1/1
プロローグ
相談員の朝は早い。
そしてその中でも特に朝が早い、もとい忙しいのが此処、勇者相談窓口だ。
五年前はそれはそれは、暇な部署で私も楽だったのだが(お金もたくさんくれたし)
二年前、普通の冒険者でも国に忠誠を誓い、勇者テストに合格さえすれば勇者になれるという法律ができてからは、正直しんどい。
中でも一番ひどいのは、新人勇者だ。
人をこき使えるとわかった途端、酷使しやがって。
そもそも、ランクが上の上級勇者や、勇者家系の十人は私達に相談とか全然しないし。
どうせなら私も有名人にこき使われたいってもんよ!
というか、そんな事を考えていたらいつの間にか、営業時間である。
面倒臭いと思いつつも、私はきっちり営業スマイルを作った。
そして窓口を開けた瞬間続々と入って来る勇者を見ながら、いつもの台詞を言った。
それはもうはっきりと正確に。
「――こちら勇者相談窓口でございます」