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一人で

作者: 武田道子
掲載日:2017/04/04

一人で


人は痛みに一人で耐えていかなければならないときがある

明るく輝く太陽の下で

あちらこちらで交わされる微笑の中で

新しい靴を履いたときのように

ひりひりと突き刺す痛みを我慢して


痛いのに痛くないふりをして

砂を音を立てずにゆっくりと噛みくだす

胃壁についた小さな切り傷が

ずきんずきんと痛むとき

握りこぶしを固めて顔を上げ

歩き続けなければならないときがある


墨のように真っ暗な不安が

積乱雲のようにどんどんと大きくなる

そして私は亀になる

頭を縮め 手足を引っ込め

目をしっかりつむって

じっと身動きせずに

一人であることをじっと噛みしめて


石のように固く縮こまった身体の奥で

ぐつぐつとマグマが

心を焼く

あなたの微笑を瞼の裏で捕えようと

あなたの差し伸べる手を感じようと


ただ私には

何も見えない 何も感じない

痛みが嘔吐のように

胃を激しく痙攣させ

喉からつきあがってくる


一人で・・

一人でどうしても歩かなければならない

そんなときが人にはある



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