ちょうどよく、レリレンがからんできた
それから予想通りに話になっていった。
フェリエとシィはお互いににらみ合い口をきこうともしない。フェリエとシィの間に座っている。
ピリピリした感じを感じながらも食事に手をつけた。
「ロドム様。そんなものを食べるのなら私のシュークリームをたべてくださいな」
フォークを俺のところにまでもってくる。
フェリエの肩に乗る鳩は、うんざりしたような顔をしていた。
「私にとっては重要な戦いですわ。黙っていなさい」
何かを言おうとしたその鳩にフェリエは言う。
鳩はそれで大きくため息を吐きフェリエの肩から飛んでいった。
「こら! 私から離れると危険ですわよ。焼き鳥になりたいのですか?」
フェリエが言う。
この鳩は元々強力な使い魔であるのだが頭が硬すぎるといいうべきか、こういったくだらない事があるとすぐにフェリエから離れようとする。
「周りを見てくるだけです」
そう言い鳩は飛び去っていった。
それをデルクトは驚きながら見ていた。
「今しゃべった……って事はあの鳩は人間型の使い魔かい?」
デルクトは言う。人間型の使い魔は一部の強力な術者しか使えないものであるというのは知識ではしっている。
俺にとってはそんなに驚くような事じゃない。俺だって人型の使い魔を持っているしな。
デルクトを見てここまで驚かないでもいいじゃないかとも思う。
「天使ですよ。普段は目立たないようにああいう姿になっていますが」
俺が説明をするとデルクトは感心した様子で言う。
「君みたいな子がいるなんて知らなかったよ。どこの科の何年生なんだい?」
そうデルクトが聞くとフェリエは嫌そうな顔をした。
「フェリエが僕と同い年ですよ。科は万能魔法科です」
フェリエが口を開きそうにないので俺はフェリエのかわりに言った。
「そうだったのか」
複雑そうな顔をしてそう言うデルクト。
フェリエは、この見た目で十歳だし数少ない万能魔法科の生徒であるのだ。
見た目がどう見ても十歳ではなく、俺から見ても上級生に見えるくらいだ。
デルクトは今度は堪えたようだが、他の人だったら、臆面もなく驚いていたかもしれない。
フェリエは不満そうにしていたが最後で言葉を飲み込んだのを感じ、フェリエは黙って俺の口にスプーンを運んだ。
「面白い奴じゃないか……」
そこにやってきたのはレリレンだ。
俺達の話に入ってきたレリレンはフェリエの事をジロジロと見始めた。
「こんなガキにお熱になっているっていうのは可愛いね。どうだい? 俺が大人の味を教えてやろうか?」
フェリエに手を近づけるレリレン。フェリエはその手を思いっきり強く叩き落とした。
「レリレン。さっきの話を聞いていたんだろう? その子はまだ十歳だ」
「年齢など関係なしに私はあなたなんかについていきませんわ」
フェリエが言う。
ここで許嫁らしいところを見せようかな?
そうでもしないとフェリエの機嫌が悪くなりそうだ。
「そういう事です。あなたはフェリエに近づかないでください」
俺はレリレンに向けて言う。
横目で俺がフェリエの様子を確認すると、フェリエは輝いた顔で俺の事を見てくる。
それを見たレリレンは俺の胸ぐらを掴んだ。
「ガキがそんな事に手を出すのは早すぎるんだよ。お前の彼女だかしらないが色気付くのは早すぎるぜ」
そう言うと、俺は胸ぐらをつかむレリレンの手を掴んだ。
「我が手に触れる者は腐り落ちる」
俺が手のひらにコープスハンドの魔法を展開させた。俺がレリレンの腕を握ると、魔法の効果でレリレンはの腕は熱い鉄でも押し付けられたかのようにただれていく。
「チッ……このガキ舐めやがって!」
チンピラみたいな言葉を言うと。レリレンは手を離した。
そう言いレリレンは懐からナイフを取り出した。
「ほの! 来い!」
俺は言う。この声には魔力を込められているのだ。使い魔の特別室にいるほのには声は届かないが、魔力の篭った声を伝えることができる。
すぐにほのがやってきて、食堂の入口からこっちに向かって走ってくるのを見つける。
「うちの使い魔はそんなちゃちなナイフよりも怖いよ」
そう言うと犬の姿をしているほのは、レリレンに威嚇をして喉を鳴らした。
レリレンはそれを見ると急いでナイフをしまった。
「けっ……何をムキになっているんだよ」
ナイフまで取り出しておいてよく言う……
チンピラが言う言葉の代名詞のような言葉を聞いてうんざりとした。
「レリレン、お前はロドム君とこれから同じ部屋になるんだぞ。仲良くしないか」
デルクトは言う。
口を出す気があるなら、もうちょっと早く言ってくれないかな……
レリレンがナイフを取り出した時点で止めてくれよ……
デルクトには何か考えがあるのか、ニヤリと笑った。
「このロドム君は、あの有名なエーリッヒの家の御子息らしい。お前なんかすぐに抜かれるぞ」
何を言い出すデルクト……
こんな敵を作るような事を言わないでくれないか……
そうデルクトが言う。軍師を目指しているからにはうちの名前も知っているのだろう。俺の事を睨むような目でジロジロ見た。
「へぇ……俺と勝負をしてみないか?」
レリレンがいきなり言い出す。だけどこの人ディラッチェにも勝てない人なんだろう?
最近は腐ってロクに勉強をしていないだろうし……
レリレンの事を見る目で俺が考えている事は察したらしい。
レリレンは俺の事を睨みだした。
「別にいいですよ。食事が終わったらにしましょう」
俺は余裕の表情で言う。さらにレリレンの琴線に触れたようだ。
「それなら、メシを食い終わったらグラウンドに来い。俺が勝ったらその子をもらうぞ」
いきなりそんな事を言い出し俺の前から消えてくるレリレン。
いきなりの事で唖然としていたフェリエだが、俺の事を見上げると小さくため息を吐いた。
「何を言っても無駄なんでしょうね」
そう言う。別にフェリエを賭ける事には何も罪悪感は感じない。この戦いは百パーセント勝てる戦いだ。何を賭けられていたとしても関係ない。
「さすが僕の許嫁だね。分かってるじゃないか」
俺が言うと、ェリエはもう観念をしたようにして言う。
「私のことを巡って男たちが戦うなんて、女冥利に尽きますわ」
フェリエもそんな軽口を言ってくる。これは完全に俺が勝つ戦いであるというのはフェリエだって分かっているようである。
あと最後に言うと、これはどう考えても十歳の子供のセリフじゃない。




