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適当男の転生軍師  作者: TUBOT
学園編
51/132

レリレンの処分……

 それから部屋に戻った。

 先に部屋にいたデルクトは俺の事を見つけると言う。

「君がそんなに強いのだとはね……人間型の使い魔も持っていたというじゃないか……」

「ボクは、五歳の頃から魔力を育てていましたからね。それがよかったんでしょうか?」

 俺はとりあえずそう答えておいた。

「君の噂はすぐに広まるよ……この学院の有名人だね……」

 デルクトは言う。

 もうデルクトは完全に俺の敵に回っている。デルクトの刺すような視線から俺は逃げるために布団の中に潜った。

「レリレン君達はどうなったんだい?」

 デルクトは聞いてくる。

 おいおいデルクトさん。さらに絡むつもりならやめてくれよ……

「レリレンさんはどうなったか? 一通り学園長と話したら先に退室をさせられましたから、彼らがどうなったかはわかりません……」

「そうかい。他人の事には興味がないのかい? さすがは優等生さんだ……」

 めっちゃ居心地がわるい。デルクトはそれから話し始めた。俺がいなくなった後の学院長室ではこんな話になっていたらしい。


「では、君らの処分を言い渡しましょう……」

 学園長のメイレナは自分の前で並んでいる生徒達に向けて言った。

「君らは謹慎一ヶ月でレリレン君だけは謹慎一週間です……」

 そのメイレナは笑いながら言った。

 その場にいた生徒達は一斉に驚いた。

「俺だけが……一週間……?」

 レリレンは言う。レリレンの言いたい事が分かっているようでメイレナは続けて言った。

「単純に期待値の差です……レリレン君は『戦略科』の成績は学年二位ですし、その他の成績も常に高水準にあります。優秀な生徒を一ヶ月も授業に出さないというのは損失でしかありませんから……」

 それからメイレナはにっこりと笑って言った。


 ここまで聞くと俺の脳裏に嫌な考えが浮かんだ。

 これはレリレンとその仲間達に差をつけたのだ。レリレンの仲間達がレリレンに向けて、怒りを抱くように仕向けたのである。

 不良達の集まり。こんな簡単なほころび一つで壊れてしまうような儚い仲間意識なのだ。

 彼らは、横目でレリレンに向けて視線を送った。その視線を痛く感じていたレリレンは自ら進み出て言ってきた。

「俺が、ロドム=エーリッヒを襲うように計画を立てたんだぞ……」

 レリレンは言う。『罰を出すなら、あいつらと同じ罰を与えてくれ……』と言っているのが分かったうえで、メイレナは言う。

 まあ、レリレンもただの不良ってわけでもないようだ

「君はこの学園には大切な子よ。今はちょっと回り道をしているだけなの。こんな事をやめて、戻ってくるわ」

 そう言うと、メイレナはニコリと笑った。

 怖い笑顔というのがどういうものか、レリレンはその時に知った。

 そんな気分を感じているなどとレリレンの仲間達は全く気づいていなかった。ただ単に『この話の計画者であるレリレンだけが、罰を免れた』と思っている事だろう。

「それじゃあ君達の処分はこれで決定。一ヶ月も長い間謹慎になるのだったら、退屈だと思うから謹慎期間中は実家にでも帰るといいわよ」

 そういう言い方をしているがこの場にいる者達もその言葉の意味はわかる。

 これは単純な『学園からの追い出し』だ。あわよくば『実家に帰って、そのまま学院に戻らなくてもいい』と言っているようなものである。


「君は、穿った見方しかできないのか? 『ルームメイトが、軽い罰で、すんでよかった』とか考えられないのかい?」

 デルクトはそう言う。俺はそんな無茶な事を言われて言葉を返した。

「そんな無茶な……ボクの事を五人がかりで襲った事についての罰なんですよ……」

 そう言うとデルクトは苦い顔をした。

 さすがにこの件についてだけは俺の言い分も通るだろう。

 多分、学院長はレリレンを悪い仲間から引き離すためにこうしたのだろうと俺の予想を言った。

 学園長はレリレンを他の不良生徒達との『壁』を作ったのだ。レリレンは薄々感じていたのだろう。その通り同じことをやった仲間達。むしろ計画を立てた本人だという事実がある。

 本来ならレリレンが一ヶ月の謹慎処分をうけるべきなのだ。

 ああいう不良達にとっては潜在的に『優等生は敵』であるという考えがある。

 レリレンを彼らにとって『自分達とは違う優等生である』という印象を植え付け彼らとレリレンの確執を作るのだ。

「もしかした、レリレンさんは、お仲間からリンチを受けている頃かと思われます」

 まあ本音では『そこまでの事はないだろう』と、思いながらも俺は言う。

「まさかそんな……」

 そう言うデルクト。

「いえいえどの世界でも不良の考える事は変わらないものです」

 そう自信ありげにそう言う俺を見てデルクトは唸った。


 それから数時間後、レリレンはボロボロになって帰ってきた。

「まさか……半分冗談だったのに……」

 俺が言うとデルクトは俺の方を見た。

「本当に……?」

 デルクトは言う。そう俺に向けて言うとレリレンに向けて聞いた。

「仲間にやられたのか……?」

 そうデルクトが聞くとレリレンはデルクトを睨みつけた。

「なんでもねぇ……」

 レリレンは言う。

『そんな聞き方じゃ聞き出せないですよ……』

 俺はデルクトの耳元でそう呟いた。

『ならどう聞くんだ?』

 デルクトはそう言ってくる。俺はニヤリと笑った。それを見たデルクトは止めに入る。

『やっぱ、聞かなくていい……』

 そう今になってデルクトは言うがもう遅い。

 俺は、レリレンに向けて言った。

「なんだ悪い友達との縁が切れてよかったじゃないですか」

 そう言うとレリレンの耳がピクリと動いた。

「それがどうした?」

 レリレンは不機嫌な事を隠しもせずに俺を睨みつけた。そんな事でたじろぐような俺じゃない。

「まあまあ。あなたは優等生の一人なんですしこれで寄り道は終わりましたから、これからがんばっていけばいいですよ」

 そう言い俺はワザとらしくレリレンの肩を軽く叩いた。レリレンはその手を払いのける。

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