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覚悟と定め

短めですが

半兵衛さんとの会話以降も噂は衰えず、行動を起こすことにした。やることは簡単。あの天下人でさえしたことだ。問題はないはずだ。


だが父上が予想以上に俺を評価していたというのが邪魔な要素だ。俺としてはこのカードは切りたくないが、茶々との婚約があるから、特に問題はない。


整理しようか……



俺は織田信長の養子で、一番上の子供。家中が俺を跡取りにという動き。俺と半兵衛さんで策を練って御家騒動を防ごうとしている。


とりあえず藤吉郎に会いに行くか。最近偉くなったからな。


浅井攻めがなくなり長浜城は築城はならなかったが、そのかわり朝倉領の一部を与えられ、羽柴秀吉を名乗り出した。


養子の俺のお世話係からよく出世したと思うよ、ほんと。天下人になる人は違うよね。


まあ俺はあいつの主の息子という立場だから呼び出してるけどね。


「太郎様、お久しぶりです」


整った身なりで登場したのは相変わらず猿顔の藤吉郎こと秀吉だった。


「うん、急に呼び出してごめん。今回は相談があってね?」


「はい、何なりとお申し付けください。この藤吉郎、なんだってやってみせます」


俺はその発言を利用することにした。


「父上に刃向かう勇気はあるか?ないなら今すぐ帰ったほうがいい」


俺は出来る限りの低い声で威圧感を作り出す。これでも魔王信長を近くで見てきた男だ。すると秀吉も何かを感じ取ったのかヘラヘラした顔から真剣な表情に変わった。


「俺が織田を二つにわける火種になるとは考えたことがなかった。叔父と父の争いを知っているからこそ俺は居てはいけない存在なんだ。家督は奇妙のものだ。今はまだ動きこそないが計画を立てているものもいるらしい。養子でも優秀な方がいいだろうという暴論だ」


俺は目を閉じて頭を下げる。


「俺から最初で最後のわがままだ。頼む」


決意の上で流れた涙を無視して俺は父上の城へと向かった。


道中、馬を止め休憩することにした。ついて来てくれたのは半兵衛さんだ。半兵衛さんはこの策を考えた張本人だから連れてきた。


空を見上げれば青く広い。けどこの空を自由に飛び回る翼はないようだ。自分の手を握り締めて、再び開き太陽を隠すように手をあげる。

こんなすっぽり隠れるんだなって笑いながら三度溢れた雫を反対の手で隠す。


「やはり寂しいものですね、自分が育った家に……居場所がないっていうのは」


俺は半兵衛さんの方をみずに無理に笑顔を作りながら話しかける。


「そうですね……ですがそれを決心できる貴方は強い。私は知ってますから。貴方が誰よりも織田を大事に思っていると」


なんだか気分が楽になった気がして再び馬を走らせることにした。


もう迷わない


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