悪夢の始まり
毎日同じ訓練をし学校に通いバカにされながら毎日過ごしていた
そして毎日同じ夢を見る
_知らない、見た事がないはずの子供が新月の日に神殿にいる神官を……殺して回る__夢だ
知らない、こんな光景アニメや漫画でも見た事ないのになぜか知っている
こんな夢を見ているからか、ただの直感かはわからないが僕は悪魔を召喚することに決めた
毎日召喚に挑戦しているが兆しが見えないが…
そして秋口になった
夕食後談話室でイポスとアポロに相談していた
暖かいココアを飲みながら談笑する
砂漠は夏が終われば一気に冷え込む、夜なら尚更である
「なぁにがダメなのかなぁ」
「根気がないんじゃない?」
『召喚って根気どうこうの話なのかよ』
二杯目のココアを飲み干しながらケタケタと笑っている
アポロのココアも狙っているようだ
「結構根気が重要よ。召喚には体力もそうだけど悪魔に耐えうる体も必要だし。」
『悪魔に耐えうる体か、僕にはまだそれが備わっていないのか??』
「かもねぇ、ひょっとしてえげつない悪魔か魔物呼び出しちゃったりして…クフフ」
『魔物?魔物かぁ』
「そそ!!悪魔の中にも上中下って位があるけどそれは魔物も同じ。中級だとミノタウロスとか! 上級だとサイクロプスとかね!」
『ほほーう…夢が広がるなぁ』
「あまりでかいもの出さないでね」
あらかた話した後それぞれ自室に戻った
ベットに潜り込む
ミノタウロスにサイクロプスか…
『ふへ…ふへへ……』
ニヤケが止まらない
つえぇ魔物呼び出して今までバカにしてきたやつを見返してやるのだ…!!
その晩はいつもの悪夢は見ず、召喚に成功した時の夢を見た
そして朝がきた
久しぶりに深く眠ることができた
朝練を姉と行い朝ごはんへと向かう
しかし朝食の空気はとても重いものであった
七つの大罪である暴食の罪が暴走しているようだ
魔界へ通ずる扉があるイニティウム皇国が被害を受け父上たち上級貴族が駆り出されることになったのだ
「このカルテリヤー共和国に被害が出るかもしれない…」
父上が重い口を開いた
イニティウム皇国から結構離れてるこの国が、自然も何もないこの国がなぜ暴食の目に止まったのだろうか
「え、なんで??」
アポロが口に入れようとしたスープをこぼしながら尋ねる
こぼしたスープは父上の守護が拭いている
「食料が豊富な南方のリトティス王国に向かわずこっちの砂漠に迷い込んだようでな、食べ物もないし地上に沸いた魔物は美味しくないしでさらに暴走化が進んでいるようだ。」
「なるほどねぇ…暴食さまが暴れたとなると神殿だけでなく魔界の協力も必要かなぁ」
イポスが言うと父上が賛同し僕に向かって
「ソル…お前にはこの屋敷を守ってもらいたい。」
真剣な顔で真っ直ぐ話す
『え?!ぼ、僕ですか??!!』
「そう、僕だよ。この先何が起きるかわからない。もしかしたらアポロたちも戦いに巻き込まれてしまうかもしれない」
「え、私もですか?」
「あぁ、皇国で良い成績を収めているお前は高確率で召集されるだろう。大罪の中でも下位に位置すると言っても何が起きるかわからない。だからこの屋敷にいる従業員や母さんを守れるのはお前だけだ、ソル。」
真っ直ぐな目で見つめられる
ここまで父上に頼られるのも初めてである
しかしここで断れる心は持ち合わせていなかった
『わかりました…!なんとかします!!』
「よくいった!!任せたぞソル!!」
笑顔で僕の頭を撫でる父上
このような扱いを受けたのは子供の頃にかけっこで一等賞をもらった時であり懐かしく感じた
その日の朝父上は皇国へ旅立って行った
学校の何人かの親も皇国に向かったようだ
寂しそうな雰囲気が漂っていた
そして2週間後姉が旅立つ事が決まった
父上の通信が途絶えたのだ