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捨て子に転生しました

お待たせしておいて修正でなんだよって思った方もいるでしょうが、なんとか復活しました しばらくはリハビリで修正します

待ってくれていた方ありがとうございました。

待ってくれなかった方、待たせる魅力がなくてすいません

時は戦国......永禄2年、1559年春


桜舞い散る暖かい季節。


街は活気に満ち溢れ、人々が行き交う昼下がり。

そんな何の変哲もない平和の日々に人々は各々の時間を楽しんでいた。


そんな中、多くの人々の間で話題になるのはつい先月、尾張を統一した信長を中心とする織田家。長年悩みのためだった弟を含む反対勢力を排除。尾張に登場した新たな統治者は「うつけ」と呼ばれていたので最初は変化を恐れた人々も、訪れたいっときの平和をありがたみ、信長への評価は変化していた。


「おい聞いたか? 織田の殿様に生まれた奇妙丸様!今年で3歳なのに もう既に礼儀作法がしっかりしてきたらしいぜ、茶筅丸様と勘八様は、はやいものでもう一歳だ」


子供である奇妙丸の名前が上がるほどに注目された織田。

それでも民衆達がどこからその噂を持ってくるのか。噂というのは消すのはほぼ不可能に近いのに、すぐ広まる。


他人事のように呟いたのは若い男。店先の掃除をしていたようにみえたのだが、その手は止まっている。

知り合いと思える2人の男性と談笑を交わしている。


「最近将軍様とも会われたらしいな」


今度は近くの店からお使いを頼まれた、同い年くらいの男が言う。

時の将軍足利義輝。既に室町幕府の力は落ちきっているようにみえるのだが、武士達は「将軍」を敬う。我こそはという実力者達も、自分が取って代わろうとは思っていないのだ。いや、思っていても口にはしない。


「勢いがあるよな」


今度は向かいの店の男が口を開く。他の2人と違うのはサボりではなく、休憩中というところ。


「こら!!何油売ってんだ!!早く掃除を済ませてこっちを手伝え!!」


雇い主なのだろうか?少しふくよかな男性が出てきて、男を叱りつける。それをみた2人は空気を察したのか、各々の持ち場へとそっと帰っていった。



活気あふれる城下町の民衆。平和な日常を謳歌しているようにみえる。一見この街には悩み事なんてないんじゃないのかと思うくらい。勿論悩み事といっても「あの家の何々さんが可愛い」とか「今日働くの嫌だな」とかくだらない悩みではない。そんなことを考えること自体が、幸せなのだから。





だが明るい舞台に立つものの裏にはいつでも影が存在する。


先ほどの通りに近い路地裏では今日も生死をかけた闘いが行われていた。


「おい坊主!それは売り物だぞ!......はぁはぁ......チッまたやられた」


4歳くらいの少年が饅頭をくすねて走り出した。その脚力は抜群で、しかも綿密に考えられた、道筋で相手をまく。店主も精一杯走ろうと腕を振ろうとするが、いかんせん腹が出ているので速さもでずに、その上すぐに足を止めてしまった。


あっと言う間に消えた少年の背中を見つめる店主は、どこか悔しそうでも、少し晴れた顔で空を見上げた。


そんな風流な余韻に浸る暇なく、どこからともなくやってきた抜け殻達の臭いが鼻についた。そのニオイの元がどこか分かってながらも、怖いもの見たさで視線が動く。そして目に飛び込んだその光景を脳で理解すると、店主はすぐに暗い路地裏に転がるソレから目を逸らし、表通りの店内へと戻っていった。




一方少年は全力で街を抜け、川沿いを走り、人気があまりない木下まで逃げると、少し緩い地面なんか気にせず座り込み饅頭を貪るように食った。


それでも一粒でも零さまいと、丁寧に口内に押し付けていく。空っぽの胃袋にはやく届けようと急ぐあまり、カラカラの喉に饅頭が引っかかる。急いで用意していた水を含んで笑う。そしてボソリと呟く。


「......また罪を犯した......どんどん黒に染まっていく」


こんな言葉を使う4歳がいるだろうか?


「くそ......もうこの世界に来て4年......身体は動くようになったが……」


そう俺は名も無き孤児。けどそれだけではない。

俺は転生者だ。前いた世界では大学生。けど気づいたら赤子の姿で

桜の木下に捨てられていた。捨てられた時から意識のある俺はかなり焦った。転生て普通「俺Tueeee」だろ?なんだよこれ......

