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適当男の転生軍師  作者: TUBOT
転生先の世界で
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虫への対策

 デイナの手を握るとデイナはおそるおそるといった感じで手を握り返してきた。

 こういう素朴な子らしく控えめで、これでいいのかといった感じで、俺の事を見上げてきた。

 笑顔を見せて返すとデイナは恥ずかしがって赤い顔をして俯いてしまった。

 この反応がたまらなくかわいい。遠慮がちであるにも関わらず興味はあるといった感じであった。

 これは美形に生まれたからなのだろうか。それとも、上流階級の礼節を尽くされるのは初めてで上流の階級の付き合いに興味があるのだろうか、それは分からない。

 前の世界では女の子にまったく縁がなかったが、こうやって女の子との接し方を知ってそれを好きに使えるようになると女の子と仲良くなるのがこんなに楽しいものなのかと、思うくらいに女の子と話すのが楽しくなる。

 本当に転生をしてよかったと思うようになる。美形に生まれることができたし貴族として生きることもできる。

「君の奉公をしている屋敷かい?」

 デイナはそう言うとコクリと頷いた。失礼があるかもしれないと考えると。下手に言葉を話すことができないようだ。

 彼女は俺に対し失礼がないようにしてひきつった笑顔を見せた。

 この家の門番に顔を見せると頭を下げてきた。

「どのようなご用向きでしょうか?」

 そう言い出す。この周辺で『神童』などと呼ばれているのを知っているようだ。俺の顔を見るとまじまじと見つめてくる。

「あなたの屋敷のメイド一人をこちらに送ってきました」

 そう言うとデイナの事を見る門番。彼女のことは知っているようでペコリと頭を下げるデイナに合わせて門番も頭を下げた。

「御足労ありがとうございます。この者は屋敷に入れましょう。他にご用向きはありますでしょうか?」

 なんか歓迎をされていない感じで門番の男は言う。

 門番の言葉を意訳すれば『用がないなら、もう帰れ』といっているようなものだ。

 エーリッヒの家とこの屋敷が敵対しているというのは後にきいた話だ。その時の俺は、門番に反感を覚えてこう言った。

「この家の主人様とご用向きがあります。どうか通していただけますか?」

 迷子を一人この家にまで送ってきたのだ。何か挨拶の一つくらいはないのか、と思い俺はそう言った。

 その時は門番の態度に少し文句を言わなければ気がすまないと思ってそう言ったのだ。

 門番はそれを聞いて怒った顔をした。

「少々お待ちください」

 そう言って奥にある屋敷の方に、行ってしまった。

 俺がムカムカしながら奥にいる貴族の返事を待っていると少し時間が経ってから声が聞こえてきた。

 ドアから出てきたのは、よりにもよってディラッチ=ロードルの姿であった。

「デイナをウチまで送ってきた事には礼を言おう。エーリッヒ君」

 その時初めて気づいた。ここはロードルの家だったのだ。ここの門番が俺に対してやや悪い態度をとっていた理由がよくわかった。

「いえいえ。お礼を言われるまでもありません」

 ディラッチェの言葉にそう答える。

 ここは敵対する者の屋敷だったのだ。それが分かったからには、すぐに帰りたいような気分になってくる。

 俺の様子を見て門番は、「ケッ……」と、言っていた。

「うちのメイドはお前の事をたいそう気に入ったようだ。君が女の子に声をかけるのが好きなのは構わないが、うちの使用人にまで声をかけるのはやめていただきたい」

 ディラッチェは言った。ごもっともな話だ。

 俺だってディラッチェの家のものに家同士の確執まで乗り越えて声をかけるような、ロミオとジュリエットばりの悲恋を交わすような想いまでない。

「御足労ありがとうございます。それでは私はこれで」

