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(旧)闇夜に踊る  作者: 東雲飛鶴
二章 相棒は、シスターベロニカ
24/134

【1】


「ただいま……」


 教会の脇にある居住棟の玄関を開け、勝利が力なく帰宅を告げると、数人のシスターが彼を待ち構えていた。

 たったあれだけの道程なのに、教会に着いたら疲労感がどっと出て来た。それに加えてこの彼女たちときたら、余計にぐったりせざるを得ない。


「ショウくんおかえりなさーい!」

「今日はごちそうよ! 昨日から仕込んでたんだから全部食べてね!」

「明日は私の番なんだから! やっとショウくんが来てくれたんだものー」

「ねえさっきの可愛い子、彼女なの? もう彼女作ってショウくんたらモテモテねえ」


 全員がハイテンションで姦しく同時に話しかけてくるので、

(うああ、やめてえ……脳に刺さるぅぅ)

 今のコンディションでは、ごっそりとSAN値が削られる。

 みな若くて綺麗な女性ばかりなのが、かえってリアリティを失わせる。

 でも、存在そのものが虚構なこの教会には、そんな彼女たちはお似合いだろう。


「ああ、どうも……」


 勝利はキャッキャとまとわりつくシスターたちに力なく片手を上げると、そそくさと逃げるように自室に入った。


 こうやってシスターたちが彼をもてなすのは珍しいことではない。

 彼が教団本部から各地の教会に派遣されると、初めはどこでもこんな風にかしましく歓待されるので、別に驚きもしない。

 ただ自分が、他のハンターよりも少々『彼女たちに喜ばれている』らしい、というのは耳に入っている。……理由については考えたくもない。

 異界獣の駆除作業で街にやってきたハンターを手厚く接待するのは、教団の昔からの習いであり、命がけの任務に当たる彼等への、教団からのせめてもの心遣いなのである。

 プロだって、奴らに食いつかれて手足を失ったりすることもある。


 ――勝利の師、シスターベロニカのように。

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