出来損ないは学校に行く
馬車に揺られ学校へ向かう。 僕は10歳姉も10歳なため学校に通っているが姉とは別々の学校に通っている。 アポロは人間界の中心、イニティウム皇国にある学校に通っている。僕は地元の学校。
砂を撒き散らしながら進む。暑い太陽はずっとこの国を照らし続けている。
「そろそろ到着します。」
運転手が告げると、正門が開き中に進み駐車する。
「いってらっしゃいませ、御坊ちゃま。」
『おう。』
教室に着く。 このクラスは公爵、侯爵、伯爵など上位の貴族が共に学んでいる。
10歳にもなるとだんだん召喚に成功してくるものも多い。召喚はイポスなど悪魔など人型は少なく、魔物など動物型が大半を占める。
空中に羽のついた猫が飛んでいたり、ツノの生えた犬がいたり騒がしくなっている。
天使の力も得た者もおり、教室の端では喧嘩が起こりそうである。
そしてこの僕は魔物も天使にも見放されている。
「よお、落ちこぼれ公爵家長男様。」
「今日もしけた顔してますね。」
ケラケラと僕の周りでふざけ回る儀式に成功した奴ら。一切見込みのない僕を馬鹿にしては、、、
「コラ〜!!弱い者いじめするな!!!」
こいつにボコボコにされるのがオチである。
真っ赤な髪に黒い瞳を持つこいつは侯爵家次男「ライオ・カイロス・カルテリヤー」であり僕の母方の親族である。
「そうだ!!ライオ!!正しいことをしろ!!自分が正しいと思ったことをするのだ!!!」
後ろで騒いでいるのがライオが召喚した悪魔、守護と呼ぶらしい。
ライオと同じような真っ赤な短い髪に真っ赤な瞳を持つ名前は「シルウァ・トロピカ」だ。
「きやがったな暑苦しい奴らめ、!」
「今日こそ負かしてやる!!」
周りでギャイギャイ騒いでいると後ろから先生がやってきて僕まで怒られた。なんでや。
今日も退屈な1日が始まる。
主に学ぶことはこの世界の常識である。歴史や世界情勢、礼儀などだ。
「一時間目は魔について学んでいきます。さて前回は人の生まれ方について学びましたが覚えていますか?」
「はい!! 魔物共がやらかして地下へ追いやられ地上は人間達により支配されました!!」
「そうね、その通り。 さて今日は属性についてお話ししましょう。」
この世界には7+1の属性がある。 なぜ7+1と表記するのか、それは7属性は七人の悪魔が司り、残りの一つは天使達が司っているためである。
「さて!七人の悪魔がどの属性を司っているのかわかる人!!」
「はい!」
「はい!」
「はい!」
教室の全員が手を挙げる。 僕以外が手を挙げる。
「じゃあ唯一手を挙げてないソル君!!」
「は!?!?」
急に名前を呼ばれ驚いた。 視線が一気に僕に集中する。くすくす笑う声も聞こえる。
『傲慢が水 嫉妬が土 憤怒が炎 怠惰が風 強欲が闇 暴食が木
色欲が氷 です。』
「さすが!よくできました。」
この悪魔たちにより属性は管理され魔物は自分にあった属性を生まれた時付与される。 これを「祝福」といい、同時に個々に能力が与えられる。
「例としてシルウァ君、君の祝福を教え、実演してください。」
「おうよ!!先生!!!!」
真っ赤が前に出る
「俺は憤怒の祝福を受け炎属性を持ち!!能力は操熱だ!!!」
そういうとシルウァは人差し指を高々と掲げ指先から炎を出現させた。
「この炎は触れても熱くない。」
「ほんとだ、熱くない!」
近くにいたクラスメイトに炎を触れさせる だんだん指先の炎の色が濃くなる。
「だんだん暖かくなった!」
「これが熱を操る祝福だ!!!!祝福による固有能力はランダムだ!!!!」
パチパチパチ
拍手が上がる。 シルウァがやり切ったような表情で席へ戻る。
「このように魔物は七人の悪魔、七つの大罪から祝福を受け能力を授かります。その能力は属性に起因することが多いですがまれに一切関係ない能力が目覚めることがあります。」
「さて次はシルウァ君から加護を受けたライオ君、前にどうぞ。」
「はい!!」
ライオが前に出る 次はライオのショーが始まるようだ
「同じように能力の説明お願いします。」
「はい!!俺はシルウァを召喚、守護とし加護を得て炎属性と分身という能力を手に入れました!!」
そう言うと少し周囲の温度が上がった後ライオが二人に増えた 二人から四人 六人と増えていくが最初の方に出現したライオはゆらゆら揺れ後ろがうっすら見える
「多く分身体を作り出すと最初の方に出したやつは消えかけちゃうんだよね!」
「さすがソル君のお姉さんアポロさんとほぼ同時期に儀式に成功しただけあるわね!」
どわっはっは!!
教室が笑いに包まれる 笑っていないのはライオとシルウァだ
わざわざ僕の姉や侯爵比べ、僕だけを落とす この国は貴族が治めているため出来損ないな貴族へのあたりは当然強くなる 無能に国は任せられないからだ
「ライオ君ありがとう、席にもどってください。」
ライオが席に戻り授業が進む
心配そうに熱血二人が僕の様子を窺っているが無視した
いつか僕もライオ達のように魔でも天でもどっちでもいいから
あいつらを見返したい
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
数センチ先が見えないほど暗闇に包まれた空間に佇む人物がいた
足元には赤黒い液体が滴っている
「う、うぅ、、だ、誰か、助け、、、」
地面で蠢いていたモノはもうぴくりとも動かなくなってしまった
「…何か……強い欲を感じた気が…」
「まぁいいや、これ片付けといて」
「はっ!」
赤い汁を滴らせながらその場を去る 赤い斑点がライトのように暗闇を照らしていた