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茶筅丸

新しい話です。

昨日は奇妙丸に会った後は、また天井のシミと睨めっこしていた。そろそろ書物あたりでも読みたいところではあるんだが、藤吉郎がなかなか文字が読めるというのを信じてくれずに苦労している。


寝返りをうつと、今まで下になっていた部分に血が流れた気がして笑う。そんなことを楽しむしかないほどに暇なのだ。


今日も奇妙丸が来るまでずっと天井のシミをみていると、影が登場して身を跳ね起こす。


すると鼻水をたらした、奇妙丸じゃない子が入ってきた。奇妙丸より大分幼い、丸っこい子がドタドタと入ってきた。


「あにうえ!あにうえ!」


あにうえ?俺のことか?じゃあこのはなたれこぞうは


「すいません、あにうえ。ちゃせんがどうしてもきたいというので」


遅れて入ってきた奇妙丸にちゃせんと言われて、信長の次男茶筅丸だと確信を持つ。幼児らしいまん丸の身体に似合わない目力の強さに臆しそうになるも、笑顔に癒されて頭を撫でることにした。


ほぼ初対面となるが、1歳の割にハッキリした発音と歩き方にビックリしている。というか鼻水でムズムズするのか、全然はっきり喋れず、ウニャウニャ言ってる。


「ちゃせんです!よろちく!」


鼻水を奇妙丸に拭いてもらい、ようやくハッキリ喋り出したと思えば、音量が大きい。耳に響く声で目は覚めた上、瞳孔がガッツリ開いた。


茶筅はニッコリと笑顔をみせて俺に部屋でドタバタと走り回る。そういえば掃除していなかったと思わせるくらいの埃がまい、流石に茶筅を抱っこして止めようとしたが、腕がプルプルと震える。こういうことか……習い事ができるようになるのは当分先になりそうだ……筋トレしようかなぁ。


藤吉郎に後で掃除をする様に頼んで、奇妙丸が持ってきてくれた娯楽品で遊んでいる。と言っても蹴鞠と書物という3人で室内で遊ぶものじゃなかったけど、子供の知恵は感心させられる時もある。マリを軽く転がして遊んでいる。天井のシミをみるより遥かに楽しいし、脳も活性化してる気がする。やっぱり血流が滞ると、暗くなるっていうしね!


奇妙丸が取り損ねて、コロコロと転がったまりを、我先にと倒れ込みながらとると、茶筅がケラケラと笑う。すると思いついたように口を開く。


「あにうえ!あにうえ!こんどはかんぱちもつれてきていいですか?」


茶筅がまりを抱え込んで倒れると、ふとそんなことを言う。勘八、織田家三男の後の織田信孝。個人的イメージだと頭に血が上りやすいタイプなんだけど、どうなんだろう?


確か二人とは母親が違った気がするけど。


「勿論いいよ!じゃあ今日はこのへんで終わりにしようか?」


最後に茶筅をプルプルする腕に鞭を打って抱えて、送り出す。


赤い空をみた俺は、ニッコリ笑顔で自室へと引っ込んだ。

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