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没落貴族の成り上がり  作者: 権兵衛
落ちこぼれ貴族として生きること
7/21

落ちこぼれ貴族は砂に飲まれる

警戒していたが僕のことは一切目もくれず後ろの倒壊した建物に目をつけた

強欲の罪が左腕を上げると瓦礫の影から無数の腕が伸び、瓦礫が持ち上がって行った

その下には下敷きになった親子がぐったりした様子で地に伏していた


「急いで助けろ!!」

「まだ間に合うぞ!!!」


救出したあと強欲の罪はゆっくり瓦礫を地面に下ろし、改めて周囲を見回した


パチりと目が合った気がした

フードの影で顔全て隠されており本当にあったのかわからないが、見られた気がしたのだ


身の毛がよだつ

全身の毛が全て逆だったのがわかった

圧倒的威圧感、これが最凶の罪なのか

その場の全員が警戒し目を離せずにいる

しかし瞬きの間に姿が消え土埃が残った

周りを見ても見当たらない

もうどこか、暴食の罪が暴れているところに向かったのだろう


「息が詰まるぜ、」

「あれが強欲の罪「グリード」なんだろ??」

「真っ黒な服、間違いねえよ。特徴が一致している。」


強欲の罪「グリード」人間界にいる神官の大半を一夜にして滅ぼしかけた殺戮者

暴食の罪「グラトニー」人間界だけでなく魔界、天界に至るまで口に入るもの全てを喰らった飢餓者


歴史に名を刻む2人の悪魔が邂逅し戦うなど、現地はものすごい戦乱に違いない


姉さん大丈夫かな、巻き込まれてもう…死んでそうだな


ーーーーーーーーーー


救助活動を行いながら逃げる

時々地面が揺れ、人々の恐怖心が募る


建物、日常が壊れていくのが可視化され絶望に飲まれる

砂しかなかったが人と人のつながりが美しく、笑顔で溢れていたこの国は今や人々が流す水分で潤ってしまった。


「生きてれば…なんとかなるはずなんだ…!」


心を奮い立たせる者もいるが両頬から落ちる雫は止まる兆しが見えない


中心地からある程度離れた広場でしばし休息をとる

空は太陽は隠れ、寒さがやってきた。

瓦礫の中から使えそうな木々を集め炎の魔力を持つものが火を灯す。身分も関係なく地に伏せる


夜も更け息が白くなった


『母上、大丈夫ですか?』


「ええ、大丈夫よ。ソルこそ平気?」


今日だけで老けてしまった母上の身を心配する

綺麗だった洋服も砂で汚れてしまった


星を見る

他の大罪が駆け付けたというのに未だ父上と姉上やイポスが帰ってこないということは、決着はまだまだつきそうにない。


そろそろ眠りに着こうと目を閉じる

すると強い風が一体に吹き荒れ火が消えてしまった

非常事態に人々も瞬時に目を覚まし警戒体制に移行する


「あかりを灯せ!!」


「周囲を警戒しろ!!」


周囲を見回しても生物の気配は察知できない

何事もないと一瞬のきを脱いとき左から真っ黒な巨体が建物を破壊しながら吹き飛んできた


「うわあああ!!」

「助けてくれー!!」

「きゃあ!!!」



突っ込んできた黒い巨体に巻き込まれ何人か吹き飛ばされて行った


巨体の方に目を向けると獣のようであった

5階建ての建物を裕に超えるのそ背丈は地上に存在しないものだと本能が瞬時に気付き察知する


黒い巨体から伸びる三つの首

その先にはこの世の全てを噛みちぎりそうな凶悪な牙を持つ犬の顔があった


しっぽに犬の数と同じ大きな蛇が蠢き建物を破壊する

破壊された瓦礫の一部が雨のように避難民に襲いかかる


「うわああああ!!」

「どうしてこんなところに化け物が!?」

「誰か助けてくれえ!」


一瞬にして命が散っていく、さっきまで笑顔で話していた国民が絶望した表情で目の前で死んでいく

足がすくんで動かない

ここで僕は死んでしまうのかもしれない

体に反し頭の中はクリアだった

忘れていた子供の頃の記憶を思い出す


『あぁ、よく母上に本を読んでもらっていたなぁ』


頭上が暗くなる

もうスピードで瓦礫が迫っているのが視界の端で捉えることができた

しかし身体は動かない。ここで民と終わりを迎えるのも公爵家の落ちこぼれとしては綺麗な最期なのではないかと思ってしまう

あと数メートル

僕は目をつぶり最期の時間を待った


「ソル!危ない!!」


あぁ母上、先にいくことをお許しください

あぁ、僕をいじめてきたやつ、バカにしたやつは見返すことなんかできなかったな


それだけが心残りだ…

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