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適当男の転生軍師  作者: TUBOT
ディラッチェとの因縁の開始
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ディラッチェとの戦い

 ディラッチェの奴はどのような戦法を考えているだろうか?

 それが分からないと何とも手の出しようがない。戦力はディラッチェの方が上だ。知能的にはイージーモードでも戦力差がある。真正面から戦って勝てる相手ではない。

 実際の古代の戦闘でも戦力の高い方は陣を広げて敵を押しつぶそうとするし、戦力の低い方は小さく固まって敵を迎え撃とうとする。

 その先隊列や編隊などの考えが生まれてきてそうでもなくなったがな。

 今のディラッチェは俺からの攻撃を待っているようだ。

 しっかりと隊を編成して等間隔に並べる。その形を崩すことはない。

 自分の方が戦力が高いためといってむやみに出てくる事はないのだ。

「動け!」

 俺はそう精霊戦士に指示を出す。

 敵が動かないならこっちが動く。精霊戦士達に指示を出し次第にディラッチェの事を囲むようにして隊を動かしていった。

「突撃!」

 ディラッチェも、精霊戦士達を動かし始めた。

 囲まれそうになったら突撃をして不利な位置から移動をする。その時に敵の陣を突き破って逃げていくというのが普通だ。基本の戦術くらいは学んできているようだ。

 その程度の行動は織り込み済み。俺はディラッチェの精霊戦士が突っ込んでくるのに合わせて、むしろ道を開けてやった。ディラッチェの隊の横腹に石を投げ込んでいったのだ。

 俺の攻撃でディラッチェの精霊戦士は次々と破裂をしていく。両脇からの攻撃に下手に反撃を始めるような事はない。

「イージーモードってわけでもなくなってきたかな」

 ディラッチェの隊の行動には一つの目的性が存在しているのだ。俺に向けての直接攻撃だ。

「悪くない考え方だ。頭で勝負しても勝てないから自分の戦力高さを生かして損害覚悟で突っ込んでくるか」

 俺は興奮してそう考えを口にした。

 ついつい興奮をしてしまうと、考えている事が口から出てしまうのは俺の悪い癖だ。それは当然ディラッチェにも聞こえているだろう。

 ディラッチェが頭を振り絞って考えた作戦であるはずだ。年下に上から目線で評価をされれば少しはカチンとくるものだろう。

 昔はパソコンの前で独り言を言っていただけであった。だから敵に俺の考えが聞こえる事がなかったのだ。

 聞かれていたらリアルファイトになってもおかしくないと今になって思う。

「伏兵くらい用意してるよ!」

 俺は興奮してそう言った。ディラッチェも俺が伏兵を用意している事くらい織り込み済みだろう。伏兵を生み出す前に、ディラッチェの精霊戦士達は石を拾った。

 新しい精霊戦士達を生み出す。その精霊戦士達は、盾を前に出してディラッチェからの攻撃を受ける準備をしていた。

「まだだ! 特攻!」

 そう言うディラッチェ。ディラッチェの精霊戦士達は拾った石を投げずに、その石を持って俺の精霊戦士に殴りかかっていったのだ。

「なるほど。距離を稼ごうって魂胆かい?」

 俺は言う。精霊戦士は基本石を投げ合って戦う。石の投げ合いをするとどうしても敵との距離に開きがでてくるのだ。

 ディラッチェは本陣。つまり俺との距離を詰める事に重点を置いた。

 だから石を投げずに接近戦に持ち込んできたのだ。

「しかもこうなると後ろの隊もむやみに石を投げる事ができないからね」

 またも俺がそう言う。今ディラッチェの本隊を後ろから追っている、最初に出した俺の精霊戦士達も、仲間に石を当てる事になるのを恐れて、下手に石を投げられない。

 俺の伏兵は石を持って殴りかかる敵の精霊戦士達の攻撃を受け次々と破裂していった。

 ディラッチェの本隊を後ろから追う俺の精霊戦士達が間に合うとは思えない。伏兵の精霊戦士達の隊は壊滅をしていった。

「すすめぇ!」

 ディラッチェも興奮した様子で声を上げた。

 邪魔者はいなくなり、俺に向けて石を投げつけるだけの状態だと思っているのだ。

 俺はさらに伏兵を出した。

「さっきのが最後の伏兵なんて、誰が言ったよ!」

 興奮して俺が言う。いつもの行儀のいい言葉使いなど、とうに忘れてディラッチェの精霊戦士を見つめた。

 後日談になるが、デイナは俺の事を見て怖がっていたらしい。

 猫の皮をこれでもかと十枚以上被っているので、穏やかで優しい少年と周りから思われている。その猫の皮を外すと好戦的な俺の本性があらわになっていくのだ。普段とのギャップを感じ怖がらせてしまったのだろう。

 ディラッチェの精霊戦士達は、俺の伏兵にまたも石を持って殴りかかっていった。

『持っている槍を使え』などとも思うが、ディラッチェの槍兵達の持つ槍は完全に見た目だけのもので、敵を突き倒すことはできないらしい。俺の伏兵たちはディラッチェからの攻撃に、自分達も石を持って対抗した。

 俺の伏兵とディラッチェの槍兵がぶつかり、まるで古代の戦争のようにもみくちゃになって戦闘を始めた。

 ディラッチェの槍兵が俺の精霊戦士を石を使って殴る。

 俺の精霊戦士は破裂する。その直後、そのディラッチェの精霊戦士は、俺の精霊戦士に後ろから殴られて破裂する。

 こんな事が何度も繰り返されていくのだ。

「なんて無様な陣形だ……」

 こんな戦いに戦術や戦略なんて挟む余地はない。原始人の戦闘にしか見えない。華麗さの欠片もない。こんな戦いはあってはならないはずだ。

 俺は精霊戦士達の戦いの様子をみてイラつきながらそう考えた。

 ディラッチェの隊を後ろから追う俺の精霊戦士達がディラッチェの隊の最後尾にたどり着いた。

 挟み撃ちとなれば有利な状況のはずだが、こうんなもみくちゃの戦闘をしていると、そんなものは関係なくなる。

 この戦い完全にディラッチェ有利だ。俺の精霊戦士は体が小さくひ弱で、ディラッチェの精霊戦士達には真っ向勝負では勝てないのだ。


 ほどなくしてもみくちゃの戦闘が終わる。立っているのはディラッチェの精霊戦士達である。俺の精霊戦士達は全滅をした。

「今度こそ俺の勝ちだな! 早く負けを認めろよ!」

 ディラッチェが興奮した様子でそう言い出す。ディラッチェのお付の者達がそれを聞いて拍手をした。ディラッチェの完全勝利だと考えているのだろう。

「ほの」

 俺はそう言い、犬の姿をしたほのを呼び寄せた。

「お手」

 そう言うとほのは俺の手のひらに前足を置いてくる。

「この手は使いたくなかったのですがこうなったら仕方ありませんね」

 俺は余裕の表情で言う。そうするとほのの犬化の魔法を解け、ほのは力を失って倒れていく。

 ほのから魔力を吸い取ったのだ。

 吸い取った魔力で新しい精霊戦士を呼び出す。それを見てディラッチェは悔しそうにして歯噛みをしていた。

「ふん! なんだその狙いすぎなぐらいに狙った使い魔は!」

 悔しいながらも憎まれ口を叩くのが精一杯のディラッチェ。犬化が解けて犬耳ロリ巨乳になったほのの事を見てそう言ったのだ。デイナの事を俺は見る。

 さらに引いて、俺を白い目で見るようになったデイナ。

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