12月33日より
日めくりカレンダーの日付が12月33日になっているのを見て「ああ、やっぱり年を越し損ねたんだ」と納得しました。なぜ昨日気が付かなかったのかは謎ですが、多分お屠蘇の代わりにビールを飲み過ぎたせいでしょう。
一人暮らしを始めてすぐにおせちは食べなくなりました。朝が弱いので初日の出は大抵の場合、頭上で燦々と輝いていましたし、人混み嫌いの私にとっては除夜の鐘や初詣も縁遠い存在でした。唯一、緑色のパッケージのカップ蕎麦だけは、紅白を観ながら何となく惰性で啜っていたのですが、今年はそれさえも忘れていました。
年越しの諸行事を軽んじたことが気に障り、年神様から罰を当てられてしまったのか、それとも偶然パラレルワールドに迷いこんでしまったのかは分かりませんが、取りあえず年越しに失敗したことは確かなようです。
とはいえ、現代の社会人なんて大体似たようなものなのでしょう。いざ出社してみると、8割の社員はこちら側に来ていました。午前中いっぱいはこの怪奇現象について皆で盛り上がり話していましたが、残念ながら弊社には正月休みなんてほとんどあってないようなものでしたので、昼過ぎにはいつも通りの業務に三々五々戻っていきました。
パニックにならなかった理由の1つは、既に同じようなことを経験していたからです。2、3年ほど前、私はうっかり年を取り損ねました。子供の頃は誕生日を忘れるなんて信じられませんでしたが、切ないことに祝われる機会がなければ案外簡単に過ぎ去ってしまうものです。そうなってみると、会社の中にも似た境遇の社員がいることに気が付きました。
課長は定年退職し損ねて、たしか今年で米寿になるはずです。帰宅し損ねた同僚は普段から休憩室で生活しているようですし、勤続12年のベテラン新入社員である先輩も仕事に慣れ損ねたのでしょう。これはあくまでも噂に過ぎないのですが、こんなポンコツ社員ばかりの弊社が潰れずにすんでいるのは、何年も前に倒産し損ねたからだという話もあります。
何はともあれ、年を越しそこねたものの、相変わらず日常は続いていくようです。長いうえに少し遅くなってしまいましたが、この報告をもって年賀状と代えさせて頂きます。
皆様は、きちんと年を越せましたか?