追憶1
更新までに大分時間がかかっちゃいました。もし楽しみにされていたら、すみません
その事の発端は単なる、チンピラ同士の路上での喧嘩だった。
ストリートファイト自体は、別に珍しくともないできごと。だが、それが全米のマフィアやギャングを巻き込んだ大惨事への第一歩だった。
当時、アメリカの裏社会には二つの巨大な勢力があった。“アウトロー”と“ディープ・ブルー”
この二つの勢力の関与する事件は、アメリカの年間犯罪数のおよそ六割を占めていた。その社会への影響力は図り知れず。
路上での喧嘩の主は、この二つのグループのトップ同士だった。二人とも、全米に影響を与えることのできる自身の力に過信し、護衛も部下も一人も連れずにいた。
勢力争いで元から犬猿の仲の二人が道端で出会えば、その先は火を見るより明らかだ。それが、事の発端。
ウィリアム・グレイスはその頃、親友と二人でアメリカの闇の中を渡り歩いていた。二人は“何でも屋”と自身を称し、裏の人間からの依頼や、一般人の依頼を遂行し、生計を立てていた。その仕事の成功率は97% 闇の深いアメリカの中では、ずば抜けた数値である。そんな二人に、二つのグループののどちらかが協力を依頼する事は、別に不思議でもない。そうして、ウィリアムと親友は“ディープ・ブルー”の助っ人としてその抗争に参戦した。
二年に及ぶその争いも終局に差し掛かる頃の事。
ウィリアムと親友の助ける“ディープ・ブルー”は、徐々に“アウトロー”を圧していた。そんな中、“ディープ・ブルー”から裏切りが発生した。いや、正確には裏切りとは言わないのかもしれない。その男は、元から“アウトロー”の一員として“ディープ・ブルー”に潜入していた人間だった。
最終局面に向け、チームが準備していた作戦の情報を盗み、男は逃げ出した。ウィリアムと親友は、“ディープ・ブルー”のメンバー数名と共に、その男を追った。
「この中で間違いないんだな」
ウィリアムは、男が逃げ込んだとされる建物を管理する人間に事情を尋ねた。怯えつつ、管理人は頷く。
「よし、建物を包囲しよう。その後に、何人かが建物内に侵入だ」
ウィリアムの親友が、他のメンバーに指示を出す。
「なら、中にはあんたらが行ってくれよ」
メンバーの一人が、ウィリアムと親友に言った。
「いいのか?俺達も裏切ったら、この抗争も分からなくなるぞ」
親友が、その男に尋ねる。
「ああ。劣勢なチームに裏切る奴は居ねえだろ。裏切ったとしても、戦況が五分に持ち直すだけなら、なおさらだ」
「まあ、それはそうだ」
ウィリアムが頷く。
「別に構わない。俺達で行こう」
ウィリアムは親友を促した。それを聞いて、他のメンバーは建物の周りに散る。
「外は任してくれ。次は絶対に逃がさねえ」
男達が建物の包囲を完了するのを見届けると、ウィリアムと親友は建物内へ侵入した。
建物は、いかにも何かが潜んでいそうな日陰な建物。きしむ床や階段に気を付けながら、ウィリアム達は建物内を探索した。
二階を探索している時、親友がウィリアムを手招きした。
ウィリアムが近寄ると、親友はある一室の中を指差した。その先には、血溜りがあった。
「まだ渇ききっていない。おそらく、逃走した男のものだ」
親友が小声で話す。血はきっと、逃走時に傷つけたものだろう、とウィリアムと親友は推察した。
部屋内部に警戒しながら、ウィリアムは血溜りに近付いた。親友は、入口に残ったまま、部屋の周囲を警戒している。
「駄目だ。この部屋にはもう居ない」
ウィリアムは、親友を振り返った。だがー
「な!?・・・」
親友は、背中に銃弾を受け倒れていた。
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