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『編集長!近いですっ!』 ぽっちゃりOLの私、美容雑誌に異動したらイケメン上司の溺愛が止まりません。  作者: 間宮芽衣


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【感謝SS】美波の観察日記◇◇橘 美波視点


 ――彼女はいつも誰かに囲まれていた。


 私が初めて『餅田 まどか』のことを知ったのは新人研修の時だった。


 研修のグループが一緒になったのだ。


「餅田まどかです。宜しくお願いします。」


そう言って人の良さそうな顔で笑った彼女は派手ではないけど素朴で凄く可愛かった。


(かっわいい…!!しかもいい子そう!友達になりたい…!!)


確かグループディスカッションのテーマは『私の人生曲線』だったと思う。


 今までの人生を振り返ってどん底とピークをグラフで紙に書いてどうやって乗り越えたかなどを話す研修だった。


 ちなみに、彼女の人生のピークは高校生の時女子バレー部で県大会で優勝した時だったらしい。


「えへへ。毎日チームの子と練習帰りにゆで卵食べ放題のラーメン屋さんに行くのが日課でしたっ。


 あと、コーチが何故かオーバーハンドパスの指示を出す時に、『オージービーフ!オージービーフ』って

隣で叫んでるんですよ。


 緊迫してるのに何故か気が抜けちゃうんですよね。」


と言って笑っていた。

 

 どん底は、高校入試の時に盲腸で入院して泣く泣く第一志望の高校を諦めた時だったらしい。


「でも、結果的にはチームの皆に会えたし良かったなぁって思います!!」


(…結果を残せたからじゃなくて、そこはチームの皆に会えたから、なんだな。)


なんだかほわっと心が温かくなった。


 研修が終わって、早速私は彼女に話しかけてみた。


「ねえ、餅田さんって配属はどこになったの?」


「あ、橘さん!私は『UMAMIウマミ』だよー!


 というか、同期なんだし『まどか』でも『もちこ』でもいいよ!橘さんは?」


そう言ってまどかが笑ってくれたのでホッとする。


(…名前、覚えててくれたんだ。)


「私も美波でいいよ。私は『JOURジュール』。良かったら、今度…。」


そう言いかけた時だった。


「おーい!!もちこー!!お昼行くよーー!!」


せっかく連絡先を聞こうと思ったのに、他の『UMAMIウマミ』に配属された子達に遮られてしまった。


「あ、ごめんね。そういえば約束してたんだった…。良かったら美波も一緒に行く?」


せっかく誘ってくれたのだが、まどかの後ろにいる女の子達がなんとなく来て欲しくなさそうな雰囲気なのを察してしまった。


(あの子達、プライベートで話したい事でもあったのかな。これは空気を読んだ方がいいかも。)


「ううん。大丈夫。私、まだやらなきゃいけない事あるし。」


すると、まどかは残念そうに眉をさげた。


「…そっか。美波、また今度話そうね!」


そう言って行ってしまった。


(…あーあ。せっかく仲良くなれるかなって思ったのに。


 というか、今の私の言い方ちょっと感じ悪かったかな。


 『もちこ』ねえ。…絶対あの子、可愛いのに。


 なんだかそんな名前で呼んで欲しくない。あー、残念…。)


そんな事を思うのだった。


 そしてその日以降、なんとなく私はまどかを観察するようになった。


 毎朝クリームたっぷりのキャラメルマキアートを買って出勤すること。


 いつも人に囲まれていて一生懸命なこと。そして、食べるのが大好きな事。


「ねえもちこ、いつもキャラメルマキアート飲んでるよね?好きなの?」


「うんっ!!甘いの大好きっ!太っちゃいそうだけど。」


UMAMIウマミ』の子達とそんな事を言っているのが聞こえてきた。


 ――それを私はいつも羨ましいなと思いながら眺めていたのだった。


 研修が終わり、いよいよ配属先での業務がスタートした。


 配属された『JOURジュール』の編集長は高峰さんというモデルのような鋭利な感じのイケメンだった。


「見て!高峰さんだ!」


「イケメーン!!でもなんだか怖そうだよね。」


「『JOURジュール』の子からは評判いいみたいだよ。」


(うーん。なんだか厳しそうな人だな。怒られないようにしっかりやらないと。)


 まずは先輩達から、ひと月目は原稿などのパターンやトレンドを学びながら五件原稿の引き継ぎをする。


 広告記事で経験を積んだあと、企画記事などにも関われるようになるらしい。


 引き継いだメイクサロンの店長さんは幸い温厚な人ばかりでやりとりもスムーズに終わった。


 …それに、教育担当になってくれた篠原さんもとてもいい人だった。


 そんなある日、ランチを食べようと社食に行った時だった。


(た、高峰さん?!)


