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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

なるかねさんへ

作者: 野々峰 杏仁

しんだかみさま


むかし とあるむらでは ひとびとが とてもへいわに くらしていました

むらでは いろいろな ぶんかがさかえて いつもかっきづいていました


「いきのいい さかなが はいったよ」


「できたての パンは いかが?」


いろいろなひとたちの こえが いつもきこえていました


そんなあるひ むらに ひとりの せいねんが やってきました

せいねんは くろいかみのけに あおいめをしていました


そのころ むらでは でんせんびょうが はやるようになりました

からだじゅうの けあなから ちがふきだして くるしみながら しんでしまうびょうきです


「しにたくない だれかたすけて」


ひとびとは くるひも くるひも じぶんが びょうきにならないことを いのっていましたが

びょうきで くるしむひとは ひとり またひとりと ふえつづけていきました


ひとびとは おもいました

なぜ こんなに くるしいおもいを しなければいけないのかと

むらは しだいにかっきがなくなり ひとびとの ひょうじょうは くらくしずんでいきます


そのようすを せいねんは ときおり つめたいめで ながめていました

かれの かおをみて ひとりの おとこが こういいました


「こいつが きてから むらは おかしくなった」


「かれが こなければ みんなずっと へいわでくらせていたのに」


くちぐちに かれをののしりながら あるものは ひどいことばをなげかけ

またあるものは いしをなげ あるものは かれをなぐりつけました


「やめてください わたしは なにもしていないのです」


せいねんのことばに みみをかすひとは だれもいません

いままでの つらさを うらみをはらすように かれをけって たたきました

ずっと ずっと きのすむまで なぐりつけました


からだじゅうから あかいちを ながしながら やがてせいねんは しんでしまいました

ふと せいねんの ちを あびたひとは からだがくるしくないことに きがついてしまいました


「くるしくない いたくないぞ」


そのことばをきいて ひとびとは せいねんの なきがらにふれました

でんせんびょうに かかっていたものは みんな あらそうようにして びょうきを なおそうとします


ちがたりない ちがたりない

もっと ちを


ひとびとは せいねんの ちを すすりました


そんなようすを みていた かみさまは ひとびとに こういいます


「おろかなにんげんども わたしの まなこを ころしてしまうとは

 そのつみは けしてこのよでは あがなえない そのみをもって つぐなうがいい」


そういうとどうじに ひとびとのからだから しろいえきたいが ながれだしました

め はな くち おへそ からだじゅうの あなから しろいえきたいがながれでて

せいねんのちを すすったものは みんなしにました


のこされた しろいみずたまりと せいねんの あかいちがまじると

そのちだまりのなかで せいねんはふたたび めをさまして

ふらふらとたちあがると むらをさっていくのです
































そのむかし かみさまは ながいあいだ たたかいをつづけていました

それは とても とても きのとおくなるようなじかん


きずついた かみさまたちを いやすように 

ひとつのいのちが うまれおちました


それは あらゆる ふるいかみさまに あいされる そんざいであり 

かれらの やくめを てだすけする そんざいでした


”ひゃくまんのめぐまれたるもの” 

すべてのふるいかみさまの”ちょうあいをうけたもの”…ふぁう”ーるとなづけられたこどもは 


がらすの ひつぎのなかで ながいあいだ たいせつにそだてられました

ねむりにつきながら すうひゃくねんのときがたって


とおい あおいほしに おろされることに なったのです

わるいかみさまを とめるために

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