信長包囲網②
「わかりました、つまり上洛命令に背いた朝倉家を攻めると言うことですね……」
少し考え込む顔をしてから俺に視線を戻す。いつになく真剣な顔だ。
「許可しましょう。家中も最近の太郎殿の行動を見ていて、義兄上は信頼できませんが、太郎殿は信頼できる。だから織田に着くのも一つの手であろうと言う動きになりまして。なので問題ないです。ではこちらを義兄上に。茶々は知らせると会いたがると思ったので呼んでいません。お急ぎになるようですので馬などの手入れはさせておきました。ではご武運を」
俺が城を出ると手勢にはおにぎり、馬にはブラッシングらしきものとエサが与えられていた。まぁ史実変えた感強いけどいいや。俺は馬に跨り出陣の号令を行うことにした。
「では皆さん、今回も俺のような若造に力を貸してください!絶対勝って帰ってきましょう!」
すると士気が上がったのが肌でわかった。そして俺は城門をくぐり、戦場を目指す。
史実が変わると不安になる要素が一つ。起こる戦が変わることによりここで朝倉が滅亡する可能性が大きい。今織田は飛ぶ鳥を落とす勢いだ。それほどに勢いがある軍勢をまともに相手をすると朝倉も相当血が上っているようだ。
俺は念には念をと手勢の一部にある命令をして、朝倉領を目指し馬を走らせた。
朝倉領に着くと織田本陣へと向かい、父に浅井からの書状を渡した。
「うむ、ご苦労だった。ちなみに浅井の一部が合流しているようだが……いや旗だけが浅井か」
さすが父上、よく見えている。浅井から借りた旗は正直絶大な効果を与えるだろう。
「はい、相手の動揺を少しでも誘えればとしかけました。正直言って今の朝倉は怖くはない。ですが念には念をです。助けが来るかもしれないという希望をたち、徹底的に潰すべきです」
「うむ、我が息子ながらなかなか酷いことをする奴だ!」
まぁ仮にも貴方の息子ですからね……てか酷い酷い言いながら大爆笑している貴方ほどではないですよ。
「では始めるとするか!皆の者!狙うは朝倉の首のみだ!出陣!」
本陣から一斉に飛び出す大量の部隊。その中の部隊の隊長としてまずは指示された陣を潰しに行く。朝倉は城には一切残っておらず、城から出て戦っている。浅井が助けに来て後ろから挟み撃ちと考えているのが見え見えの陣の置き方だ。だからこそ俺らの部隊は浅井の旗を掲げている。
朝倉が明らかに動揺し、動きが落ちているのが素人目でもわかる。正直本陣に人が出入りしているのが、こんなにも明確にわかればあとは叩くだけだが、俺の元に藤吉郎の知り合いが来て耳元で囁く。
「父上、そろそろ相手が引くと思いますので全軍で追ってください。徳川殿が浅井領から背後を取ることに成功しました」
「徳川も策に入れておったか……勝手なことを」
文面だけ見れば怖いが、その顔は口元が緩んでいるのが隠しきれていなかった。日記でも書こうかな。多分だけこういう文面て残されても分かりづらいだろうし、俺が書いて信憑性の高い物を残せばいい。直筆のサインとか書いたら俺だってわかるだろうし。
相手本陣を見下ろす形で陣を張っている織田軍は朝倉軍が引くと全速力で駆け下り、徳川軍と挟み撃ちにした。ここから先は言わなくてもわかるだろう。
史実を変えてしまったのだ。あっさり言ってるけど、よく考えて見れば信長も浅井に裏切られたりしなければ結構短時間で攻め落とせた気がする。あくまで予想だけど。
あくまでも俺はこの戦に参加していなかったから日にちが少なく見えるが、実際移動時間もかなりかかってるし、そんな1日、2日で終わった出来事ではないんだ。
けどあっさりしすぎて……夢なんじゃないかと疑った。
夢幻の如く
幻のようにこの手から離れて帰ってこない。そんな日々ではないと願いつつ、戦後処理を黙々と手伝うことにした。




