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回避出来た令嬢は?  作者: 明月 えま
第1章・新しい生活の始まり
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そうだ!旦那様の職場へ行こう!

レイローズは、徐々にリオン大好きになっていく。リオンを意識していく過程になります。

3月も下旬、春うららかな陽気の中、私の旦那様は宰相という役職から、年度末の多忙さに振り回されて、毎日、午前様でしか帰って来ない。


屋敷の者に聞くと、この時期は王城に泊まり込む事が多かったらしく、帰宅する事の方が珍しい様子。


日本だったら、大人だから、職場からは自分で自動車やら電車で帰って来るんだろうけど、この世界、しかも国のトップにいるため、御者だけでなく、護衛騎士もついている。


泊まって来ても大丈夫よ、と、体調が心配だった為、言ってみたら、彼の何かに触れたようで、久しぶりに凍てつくような眼差しを頂きました。


今朝まで、全然寝せて貰えなかったんだけど。一体、どういう体力してるのかしら。

でも、やっぱり、人間だから疲れてるハズよね。

私は昼まで起きれなかったというのに。


ふぁぁ。と、欠伸をして、ベッドを降りる。

アリスを呼んで、入浴する。昼間の入浴なんて、贅沢。

実は、温泉掛け流し。何て素敵。

衣類を整え、髪を結ってもらってると、もう午後2時を過ぎている。


朝食も食べてなかったので、軽い軽食を食べながら、昔からリオンに仕えているベテランメイドのベスさんに、リオンの多忙時の食事を聞く。

聞くと、この時期は食事は殆ど食べず、大豆から作った携帯食を片手に仕事をしている。

携帯食は、本人がこういうのを作れと指示し、何度か試行錯誤して認められた物を毎日、届けているのだとか。

ソイ◯ョイじゃないですか、それ。

カ◯リみたいなのも作らせてた。


ダメでしょ、旦那様。

それに慣れっこになったこの屋敷の人達は、それが当然とばかりに、何の疑問も感じて無い様子。


「ベス、私、旦那様のお夕飯を持っていくわ。携帯食ではなくてもっと栄養価のある普通のお食事を食べて頂きたいの。急に思いついて、料理長には悪いんだけど、どんな料理が出来るか相談出来ないかしら?」

「かしこまりました。奥様は、お優しいですね。」

「そんな事は無いわ。人間、バランス良く食べないと、体調を崩してしまうのよ?」

「では、夕飯という事でしたら、急ぎ、料理長に伝えて来ましょう。」


料理長は、急に呼び出されて、慌ててやって来たが、流石プロ。

サンドイッチの様なものを提案すると、今日の夕飯に用意していたサラダや肉類をロールパンに挟んだものを沢山作ってくれた。

出来上がりを見て、とっても嬉しくなる。

前世の記憶で、まあ、簡単な物は作れるけれど、所詮は素人。プロには敵わない。

私が作ったのよ、とか言うのなら喜ぶのかな?

と、言う事で。スムージーの作り方を習い、一緒に作った。

はい、とってもお膳立てです!めっちゃ簡単!切ってある野菜と果物を入れてスイッチオン!終わりっ!


えっ?何か文句あって?

「私が作ったの。」ニッコリ!ぐらい言ってみせるわ!


夕食に保存魔法をかけてもらい、馬車を出してもらう。

馬車の移動にも人を使って申し訳ないなぁ、何て思うんだが。リオン曰く「雇ってるのに、使用履歴が無かったら、人員削減対象だろ。何を遠慮している?」との事。


王城の中は慣れないので、いつも伝令をしている侍従の1人が同行してくれる。ありがたい。


トントントン、とノックして侍従が中から出てきた王城勤めの官吏と話す。と、官吏が慌てたように室内に戻って行き、次に出てきたのはリオンだった。


「こんな所まで、どうしました?」

ちょっと顔をしかめているリオンを見て、ああ、これは、目が疲れてる仕草だなあ。と、思う。

「貴方がちゃんと食べて無いと気がつきまして。お夕飯をお持ちしましたの。」

「夕飯?」

「ええ、そうよ。」

「頼めば、王城でも部屋まで持ってくるのだが。」

「でも、そうされないのでしょう?だから、参りましたのよ。私、料理長に習って、スムージーを作りましたの!無理にとは申しません。お嫌いなら味見程度でもいいわ。」

下から見上げて、お願い攻撃だ!きっと、効果はばつぐん…「わかった。食事を取ろう。しかし、忙しい。君が私に食べさせる事。」


「えっ?」

食べさせる?

