アニカ
緑は頁を塗りつぶし刃は陽を反す
村人Aがおりました
村人Aは部屋にこもり
ひとり泣いていた
村人Bと友達になって
村人Bには友達がいて
知らない人だった
Bは当然のように輪を作り
CとAはにらめっこ
世界はきっと笑ってる
三人は肩を寄せあって
私は知らない"いつも"のお話
みんな幸せ
私以外のみんなが幸せ
そう思わせるあなたが疎ましい
犬は嗤った
にらめっこは私の勝ち
寂しいなんて思わない
だって描かれる訳のない
村人のお話
Aが居なければ
CがAになればいい
だからみんな探さない
寝ても覚めても夜だった
開かない戸は壁になる
私は村人Aだから
鏡にだって写らない
姫は寝息をたてて起こされた
湯船には誰かの写真たて
すぐに伏せてしまったけれど
そこに笑ったCが見えた
愛する人の特等席
世界でいう王子の位置
みんなが嘘をついていた
鶏が鳴けばおはようと言い
フクロウが鳴けばおやすみと言うように
月に向かって伸びをする
村人CはAになることを望んでない
私が村人Aだから
戸を開けると犬は笑った
にらめっこは引き分けだ
童話とコメディーの中間を狙いましたが、このような結末になるとは私自身思いませんでした。
なにはともあれ、登場人物たちが幸せになってくれたら満足です。