 このような状況になったからには逃げるに限る。俺は、ディラッチェに背中を向けてこの屋敷を後にしていった。だがその背中にディラッチェが声をかけてくる。

「また今度戦おう。今度は勝たせてもらうぞ」

 それを聞いたら俺は振り返る。

「その時はお手柔らかに」

 それだけ言って自分の屋敷にまで戻っていった。


 家に戻るとすぐに父から書斎に呼ばれた。

「ロードルの御子息と勝負になったときに状況を詳しく教えてもらえるか?」

 父はそう言う。

 その時の事を思い出した俺はラッティ君の事を思い出す。ラッティくんとは俺がディラッチェからペンダントを取り返した事は秘密にしておくという約束をした。

 ラッティ君の事を助けてペンダントを取り返したことは隠したうえで、状況を説明しなければならないのだ。

「ディラッチェ様が他の子と賭け勝負をしているをしているところに出くわしたのです」

 それからあの時の状況を説明し始めた。

 誰かは忘れたがディラッチェはある子から、ペンダントを取り上げようとしていた。

 話を聞いてみたらそのペンダントを賭けて石投げの勝負をしていたというのだ。

 だが、相手の子は賭け勝負の事を何も知らされずに勝負を仕掛けられていたらしい。

 それを見てディラッチェが取り上げた物を、取り返すために勝負を仕掛けた。

「そうか? 私が聞いたところによると、遊んでいる所にいきなり勝負を仕掛けてきたのだと聞いたぞ」

 まあ、そう言えばそうだろうが、やはりこういう時相手は話を誇張したりなんかをしてくる。これはしっかり説明をしないと、あとあと誤解の種になってしまうのだ。

「とにかく無理やり賭け勝負を仕掛けて、相手の持っている物を取り上げようとしていたので、それを止めるために、私は割って入りました」

「ふむ」

 父はそれを聞いて口元に手を当てた。

 それから、この話は子供同士の些細な喧嘩として処理されていく事になる。

 ディラッチェの方には禍根が残っているようで、それから何度も勝負を申し込まれる事になる。それはまだ先の話だ。

「お前にはこう言えば分るだろうが、この事は後々尾を引いてくるだろう。何があっても負けるなよ」

 そう最後に言った父。そうして『もう話は終わりだ』と言った感じで話を終わらせた。

 まだ父に話したいことがある。

 一つはフェリエの事。ブラックオニキスの事を注文してしまった事については、父は「分かった」と一言言っただけで終わる。

 どうやらうちにブラックオニキスの在庫はなかったようなのだ。

 そうして次に聞きたいことに移る。闇属性の正式な属性相性の話だ。

「虫属性に闇が弱いか? そうだな、確かに闇属性は虫に弱いと言えるな」

 虫は夜になると活発になる。夜を作ることができる闇属性にとってはある意味、虫が弱点であると言えるらしい。

「虫という弱点があったか。そんなもの、火属性の魔法でも使えば一撃だが」

 父はそう言う。確かに火属性を使う事の出来る父にとっては、虫属性の相手など取るに足らないものだろう。

 だがその虫属性が敵になるかもしれない。ロードル家のメイドであるデイナは虫属性。もしかしたらどこかで戦う事になるかもしれないのだ。

「なら、使い魔でも使って虫対策をするか」

 今父は俺の中二心をゆさぶるような事を言った。

 使い魔だと? カッコよさそうじゃないか。

「使い魔ですか?」

 そう聞くと父は言う。

「自分の力に見合わないような強力すぎる使い魔を持ってしまうと、使い魔に呑まれる事にもなりかねない。だが使い魔はもちろん強力な物の方がいい。まだ力の弱いロドムには……」

 そう言うが今はいつ戦うことになるか分からない仮想敵がいるのだ。のんびりしてもいられないのも事実だ。

「あとになって契約の解除をする事もできるし、虫属性の対処をしたいだけならそれほど強力な物を使う必要もないか」

 父はそう言った。これは、俺が何かの使い魔を得る必要があると考えをまとめてくれたようである。

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