「食べさせに来たんだろう?」

ニヤリと笑う。

わざとだ!私が人前でイチャイチャするの苦手ってわかってるのに、この人、わざと言ってるよ。

どんな羞恥プレイ!!


固まっていると、

「レイローズは私の帰宅に合わせる。先に屋敷に戻っていろ。」

侍従は帰され、孤立無援の状態となった。


「入っていい。ただし、書類には触るな。あと、目に入った文字も、ここを出たら忘れろ。」

「はいっ。」

夕飯の入ったバスケットを取り上げられて、執務室に入る。

前は無かった机がいくつも室内に増えており、官吏が8人、忙しく机に向かっている。

「失礼します。」

一応、挨拶をするものの、入り口の2人はペコリと会釈してくれたが、他の者は、気付く様子も無い。


奥の執務室の机には、山積みの書類。机の両サイドに机が置かれて、コの字型になっている。

基地みたいだ。

これって過労死しそう。

執務の椅子は上質そうだが、座りっぱなしはキツそう。

リオンは、正面机の空きスペースにバスケットをガンと置くと、椅子の方へ。

リオンは何事も無かったように、座って何やらカリカリと書類に、サインをしている。

ええと。狭いのでとりあえず、立って給仕しようと、バスケットを取り、バスケットの中身をバスケットを置かれた辺りにこじんまりと並べる。ランチョンマットとか、とてもじゃないけど、使えない。だって、A4サイズ程度しか空きがないのよ!書類ばかりで、ここしか置くスペース無いんだもの。


静か過ぎる。カリカリと書類に記入する音、カサリ、カサリと紙をめくる音がシンとした部屋に響く。


1人の官吏が、右の机に15センチ位の書類束を置く。

それを横目に見て、リオンが左の机から3センチ位の書類を無言で差し出す。

官吏は、無言で席に戻る。


はー。皆の集中力と、仕事っぷりが凄い。この書類の山、何の基準で分けられているんだろう?

そう思って眺めていると、リオンに手を引かれてあっという間に腰に手を回され、膝に座らされる。


ちょっとっ!!!!!

抗議しようにも、この無言の空間で発言とか出来ない。


リオンは、無表情に、机上の書類を目で追いながら、私の座る位置を調整する。


いやいやいや。この状態で食べさせろと??


10秒ほどリオンを眺めたが、仕事モードの様子だったので、仕方なく、机に手をのばし、まずはハーブティーのマグを差し出した。


流石に飲み物は、加減があるから、受け取ってくれてホッとする。少し飲むのか?と思ったら、半分ぐらい一気飲みされた。

喉乾いてたの?

ロールパンを恐る恐る差し出しても、手に取ってくれない。

嘘でしょう???

手ずから食べさせろとおっしゃってる??

口元までそおーっと持っていくと、チラッと見て。パクッと。

ちょっ。ちょっと、見て。お願い、手で持って!いくらなんでもこぼれる!!!さっき、見たじゃないのっ!!

慌てて、こぼれ落ちそうな具を押さえていると。さらにパクッと食べる。


もう、本当に羞恥プレイ。


何でこんな恥ずかしい事してるの?

何でこんな事して貴方平気なの?


静か過ぎる空間でため息すらつけない。


ロールパンが小ぶりだったから、3口で食べるっぽいと、2個目で気がついた。


口元に付いたソースをナプキンで拭ってあげて、また続き。


5個食べた所で無言でスムージーを取って、飲み始めた。


料理長が多く作ってくれたから、バスケットの中にロールパンはあと10個ぐらいあるかな?


リオンは何故かロールパンをジッと見て、私を見て、私を抱いたまま、一度立つと、自分の椅子に私だけ座らせた。

椅子が大きいなぁ。なんて思ってたら、1個手渡され、目の前の机に1個置かれた。

食べろとおっしゃってる?

