な化け物にねじ込んだ。

 ――はずだった。


「なッ……?」


 確かに何かを殴った感触はあった。

 だが目の前にあったのは、毛むくじゃらの足と同様、びっしりと毛の生えた手とも足ともつかないものが、彼の拳を苦もなく受け止めている様だった。

 勝利の瞳孔が最大まで開く。

(一体どこから?)

 予想外の事態に激しく動揺していたが、化け物の足が彼を蹴り上げようとした時、勝利は我に返った。

(まずッ)

 次の瞬間、勝利の頬を鋭い風が切った。つう、と血の筋が走る。

 バックステップで異界獣のキックをかわすのがコンマ一秒遅ければ、彼の頭蓋はザックリと裂かれていただろう。


 異界獣は蹴りが空振りしたので、その場でくるりと宙を舞った。

 その勢いで、破れた腹のあたりからずるり皮が裂け、『中身』が剥けて出てきた。

「なんだよ……それが貴様の真の姿か?」

 手の甲で頬の血を乱暴にぬぐうと、勝利は口の端をつり上げて、軽く笑った。

 内心、余裕などない。だが、そうでもしないと平静を取り戻せなかった。


 眼前の獣はいま両生類のような上半身を失った代わりに、さらに二本の足とまんじゅうのような頭部を持った、蜘蛛に似た地を這う生き物へと変化した。

 その胴とも頭部とも言えないような部位にはヤツメウナギのような丸い口を持ち、その内側をぐるりと囲んだ鋭い歯が露出している。

 この歯で警官や変電所の職員たちをボリボリと喰い散らかしたのだろう。

(あんま近づきたくねえなあ……)

 化け物の直接攻撃は素早く、連続で喰らえば己の身が危ないだろう。勝利は脳内のデータを参照し、有効な攻撃方法を必死に考えた。

 だが、三秒経っても何も思いつかなかった。


「さて、どうしたもんかな」

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