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危険性はどのくらい?

 新型コロナウイルスについては、未だ分からないことも多い。しかし首相官邸政策会議、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の資料が、今のところ得られる最高の見識の一つであろう。

 まず、世間的な認識(私の偏見)では、新型コロナウイルスの認識は以下のようなものだと思う。

・極めて高い感染力を持つ。

・感染しても発症しなかったり、極めて軽症だったりすることもある。

・高い致死率を持つ。

・特効薬が存在しない危険な病原体である。

・感染者と接近すると感染する。


 以上の認識が全て間違っているわけではない。しかし誇張されているか、正確ではない可能性がある。新型コロナに対する過剰な恐怖は、感染者差別や、無理な引きこもりによるストレスへと繋がりかねない。精神的に疲弊し抵抗力が落ちると、それこそ新型コロナウイルス感染症の発症率が上がってしまう。


・新型コロナウイルスの感染力はまぁまぁである。


 新型コロナウイルスの感染力は、基本再生産数で表される。一人の感染者が、平均で何人に新型コロナを感染させるかという指標だ。

 2月29日時点での専門家会議(第五回)の推定では、最低で1.4、最高で2.0、妥当な数値が1.7とのことである。何故その数値が妥当かという説明も資料にはあったが、難しいので気になる方は調べてみてほしい。もちろん、インターネット上で公開されている。

 これは一般的な季節性インフルエンザの1.2〜1.5と比較してやや高い程度である。少なくとも感染力に関して、圧倒的な数値とはいえない。そしてこの数字は現状においても大きく訂正されてはおらず、国際的にも高くて2.5と推定されているようだ。


・発症しない事がある程度ではなく、大抵の場合発症しない。


 根拠資料は先述した専門家会議の第五回資料である。武漢からの日本人帰国者の観察値から、発症率そのものが9%程度だと推定された。つまり感染者が十人いても、症状が出るのは一人である。なお基本再生産数は1.7という前提で算出した数値だ。

 以下のデータにおける重症化率や入院率は、中国における2020年12月8日から 2月1 日までの全数調査38818人をもとに算出された。(Yangetal.medRxiv2020,https://doi.org/10.1101/2020.02.10.20021675)


発症率の推定

小児(〜14) 5.1%

成年 8.1%

高齢者(65〜) 12.8%

全年齢平均 9.0%


人口10万人あたりの推定

小児 5,080

成年 8,045

高齢者 12,765

全年齢平均 8,987


 つまり、感染したとしても多くの場合分からないということだ。知らず知らずに他人に感染させてしまうかもしれないというのは、こうした理由である。


・成年にとって新型コロナウイルスの致死率は極めて低い。


 先にデータを提示する。算出方法や参考資料は先の物と共通だ。


入院率の推定

小児 0.6%

成年 0.2%

高齢者 5.8%

全年齢平均 1.8%


人口10万人あたりの推定

小児 585

成年 194

高齢者 5,773

全年齢平均 1,782



重症化率の推定(死亡率ではない!)

小児 0.06%

成年 0.02%

高齢者 0.58%

全年齢平均 0.18%


人口10万人あたりの推定

小児 58

成年 19

高齢者 577

全年齢平均 178


 数値が低すぎると考えられるかもしれないが、あくまで、感染者全体からの推計である。発症者からの推計ではない。例えば高齢者の場合、発症してしまえば4.5%程度が重症化するのだ。そう考えると『高齢者にとって危険な病気であることはまず間違いない』。

 ただし成年の場合、発症したとしても死亡率は0.2%である。あ、だからといって安心してパーティーを開いてはいけない、高齢者に感染させるリスクは依然存在するからだ。

 とはいえ成年にとっては、命の危険を身近に感じるほどの病気ではない。

 たとえば季節性インフルエンザと比較してみよう日本での季節性インフルエンザ感染者数は900万人から1400万人の間と言われている(注・発症者とは限らない)。そのうち死亡者は1万人だ。根拠は先述し続けている専門家会議の第一回資料である。

 季節性インフルエンザの致死率は最も低く見積もって0.07%だ。この値は、新型コロナウイルスによる『高齢者の重症化率よりは明らかに低い』が、『成人の重症化率よりも明らかに高い』のである。ただし、『全年齢平均の重症化率の半分以下』なので、季節性インフルエンザ程度の脅威というのはあまりにも過小評価が過ぎる。若者にとっては新型コロナよりインフルエンザの方が死亡しやすいというのも違う。全年齢平均と成人の平均を比較したら、全年齢平均が高くなるのは当たり前だからだ。

 ただ成人に伝えたいのは、『高齢者に感染させてしまうかもしれないというストレスを感じるのは仕方ない』にしても、『自分がコロナにかかって死ぬかもしれないというストレスを過剰に抱える必要はない』ということだ。


風邪菌(ウイルス)に特効薬がないのは当たり前である。


 基本的に、特効薬が存在するウイルスの方が圧倒的に少ない。風邪薬もそうだが、症状を抑えて免疫に頼るというのが普通である。新型コロナウイルスがウイルス性の風邪の一種である以上、当たり前である。勿論脅威ではあるのだが、理由付けとして特効薬が無いことを挙げるのはなんとも奇妙に思う。



・感染経路は飛沫、および接触である。


 これは比較的よく知られていることだろう。マスク、手洗いうがいが推奨される理由でもある。原理的には、感染者にどれほど近づこうとも、決して彼等のふれた場所に触れず、飛沫を吸い込まなければまず感染はしない。

 勿論それは難しいので物理的距離を取る必要があるのだが、ダイヤモンドプリンセス号で活動しながら一人の感染者も出さなかった自衛隊のように、防備によって感染を予防する事が可能だ。

 だからコロナウイルス感染者が出た施設を過剰に警戒する必要はない。隅々まで消毒されている筈だからだ。


・危険なのは高齢者である。


 理由は先に説明した。大抵な病原体がそうではないかと思うかもしれないが、スペイン風邪のように逆である場合もあるので注意が必要だ。


・新型コロナウイルスの症状


 基本的には、呼吸に関係する風邪症状である。重症化しやすい方の場合はきちんと帰国者・接触者相談センターなどに即座に連絡する事だ。または風邪にしては重いと判断した場合や、長引く場合も即座に連絡すべきであろう。

 なお味覚障害については決定的な事が書かれていない(5/4日の第十三回会議の時点では)。

 重症化すると肺炎を起こし、急性呼吸不全、敗血症によって死亡することがある。


・突然変異の可能性は否定できない。


 今のところ危険性はそれほど高くないと推定されるが、変異してより強力になる可能性は残されている。

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