表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

番外:魔王

これで完結です。

 我は、魔王。


 偉大なる霊峰グリューヒンケル連山の魔力を纏いし、並ぶ者無き強者。


 空を行くドラゴンも地を駆けるグリフォンも我の前では足を止め、顔を伏せる。

 闇を纏いて太陽を覆いつくし、時空を捻じ曲げて大地を突き崩す。比類なき強大な魔力をもって世界に我ここに在ると知らしめる。


 この世界を我が力に染め上げて、すべての者の上位に君臨するのだ!


 ・・・で、あるはず、なんだが。


 何故か、『勇者』には敗れてしまう。

 我の系統をたどると、何人もの強者が『勇者』に倒されている。

 よくもまあ、血が途絶えないものだと感心するぐらいに。


 どうやら、後継者を作っておいてから、事を始めたようであるな。

 うむ、さすがは我が偉大なる先祖たちだ!


 うん? という事は・・・今回我が倒れたら、血が絶えるという事、か?・・・

 むむむ・・・相手を探そうとしなかった我に子作りをしろとうるさかった爺の言う事は誠であったか。

 しかし、こればかりは我にも手の打ちようがない。どうしろというのだ?


 ふふ、まあ良い。我が死ななければ問題ないのだからな。

 幸いにも、今代は勇者の因子がどこにも見当たらぬ。我の思うがままよ!

 このまま世界を我の手に!


 なんと・・・にっくき人間どもめ、異世界から『勇者』を呼び寄せおって!

 くっ・・・こやつには、か、勝てない・・・っ!


 よ、よし、こうなれば我の奥の手を。

 万が一のために考案していた『憑依』と『転移』を・・・発動!!

 これ、で、なんと、か・・・逃げ延びる・・・






 むう・・・ここは、どこだ? やけに魔素が薄いな・・・


 行き先を指定せずに来てしまったからの・・・枯渇した魔力を補充せねば戻ることも叶わぬ、か。


 だが! かろうじて生き延びたのだ、我は!

 この僥倖をもって復活するべきぞ!

 ・・・今しばらくは忍苦の時間(とき)・・・



 む? 誰じゃ、おぬしはっ! 『勇者』と同じ気を発しおって!

 ここまで追ってきおったのかっ! むふふ、だがこれなら倒せまい?

ははははっ、我の深謀遠慮に悔しがるがよい!

 ・・・え? また刺して行っちゃうの? なにゆえに?


 ノ、ノオゥゥッ!・・・こ、今度は、真正の『勇者』がああぁぁっ!

 しかも! しかも、我が宿りし剣を、ポッキリと折りおってぇぇっ!!



 これでは、我は、我は還ることができぬ!

 こ、このまま、我は朽ちていくしかないのかぁぁぁぁ~~~

 ぐっすん・・・


 ん? 今度現れたのは・・・

 妙~に神聖な気を纏っておるようじゃが・・・おぬし、聖女、か?


 おおおぉぉっ、我を一瞬で治しよったぞ、こやつ!

 おまけに転移門(ゲート)まで開いて・・・!!

 やはり聖女ではないか! 何、違うと?オトコであれ、その力は聖なる力じゃ!

 じゃからおぬしは・・・あああっ、我を転移門(ゲート)に投げ込むなっ!話を聞けぇぇぇ!







 ・・・・・・戻ってきてしまった・・・・・・




 我の、世界、じゃな、ここは・・・。

 しかも、剣から分かたれて・・・我、に、なっておる・・・。


 なんともはや、『勇者』の世界は恐ろしい・・・。

 只人であっても、発する気は『勇者』に酷似して。『聖女』の力持つ者まで居るとは。

 あんなところから来られては、我はもう死ぬしかないではないか。


 ・・・・・・・・。



 決めた。


 ここで、ひっそりと生きるのだ。

 見つからぬよう、息をひそめて。



 霊峰の奥深く、分け入るとしよう。

 表舞台になぞ、もう興味ないわ。





妄想がひた走った作品になりました(苦笑) 結果、魔王クンがヘタレに。最初の設定ではもう少し威厳が残っていたはずですが・・・どこで間違えたんでしょうか???

何はともあれ、お付き合いいただきありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