きらきらは夜空のもの
「冬の童話祭2026」、テーマ「きらきら」応募作品です。
すぐに読めるショートショートですので、よかったら、ぜひ読んでやってください。
ぼくの小屋の後ろには小さな池がある。
そこには、ときどき星が落ちてくる。
そんな小さな池に星が落ちるわけがないって?
信じられないなら見てみるといい。
ほら、今夜は白鳥座が沈んでる。
水面に白鳥座が裏返しで見えるだろう?
ぼくの仕事は、こんな星々を夜空に帰すことなんだ。
今夜のは鳥の星座で助かったよ。
水からすくい出せば、自分で飛んでいくから楽なんだ。
なんとか、元どおりにおさまったかな?
うん、大丈夫だ。
こないだ、オリオン座が落ちてきたときは大変だったよ。
ベテルギウスがおじいちゃん星だから腰が重くてね。
え?どうしてここに星が落ちてくるのかって?
それは、ぼくにもわからないよ。
でも、いつからなのかは、なんとなくわかる。
人が地上に灯りを灯すようになってからだと思う。
もしかしたら、その光を仲間だと思って落ちてくるのかもね。
手ですくうのかって?
いくらぼくでもそれは無理だよ。
このひしゃくを使うんだ。
あれれ、ひしゃくがないぞ?
あれがないと困るんだけどなあ……。
あ、白鳥座がくわえていったのか?
天に戻っちゃったみたいだね。
まいったなあ。
大変だ!
こんな時に、こぐま座が落ちてきた!
何が大変なんだって?
こぐま座のしっぽの先には北極星があるんだ。
北極星は天の中心なんだよ。
北極星が天にいないと、星々がバラバラになっちゃうんだ。
そうなったら、星座がみんななくなって、この宇宙は終わりかも知れない。
それは困るって?
でも、ひしゃくが無いとすくい出すのも難しいなあ。
君、何かいい方法を思いつかないかい?
そうだよね、そんなに簡単な話じゃないよね。
え?さっきの話?
星が落ちてくる理由かい?
それは、地上の灯りのせいかも知れないって言ったっけ?
まったく、人間がやることときたら、ちょっと先のことも考えなしなんだから困ったものさ。
だったら、灯りを消せばいいって?
それは無理じゃないかな?
地上の灯りを全部消すなんてできるわけないよ。
世界中の人が、ひとつにまとまったことなんて、一度もないでしょう?
なんとかやってみるって?
そこまでいうなら、頼もうかな。
★ ★ ★
いやあ、君も思い切ったことをするね。
まさか、灯りを消すために大陸ひとつ沈めちゃうなんてね。
そこの人たちはびっくりしたろうね。
方舟を与えたから大丈夫だって?
それで済ますなんて、君もひどいね……。
でもまあ、宇宙がバラバラになるよりはましかな。
おかげさまで、北極星も、こぐま座の他の星も天に戻ったよ。
ところで、この池はもう埋め立てることにしたよ。
何かあるたびに、君たちに迷惑をかけるのは申し訳ないからね。
それに、やっぱり星は夜空できらきらしてるのがいいからね。
ぼくの仕事も、これでおしまいかな。
これからどうするのかって?
星が落ちてきそうな池を埋め立てて回るよ。
一人で出来るのかって?
このポンプと水瓶で水を抜いてしまえばかんたんだよ。
じゃあ、またね。
(おしまい)
最後までお読みいただきありがとうございました!
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今回はちょっと不思議な童話でしたが、
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