弟達と②
短めですが今日2本目です
奇妙丸達と稽古をしている俺は弟達の性格がなんとなくわかった気がした。
奇妙丸は真面目で努力家。弓が当たらなくても、剣が思う通りにならなくとも、漢字が書けなくても、「諦める」の3文字が浮かばぬようだ。流石織田家の嫡男とでもいうべきか?
茶筅丸は少し短気だが心優しい。勘八が転んだ時手を差し伸べ起こしてあげたりと面倒見がいい反面自分の思い通りにならないとキレる。性格で損してるな。だがその鼻水と人懐こい性格で短気は損気と言わせない何かがある。人徳はあるのかな?
勘八は文学の方が好きなクールな感じ。本を読みながら出迎えてくれたし何よりおとなしい。礼儀正しいと思えば本を読みながら迎えに来る。将来的には楽しみだけど心配だね。あと何回かこちらを鋭く睨んでる時がある。お腹痛いのかな?
勘八と茶筅は一歳だけど成長が早いんだなとか思う。ちなみに奇妙丸と茶筅、勘八は稽古の種類が違う。
勘八は母の身分が低いから次男なのに三男にされたていう説があるよね。養子なのに長男扱いの俺がいうのもなんだけど、そういうのて良くないと思うんだ。生まれた時間をなかったことにされるみたいで。
「あにうえ!みてください、最近文字が書けるようになったのです!」
まだ幼いが、奇妙丸はもう文字が書けるのかとみてみると確かに文字だ。汚いけど。めっちゃ汚いけど文字だ。俺と一歳しか違わないけど俺一応翻訳能力持ってるからもう漢字書けるよ。剣、槍、弓全部使える。信長がどこからか仕入れてきた鉄砲も使いこなせる。けどあんまりやりすぎると疑われるから抑え気味だけどそれでもコントロールが難しい。身体能力が高いと感じなかったのはガリガリだったからのようだ。
弟二人はお昼寝の時間らしく奥の部屋へと消えていったが、奇妙丸はまだ稽古をするとのことだった。
「しっかりと休んでいるのか?」
こういう時接し方に困る。俺が下に出るべきなのか上に出るべきなのか。二人きりだしいいかなと上からにしてみる。
「はい、切り替えができないものは戦でも活躍できません」
かっこいいな……言葉遣いも大人っぽい。戦国時代の子供はこの歳ですでに風格があるのかと目を疑う。あと二人きりになると少し言葉に重みがある気がする。
「お?桜捨丸も来ておったのか?」
「父上!?」
「ちちうえ、きてくださったのですね」
襖が開いたと思ったら信長が部屋に入ってきていた。
その目は家臣を睨みつけるものではなく、どこか暖かみのある優しい目だった。