闇の中に灯ったヒカリ
いつも夢に出てくる、人が虫けらのように死ぬ、家族や友達の死体の光景。三年経った今でも忘れる事はないだろう。しかし、忘れたくないと思った事はない。
ラクタガ国はミカス王国という大国相手に戦争をしていた。あの戦争以来、窮地に立たされている。五年続いた戦争は政治だけではなく、人民に対しても打撃を与えた。皆の心にトラウマを、悲しみという種を植え付けたのである。
男は戦地に駆り出され、最前線で両手両足の指でも数え切れないほどの人を殺し、その中で大勢死んだ。戦場を知らない女は工場で武器を作り、戦争で有利な状況であるという国からのプロパガンダに踊らされ信じ込み、一部の女は戦場の医療班に入り、襲撃してきた敵兵に捕縛され、慰み物にされて辱めを受け、中には殺される人もいた。だが、帰ってくるはずのない恋人や夫を待ち、耐え忍んだ。学徒は戦場で食べ物もまともにないような状況での医療行為や物資運搬などの雑用、行動の途中に敵の戦闘に巻き込まれ死ぬ者も少なくは無かった。
未だ、正確な死者は発表されていないが、政府の見解によると国民の四割が亡くなったそうだ。
私も、戦争での被害者だ。元々大学進学をして、卒業間近に戦争が起こった。このままなら職に就けていたが、戦争の影響でまともな仕事にも就けず、今はだらだらと傭兵をやっている。
今、国は貧乏だ。なんせパン一個銀貨十枚だからな。戦前じゃ考えられん、誰も買わなかっただろうな。今じゃそれ一個にみんな群がってる。
闇市でもよく今も人骨や死体を見かける。みんな爆撃の後埋め忘れられたやつか、食べ物が無くて餓死したのかの二択だ。私はこんな死に方ごめんだな。
最近は娯楽も繁盛してきたのか、繁華街のような場所が闇市にも出来てきた。そこに歌劇場ができたらしい。名は光明座と言ったっけか。
少し入ってみるか、
──そこには今まで聴いたことのないような、まさしく「光」と呼べるような唄聲があった。