はぁ。でも、この部屋の中で?食べにくいよ。そう思っている間に、リオンが無言で1人の官吏の机に、残りのロールパンが入ったバスケットをガサッと置く。


慣れた様子で官吏が皆に配り、2人が部屋を出て行ったと思ったら、すぐにポットとカップを持って戻ってきた。

あ。お茶か。凄いなこの無言の連携プレー。


リオンは、ロールパンを持ったままの私をひょいと抱え、また座る。


「お前も食べろ。私は帰るのが遅くなる。」

リオンが静かに話す。

コクコクと頷いて、食べる。

確かに、他の官吏も食べてると、抵抗感無い。

んー。でも、何か、人のお膝の上とか、食べにくい。

そう思いながら、割り当てられた2個を食べ終わったら、すかさずハーブティーを渡される。

あ。もしかして、ハーブティーは私に残してくださったの?


結局、優しいのよねぇ。何て思いながら、仕事をするリオンを眺める。

あ。朝からはあんまり見ない微妙な無精ヒゲ。

妙にその疲労感に色気を感じる。

睫毛長いなー。

時折、書類をあっちこっち取ったり、置いたりするのに、片手で支えられるので密着する。

リオンの匂い。

いつもより強く感じる。

仕事するの見るのって初めて。うん。改めて、カッコイイなぁ。リオン。この人が私の旦那様とか、すごいなぁ。リオンの匂い落ち着く。

あああ。ちょっと待って。何か、私、変態みたいじゃない。


しばらくすると、右の机に書類を置いて、「終わりました。」と挨拶し、リオンが、許可を出した者から順番に帰って行く。



1度、他の部署からの訪問があったようだが、入り口にいた官吏が対応し、すぐに立ち去っていた。


最後の官吏が帰ったのは夜の9時。

それまで、ほぼ無言ルールは突き通された。

穴が開くんじゃないかってくらい、リオンを眺めていた。


まだ、話しちゃいけない気がする。


その沈黙を破ったのはリオンだった。

「休憩する。」

「はぁ。いつもこんなですの?」

「静かなのは夕方から夜だけだ。」

「夕方から?」

「ああ。朝から仕事の進捗状況を確認して、確認が済んだら、扉を開く。私は午前は王と共に午前会議に出席する。会議が終われば、約束していた者と面会し、協議。その合間に書類の決裁。16時迄は、官吏で手に負えない件は、飛び入りでも話を聞く。

それを続けていては仕事が終わらないから、16時に扉を閉めて、残務処理だ。緊急の要件や相談は来るがな。急がない事は明日だ。」

「倒れてしまいそうですわ。」

「倒れないように、食事を持って来てくれたのだろう。」

ギューっと抱きしめられて、額にキスされる。

「あと、今日はどれくらい仕事なさいますの?」

「この、右側の机の山で、この列は明日までの決裁。少なくとも、これは全部目を通してチェックを入れる。」

10センチはある山積みの書類。

「あなた、昨日、寝てないでしょう?」

「寝ないのはこの時期はよくある。」

「よくあるって!?ダメです!寝ないと。」

「元々、眠りが異常に浅い。体は丈夫だから心配ないよ。」

フッと、笑って、 困ったような表情をされても…。

「君を抱きしめていると、よく眠れるけど。」

「では、私が抱き枕がわりになりますから、仮眠をお取りになって。」

「んー。じゃあ、5分。」

「ダメです。もっと寝てください。」

「しょうがないなあ。ローズ。今からお手洗いに行って、顔を洗って、それから1時間だけ集中して仕事する。1時間あればこの量は終わる。屋敷に帰ってゆっくり寝よう。」

「本当ですの?」

この量を1時間??

「私が君に嘘をつくと?」

「いいえ。信じますわ。」


流石に、仕事に集中する為に隣に椅子を置いて座らされた。

というか。書類を読むスピードが速い!!

それ、本当に理解して読んでますの?


1時間待つ間に、6月に行う神殿での結婚式と、その後に行われるパーティという名の披露宴をどんな風にしたいか考えろと言われて考えていたが、リオンに見とれていて、考えは全くまとまらなかった。

こちらのお話はのんびり更新となりますので、よろしくお願いします。


私がスマホを使いこなせてないからでしょうか?スマホ(iPhone)で文の頭に空白入れるんですけど、全然、1文字分のスペースが入ったように見えないんですよね。

文の段落頭のスペース。

この1文字空ける、が上手くいかないせいで、ちょっと読みにくくて、皆様にも申し訳ないです。

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黎明 ルークスタッドの後日談、連載中 不器用令嬢、騎士になる カイウスの恋愛話、主に嫁視点を書いてます。  こちらもよかったら読んで下さい。
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