大事件!初邂逅!!
父上との連絡が取れなくなったとわかったのは一週間前
暴食の罪が砂漠の南方 唯一の癒しの場「オアシス」に陣取っているようでその場は交易の仲介地、奪われてはこのカルテリヤーの財政が終わってしまう
そのため父上たちは兵士を集め乗り込み、その後連絡が途絶えたようだ
連絡が途絶えたさらに一週間後、姉のアポロとその守護であるイポスが戦地に赴くことになった
姉だけでない同級生のライオとシルウァも行くようだ
学校で送行会を行い煌びやかに戦地へ送り出した
うるさい奴がいなくなって教室はものすごく静かになった
僕への無能いじりもあまり行われなくなった
親がいなくなって寂しいのだろう、しかも僕と同じように音信不通の親もいるようだ
聞くところによるとオアシスは枯れ果て、死の大地になっているようだ
砂嵐が多発し兵士もへとへと
普通の戦地より過酷な状況のようである
『はぁ…何してるんだか』
毎日同じことを繰り返し何も成果を得られない
未だ父親の消息も不明
家も暗い雰囲気で息が詰まりそうだ
そうして数日が過ぎた
「大変!!ソル!!暴食がカルテリヤーに近づいているようなの!!」
母上が血相を変えて部屋に入ってきた
手に握られているのはアポロからの連絡であった
「お久しぶりです母上。アポロ・クロノス・カルテリヤーです。お急ぎ伝えたいことがあり連絡いたしました。現在暴食の罪「グラトニー」が祖国カルテリヤー共和国に向かっております。お気をつけください。」
「PS.ソルあんたはお母様たちをしっかり守りなさい。生き残ることを考えるのよ。」
急いで書いたようで字が所々乱れている
『ヤベェな…あいつらでも勝てないのかよ』
その後母上の指示のもと何かあってもすぐに逃げ出せるように準備を整えた
暴食の罪がこの国に近づいていることは周囲にも伝わり学校が臨時休校になったり、食料が不足したりてんやわんやだった
「米がねえ!飯がねぇ!!」
「俺らが飢えちまう!!」
「貴族の連中は何をしているんだ!!」
国民は混乱
戦地に赴かなかった貴族はその対応で大忙し
必然的に屋敷に一人取り残されることとなった
母上は街で食料にありつけない国民に対しご飯を配っているようだ
その点僕は部屋で煎餅を齧るのみ
何してるんだか…もう一枚煎餅を取ろうとしたとき巨大な爆発音が屋敷全体に響き渡った
「うわぁぁあぁ!?!?」
「きゃぁぁぁ!?」
地面が揺れ頭上から砂埃が落ちてくる
屋敷に残った使用人が血相を変えて部屋に飛び込んでくる
額を切っているようで血が流れていた
「ご無事ですか?!カルテリヤー共和国入り口付近で大きな爆発が起きたようです!!」
『はぁ!?まさか暴食か!?!?!』
「ええそのようです!急いで逃げましょう!!ここは危険でございます。」
『くっそ、マジか…』
急いで荷物をもち部屋を出る
母上と合流し使用人も集合する
「全員いる?ちゃんと確認して!」
「調理班全員揃ってます。」
「掃除班同じく。」
「メイドも全員います。」
「了解、一旦外に出るわよ」
屋敷全員が揃ったことを確認し街へ向かう
街は混乱を極めていた
爆発の衝撃で建物が崩れ下敷きになってしまった人もいるようだ
「大変!今助けます!!」
母上たちは国民を助けに向かった
僕も向かおうとした矢先隣の建物が爆発し火の手が上がる
「鎮火しろぉ!」
「水の使い手はいないのか!?」
「ここ砂漠だぞ!水を操れる奴らは戦地の方へいっちまったよ!!」
「しょうがねぇ!砂かけろ!!」
うおぉぉぉぉと鎮火に勤しむ街の人々
僕は何もできない
とりあえずどこかに助けを求めている人がいないか少し探しに行こうと歩き出した瞬間_周りが暗くなった
「おい坊主!!あぶねえぇ!!」
『…へっ?』
上を見ると瓦礫が僕自身に向かって落ちてくる
走っても間にあわないほど大きな瓦礫だ
『あっ…これ死……!』
死を覚悟し目を瞑った瞬間
浮遊感に襲われた
地面が揺れ砂埃が目を瞑っても感じることができた
目を開けると真っ黒なパーカーをきたフードを被り顔が見えない…男?が僕を抱えていた
先ほどの砂埃で火の手も治ったようだ
「怪我」
『え、あ、、ないです。」
僕が答えると手を離し周囲を見回した
この男…なんとなく見たことあるような
「この真っ黒い服に深く被ったフード…」
「間違いない、強欲の罪だ…」
周囲がざわめく
強欲の罪 現在の大罪の中で1番凶暴で凶悪であると噂されている
混乱する現場が一気に冷え込み戦慄している
救助の手も止まっている
「……。」
無言で母上に近づく使用人は怖気付いて動けない
『クッソっ!』
強欲に立ちはだかる
「バカ!!下がりなさいソル!!」
『お、俺は、ぁ!!ソル・クロノス・カルテリヤーだっ!クロノスこうしょ…!公爵家の長男である!!』
緊張で舌が回らない中精一杯睨みつける
僕の前に奴が立つ、思ったより身長が高くて真っ黒なフードの中から威圧を感じる
服がだぼっとしているので骨格がわからない
この下ムキムキしていたらどうしよう