俺つえーどころの話じゃない......生きるに精一杯だ



誰にも拾われず、けど誰かしらが助けてくた。正直言ってここまで生きていられるのは奇跡だ。ガリガリだけど......今も食べた瞬間の血液の巡りを久しぶりに感じた。



しばらくの間、桜の木下を拠点にすることにした。俺のいた時代と変わらぬ桜。 時は戦国。いきなり戦国時代に来ても戦とかバンバンやっているわけではないみたいだった。それでも少し外れると危ないと注意されたりするため、細々と目立たぬところを目指している。



しっかり持ってきた、俺と一緒に置かれて言った布の上に座り休むことにした。荒々しい布が肌にあたって、不快だが、それこそ今では愛おしい。温もりを感じられない今、自分以外の温度が心地よい。



竹馬伸夫。俺の昔の名前。今は名も無きホームレスといったところ、か。にしても尾張国が統一されても生活は変わらないな......笑っちゃうね。皮肉なものだ。教科書で読んで可哀想と哀れんだ立場に今はいる。昔の自分達が、昔の人を蔑ろにしたツケなのかもしれない。自分があの立場になるなら、考えるのは武将や偉い人間ばかり。


身体は汚れていて、目つきは鋭い。ボロボロの服は昔どこかの猿みたいな人が2歳の頃にくれた。その人はお侍ではなかったが拾ってやれなくてすまないと言って服と食べ物を置いて行った。その前はボロボロの布で包んでいたがあの人のお陰で冬に少し暖を取れるようになった。既にその服もボロく、布は擦り切れそうだが。



にしても春になると桜が綺麗だ。どの時代も変わらないのだな、美しい風景というのは。ヒラヒラ落ちる花びらを片手にのせて微笑む。不意に目に入った光が眩しい。


ムクっと立ち上がり、俺は河川に沿って植えられた桜から少し離れて花見もどきをする。嫌なことを全て浄化させる。美しさにはそんな力もあるのだ。



「ふむ、いい景色だここで花見をすることにしよう。佐久間......そうだな3日後に用意できるか?」


「は、今すぐ手配します」


声のする方を向くと馬に乗った若い20代半ばの男性と30前半の

男性がこれまた馬に乗っていた。侍さんかな……だと面倒だし、とりあえず逃げとくか。足を進めると、


バキバキ......



ヤバい、そんな感情を持った時点でもうときすでに遅し。そんなことわかりながら、足元の木を確認する。自然と大きな息が出ていく。


「何奴!」


佐久間と呼ばれたものがこちらを見て刀を抜こうとする。


「佐久間、やめろ!無闇に抜刀するな。出てこい、小童」


小童......すごいな足音だけで判断したか。俺はとぼとぼ歩み寄り、地べたに手をつきハキハキと話すことにした。


「はい、盗み聞きするつもりはありませんでした。このような格好で申し訳ありません。どうかお命だけはご勘弁を」


正直に言ってこの時代の言葉遣いは知らないが、現代語が違和感がないようになっているらしい。人生ハードなのかイージーなのかわからないよな。能力があっても、それを活かす環境はなかったと。


どんな言葉でも俺の時代の言葉に翻訳されて聞こえ、俺が言った言葉は日本語でも未来の言葉でも通じる。まあ活用する場面はなかったが、今役に立った。




「お主家と両親は?」


重々しい言葉が、耳にズッシリと響く。背中がピンっとのばされる。


「生まれた時からここにおります。捨て子でした」


お侍さんは質問を終えると佐久間さんに耳打ちをする。かなり驚いていたがすぐに近くにいた忍びのような方に伝えていた。初めてみるものばかりで圧倒されながらも、下唇を強く噛む。


「ついてこい......清洲城に向かうぞ!」


清洲城といえばこの尾張を収める織田家の頭領織田信長がいる城だ。

この時代に信長なんて呼んだら無礼になるのでみんな城主様とか言ってる。というか、なんでこの人が俺を清洲城に?


「殿!おかえりなさいませ! 用意はできております!」


殿?この人が!?もしかして俺が転生したせいで時間軸がずれたのか?いやそんなことより……この人って……


「うむ......よしお主しっかりとついて参れ。清洲城は広い」


するとよこからまだ幼い少年が顔を出した。情報過多だ……思考が追いつかない。


「殿!家臣全員広間で待機して、子供服も用意しております!奇妙丸様、茶筅丸様、勘八様も控えております」


「では奇妙丸のみ同席させろ......佐久間の隣で良い。茶筅丸は猿にでも抱かせておけ。勘八は待機じゃ」


奇妙丸と茶筅丸といえばのちの織田信忠、織田信雄......そして勘八は織田信孝......てことはこの人は......


