表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

更新予定はありません。

◇ ◇ ◇ ◇


「起きるのじゃ」


「んん、待って……あと5分だけ……」


「ならん、今すぐ起きるのじゃ」


「そこをなんとか……」


「……奴隷の首輪をとってくるのじゃ」


「起きた」


暖かい毛布に別れを告げてベットから起き上がる。

高級スイートルームのように華やかな部屋を見渡して、昨晩のできごとが夢じゃなかったんだとあらためて思った。

まあ、高級スイートルームに泊まったことなんてないけどね。

さてこれからどうするかなーと思案しながら、目の前に佇む幼女の頭を撫でる。


「そういえば、この角って感覚あるの?」


不意に感じた固いものの感触が気になって、本人に確認してみる。

昨日はなんだかんだでドタバタしてたからこういうファンタジー要素にほぼノータッチだったけど、やっぱり僕も健全な18歳の男子高校生(元)としては、こういうことが気になったりするのだ。


「感覚はあるのじゃ。ただ痛みはないのう。爪みたいなものと考えれば分かり易かろう」


「おーたしかにツノとツメはよく似てるね」


「……お主、妾をバカにしておるな」


「そ、そんなことないよ、リリスたん」


リリス、というのはこの幼女の名前だ。身長は140cmぐらい。

ツンテールにした銀色の長い髪とルビーみたいな紅玉の瞳が特徴的な幼女。

見た目からして日本人じゃないけど、じつは地球人ですらない。というかそもそも人じゃない。

彼女は魔族。魔族を束ねる魔王なのだ。僕も昨日彼女に聞いて初めてしった。

人と魔族の違いは様々らしいけど、彼女の場合は頭に生えた2本の角と背中から突き出したコウモリのような羽、そして先端がトランプのスペードみたいな形をしたくろいしっぽが魔族の特徴として外見に現れている。


「……妾を変なあだ名で呼ぶことを禁止するのじゃ。エイジよ」


「だが、断る」


僕の名前は刈谷永智≪カリヤ・エイジ≫だ。

生粋の日本人で黒髪黒目。身長は160cmほどで日本語以外はからっきしでとくに特技なんかもない。

趣味は読書とゲームとブラウジングという典型的なインドア派で苦手なことは身体を動かすこと。

妹に言われてたまにランニングをしていたから太ってはないけど、筋肉ムキムキマッチョマンでもないし、イケメンでもない。

得意なことをなにか一つ挙げろといわれたら情報収集になるけど、同じ高校生と比べると少しは情報量が多いだろうって程度で文化も言語もなにもかも違うこの世界でその知識がどれだけ役に立つのかというと疑問だ。


「……まあよい。朝餉の支度が整った。ついてくるのじゃ」


おおっ、朝餉ということはメシのお時間でございますかなー。

まだこっちに来てからなにも食べてないけど、とっても美味な予感がする。

やっぱ魔王ってすげえわ。


「たのしみだわー。でも、メイドさんがこんなにいるのに、どうしてリリスたんが呼びにきてくれたの? もしかして……あっ」


「……なにか勘違いをしておるようじゃが、妾が呼びに行ったのはミレイがそうしろとうるさいからじゃ」


迷いなくお城の中を突き進むリリスたんのしっぽを追いながら疑問に思ったことを聞いてみる。

ミレイっていうと、あのツンデレメイドのことかーッ!

うーん……ミレイちゃんは俺のこと相当嫌ってると思ったんだけど、どうしてリリスたんをけしかけたんだろうか。


「そっかー。そういや、朝餉のメニューって分かったりする?」


「当然じゃ。妾も手伝ったのじゃからな」


ん、なんか気のせいか嫌な予感がする。


◇ ◇ ◇ ◇


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