はじめに・SARS-CoV-2の情報は何処から得たのか?
本話のタイトルから困惑されたかもしれないが、SARS-CoV-2とは世にいう新型コロナウイルスの正式(学術)名称である。そして新型コロナウイルス感染症そのものを、COVID-19と呼ぶ。
そしてこの感染症が、今まさに人類史に大きな爪痕を残しつつある。政治界、芸能界の大物も亡くなっているし、総計では既に25万人を超える人間が死亡している。
しかしこのウイルスは、本当に報道されているほど恐ろしいものなのだろうか。いや、「実際のところどのような病原体で、いかなる対策が取られている」のだろうか。
疑うことすら非難されそうな状況だが、報道の正確性に疑問を持ってしまえば、調べずにはいられなかった。とはいえ私程度の知識や情報収集能力では、信憑性のある情報など得ようべくもないので、政府の資料を頼ることにした。『新型コロナウイルス感染症対策本部』及び、『新型コロナウイルス完対策専門家会議』である。
政府情報は必ずしも信用がおけるとは言わない。しかし、少なくとも私個人よりはマシな筈である。
何より政府がコロナウイルスどのように認識していて、どのような対策をしているのか知っている人は多くないように思う (偏見)。知っていると思っていても、実のところ「マスコミ報道を通してしか知らない」人がほとんどなのではないだろうか。
今回の新型コロナウイルスが、スペイン風邪以来のパンデミック的拡大を引き起こした特異で危険な病原体であることは、私とて重々承知している。それでもなお、報道は少々恐怖を煽りすぎている面があると思うのだ。
情報というものは、比較検討しなければ情報としての価値が殆ど無い。例えば五万円と聞いて、大金と取るか、はした金と取るかは人それぞれだろう。しかし小学生に渡すお小遣いだといえば、多くの人が多いと感じるはずだ。さらに、小学生のお小遣いの平均が五百円(これは今私がテキトーに決めた数値です)だと分かれば、より多くの人が、平均の百倍という認識を共有することになる。
そして情報というのは、具体例が容易に思い浮かぶほどに、その影響が過剰に評価される。
たとえば、今世界では沢山の戦争が起こっていると思いますかと質問されたとしよう。その時人は咄嗟に、頭の中にいくつかの知っている戦争の名前を思い浮かべる筈だ。そして思い浮かんだ数が多い人ほど、戦争が多いと回答するだろう。
しかし考えてみてほしい。質問されたのは、貴方が戦争をたくさん知っていますかということでは『ない』。質問が無意識にすり替えられたのだ。こうしたズレを、心理学用語で利用可能性ヒューリスティクスと呼ぶ。人は知っている事だけで世の中を判断するしかないので、仕方のない現状ではあるものの、正確な現状認識には障害となってしまう。知っている事が悲観的な情報であればある人ほど、世の中を非難的に考えるだろう。しかもその情報の殆どは、自ら学術的なソースを探って得た情報ではない。目に飛び込んできたネットニュースや、テレビをつけていたら目に入ったニュースの情報だ。
そこで本作は、少しでも直接、政府系の情報を伝えたい。専門家会議が認識するコロナウイルスの実態と、行われている完全対策と効果について解説していく。暇があれば、是非最後までお付き合い頂きたい。
首相官邸・新型コロナウイルス対策本部https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/taisaku_honbu.html