なんと高峰さんがおばちゃんに


「ご飯大盛り無料ですよっ!」


と言われて、何故か味噌汁を大盛りにしてしまったのだ。


(え?え?今のわざと?)


私がそう思ってじっと見ていると、高峰さんは『しまった!』という顔でキョロキョロしている。


 まるで、『今の見てたやついないよな?!』とでも言うように。


 そして、私と目が合って固まった。


「…高峰さん、お疲れ様です。」


「橘、お疲れ様。」


そう言って、スッと目の前を通っていった高峰さんは真顔だったけれど、よく見たら耳が赤かった。


(…あれ?なんかこの人って…。)


そして、トドメは同行して貰った時のこと。


「昼は俺が出すよ。」


そう言って、何故か牛丼屋のポイントカードをスッとカッコよく店員さんに出した。


「引き落とし、一回で。」


カードを出しながら高峰さんはドヤ顔をした。


(いやいやいやいや!!!!)


私が内心ツッコんでいると、店員さんが困惑顔で


「あ、あの、お客様?すみません。こちら、牛丼屋のポイントカードのようですが。」


「…あ。」


そして、高峰さんは何事もなかったかのように今度はクレジットカードを差し出した。


 上司だしツッコんでいいものか悩んでいたら、高峰さんの耳が真っ赤になっていた。


「…なんかツッコんでくれよ。。恥ずかしいだろ。」


そう言われて思わず私はニヤッとしてしまった。


 それ以来何かと私は高峰さんに遠慮なくツッコミを入れるようになってしまった。


 そして、しばらくしてからまどかが野球部の黒田先輩と付き合っているらしいと噂が流れて来た。


(あの先輩、優しいとか言われてるけど…。


 なんか人によって態度変えているような気がして私苦手なんだけどな。


 まあ、まどかが幸せならいいけど、あの子ならもっとかっこいい人と付き合えるのに。


 ――例えば高峰さんとか。)


 ――ちなみにまさかこの時、高峰さんが本当に餅田まどかと将来結婚するなんて思いもしなかったのだった。


 そして1年半後。


 なんとまどかが『JOURジュール』に異動になったことを社内メールで流れて来た辞令で知ったのだ。


(やったーーーーー!!!)


私は思わず心の中でガッツポーズを取る。


 幸い『JOURジュール』の同期は私だけなので、必然的に話す機会も増えるだろう。


 そんな事を思っていたら、高峰さんに呼び出された。


「メールで流れていたから知っているとは思うが、君の同期の餅田が『JOURジュール』に新しく入ってくることになった。


 ちなみに俺は厳しくする予定だから。聞くところによると、ラーメン担当になってかなり太ってしまったらしい。


 このままじゃサロンの担当者にも面目立たないからな。俺がムチの役をやるから、お前はアメをやってくれ。


 餅田が浮いたりしないように見てやってくれるか?」


なんとそう言われたのだ。


「はいっ!勿論です。」


私が答えると高峰さんは口を綻ばせた。


「…ちなみに俺はまだ話した事はないんだが、橘から見て餅田はどんな奴だ?」


そう言われて、私は笑顔で答える。


「…可愛くて、人にいつも囲まれている太陽みたいな子です!」


私の言葉に高峰さんは目を丸くした後ニヤッと笑った。


「…そうか。『UMAMIウマミ』の野嶋さんからも餅田はかなり優秀な奴だと聞いている。


 ――楽しみだな。」


「はいっ!!」


こうして、私はまどかが『JOURジュール』の仲間になるのを実は指折り楽しみにして待っていたのだった。





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― 新着の感想 ―
早速のSSありがとうございます! 感謝の気持ちでいっぱいです! 漠然とモヤっとしていたのが一気にクリアになりました そしてカードのくだりでは大声で笑ってしまいましたww 同時に、私の高峰さん像が音を…
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