「お主......名前がないと不憫だな。まぁ良いこれに着替えろ!」


「あの貴方様は?」


鮮やかな色の着物を目の前に出されるも、そちらよりこの男の人に圧倒されている。可能性を示唆すると、気になって仕方がない。確証を持ちたい。いや、そうでないという方の確証が欲しい。


殿様は、俺が顔をしかめると、ニカリと笑い、声をあげる。


「そうか、俺のことを知らないか!俺はな「織田信長」だ」


……織田信長……いや待てまだ分からない。利用されるかもしれない。戦で捨て駒になるとか人質とか。


「とりあえずついて参れ!今から俺の家臣の奴らにお前を紹介する」


「それってどういう......」


質問をする間もなしに、俺は上座に座っている。普通下ではないのか?

奇妙丸と茶筅丸さえ下、勘八は外だろう?


「皆の衆面をあげい!!」


轟く声で全員の顔が上がる。先程より重い声が、部屋中へ反響してから耳に飛び込んでくる。


「さきほど今年の花見の場所の下見をしてきた......満開だった!!」


最初こそ俺を見てざわついた家臣団だったが花見の話になると、少し嬉しそうにほおを緩めた。こうなると織田さんのトーンも少し高くなり、優しく聞こえる。


「そしてその時こやつが出てきた。しかも4歳でしっかりと手をつき、ハキハキと物申した。捨て子とは思えなかった」


俺の方を見るとニヤリと笑い再び家臣を見る。

まぁ俺転生者だしな......まぁ才を買われることってなかなかないから気分はいいよね。


「そこでだ......こいつを養子として俺の子供にする」


「「えぇ〜〜!!!」」


俺と家臣団が同時に驚きの声を発する......俺が信長の養子?どういうこと!?誰か優しく説明して! 一方家臣も驚いており、4歳となると長男より上などと呟く。


「流石殿!心がお広い!」


するとサルみたいな人が発言する......あの人は着物くれた人じゃないか!前より綺麗になってる!


「サルの言うとおりですな......殿の捨て子を見殺しにしないお気持ち......立派です」


あれは......ヒゲモジャモジャのガタイのいい男......柴田勝家か......想像通り過ぎるんだけど。


正直言ってこの能力を見抜かれたのなら流石信長......けれど養子なんて……なんで俺が……ただの捨て子だぞ?


「幼名をつけねばならぬな......桜の下に捨てられていたのじゃ「桜捨丸」どうだ?」


おうしゃまる......信長のネーミングセンスは面白いな......人とかじゃなくてよかった……


「気に入りました、殿!

「父上だ......たった今からな!!!!」


屈託のない笑みで、大声をあげる。まだ少しビクッとするぐらい


自分でもついていけないほどに話がすすんでいく。


けど確かなことが一つある。俺は信長の息子で桜捨丸と名乗ること になる。


「今日から桜捨丸様のお手伝いをさせていただきます、木下藤吉郎と申します。戦で不在時は寧々が世話をするのでどうぞよろしく!」


びっくりした......てか正史だと木下藤吉郎てここまで偉いのか?寧々と結婚していたか?


「よろしくお願いしますね、桜捨丸様」


藤吉郎と違い、嘘偽りない満面の笑みに癒され、俺もニコリと笑う。


一通り挨拶が終わると父上こと信長に呼び出された。


「面を上げろ。桜捨丸、お前はもう俺の息子だ。無礼講とまではいかぬが気を楽にせよ」


俺が面をあげると信長の横に一人男の子がいた。昨日藤吉郎に抱かれていた......奇妙丸か?ちなみに尾張一国を収める男。中々広い茶室だな。てか茶室に子供と3人てよく考えたらびっくりだよね。茶室を会議室感覚で作っていく。


「隣におるのは奇妙丸......儂の長男じゃったがお主の方が年上だ、まぁ仲良くしてやってくれ。どうだ?しっかりと休めたか?」


歳って関係あるか?


それより転生前ぶりの布団にワクワクして寝た俺は腰も首も痛くないと感動して起きた。もう木の葉の上で寝なくていい。衛生面的に心配だったしな。微生物とかいいのかな……悪いのも混じってそうで怖い。今度こっそり布団干そ


「はい、あのような寝床を用意していただきありがとうございます」


「堅苦しいのは要らぬというのに......奇妙丸、自室に戻れ。佐久間がいるはずだ」


呆れながらも、この前聞いた声に安心する。


「はい、ちちうえ! ではおにいさましつれいします」


可愛いななんて思いながら奇妙丸を見送る。前世は弟いなかったからなー!可愛い!


「お主は私の長男という扱いだからな、その知識をいつか俺のために使ってくれ」


トントン拍子に進む物語。そのスピードについていけずにただ笑うしかなかった。


それでもいつもより空が低く感じた。


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