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第八十五話 生徒会メンバーの夏祭り

冬美、優衣、綺羅side


生徒会組の三人は他の者と別れてからは普通に楽しんでいた。優衣と綺羅は冬美がここに秋渡、そして沙彩がいれば喜ぶであろうということに気が付いてはいたが折角冬美が楽しんでるのに水を差すのは野暮というものだろう。優衣と綺羅はそう判断して祭りを楽しむことにした。


「浴衣ってあまり着ないんだけど思った以上に動きにくいわね」


冬美は自分の格好を見て歩きにくそうに少しフラフラしながら二人に話しかける。優衣と綺羅も浴衣ではあるがそこまで動きにくいとは思っていなかった。確かに制服や私服に比べたら動きにくくはあるが、そこまで気にするレベルではない。


「そう?私はそこまでじゃないわよ?」


綺羅が冬美に答えると冬美は「慣れてるの?」と聞いてくる。綺羅も優衣も首を横に振る。別に着慣れているわけではないのだがどうして冬美が一番フラフラしてるのかを考えるがある答えに辿り着いた。


「あ、ひょっとして世刻君が無反応だったから気にしてるの?」


「っ!?」


優衣の言葉に冬美はビクッ!としてその場で少し飛び上がる。図星だったようだが、二人には想像するのは容易いことだった。秋渡も誰が似合うというようなことを言うことはおろか普段と表情も特に変わってはいなかったので似合ってないと勘違いしてしまうことは仕方のないことだろう。恐らくこの様子だと他の子も多分同じような気持ちだろうなと綺羅はこっそり思った。前に襲撃してきた雷紅達も美人だったのだが、誰一人として秋渡の心を動かした者はいない。そのため秋渡の一番は誰なのか、そしてどういう服装や髪型に心を動かされるのかを理解してる女性は誰もいない。それは幼馴染みの恋華とて例外ではない。


「世刻君、和服自体に興味ないのかな?」


「それはないとは思うけど……」


綺羅と優衣はちょっとした可能性を考えるが、今日の彼の服装は和服だったためその可能性は限りなく低いだろう。三人は知らないが秋渡は元々それぞれの季節の風習は普通に楽しむ方であり、春は桜を、夏は花火を、秋は月を、冬は雪景色を普通に観て楽しんでいるのだ。それを知るのは恋華のみではあるのだが……。


「……他の子をジロジロ見てる……ということはないわよね」


冬美も他の可能性を考えるがあまり思い付かなかった。ジロジロと他の女性を見てることはあの秋渡には考えられず、逆に秋渡をジロジロ見る女性は多くいるだろう。綺羅は冬美が少しムスッとした顔をしたのを見て優衣と笑い合う。沙彩がいなくなってから少し元気がなくなった冬美。凛桜女学園との決闘で自分らをあっさり負かされて翌年にまたしても拒否権を認めない決闘を挑まれた。冬美、綺羅、優衣は沙彩が抜けた穴を埋めることもできなかったままで戦力が揃っていなかった状態だったにも関わらず挑まなければならなくなったあの決闘。弓月一人でも勝てないのに他のメンバーも強い凛桜の生徒会。冬美は深桜では最強の生徒会長と呼ばれてはいるがあくまでもそれは深桜での話であり、他の学校と比べたらわからないのだ。結果は実力は上の立ち位置だが上には上がいるという現実を味わっただけ。生徒会長なのに生徒を……そして友人を守れなかったことを悔やんでいた中での五神将を圧倒した後輩の秋渡の存在。冬美は秋渡を入学式で見てからずっと何か違和感を感じていたのだが、その違和感がなんなのかさっぱりわからなかったのだ。


「(それがあの五神将だったのよね)」


女性よりも強い……そして今の国では最高位の立場を得ている五神将の一人。棗達也が現れた時は彼を砂煙の中でどうやってか打ち破り、黒坂虎雄、及び高須武の二人が強襲してきた時には高須は冬美が倒したが黒坂に敗れ、綺羅、優衣に恋華、星華の四人と共に怪我を負った。しかし秋渡はその黒坂にすらも銃と刀という不利な対面にも関わらず戦いを制したのだ。実力、カリスマから生徒会に勧誘したが断られてしまったのだが、まだ冬美は諦めてはいない。


「(祭りでは別行動となったけど私は彼をなんとしても生徒会に、そして次期生徒会長にしたい!)」


冬美が内心で過去を思い出して意気込んでるところを見てると綺羅達もそれに笑う。


「冬美、意気込むのはいいけど今は祭りを楽しみましょ?」


優衣がやんわりと話しかけると冬美はハッとなって優衣達を見ると恥ずかしそうに笑ってから言われた通り、祭りに意識を向けるのだった。優衣達もそんな冬美に文句も言わずにそのまま祭りを満喫し始めた。


ーー

祭りを満喫するために屋台を回る三人は色々と買って食べたり子供みたいに仮面などを買って付けて互いに笑ったりしていた。冬美も優衣も綺羅も普段の仕事も秋渡対春樹の決戦も一時忘れて楽しんでいた。生徒会長でもやはり一人の女であるために冬美は甘いものを食べることが好きなのでリンゴ飴を買っては食べることなどもする。シャクっとした食感と共に甘さと若干の酸っぱさが口の中で広がり、それがとても美味しい。冬美はそれに頬をほっこりさせて咀嚼するとご機嫌になって、また夢中になってリンゴ飴を食べ終えた。それを見ていた優衣と綺羅は互いに顔を合わせ薄く笑い、冬美も二人と顔を合わせてまた笑う。それはどこにでもある女子高生の姿だった。


「ほら冬美、早く次に行くわよ!」


「ちょ、ちょっと綺羅、慌てなくても大丈夫でしょ!」


「そうだけど時間だって有限なんだから!もっと遊び尽くすわよ!」


「クスッ……」


冬美の手を掴み引っ張りながらどんどん進む綺羅。その綺羅に引っ張られて文句を言いながらも笑顔の冬美。そんな二人を最後尾から付いていきながら笑みを溢す優衣。今の彼女達からは弓月によって味わった絶望感は一切垣間見ることはなかった。そしてそんな風に彼女達を変えてくれたのはたった一人の男。


「(世刻君、本当にあなたには色々と感謝しなければならないわね)」


綺羅と冬美がはしゃぎながらわたあめを食べるのを見ながら優衣はこっそりと、内心だけで秋渡に感謝をしていた。しかしそれもすぐに今は忘れることにする。今は綺羅と冬美と祭りを楽しむことが第一優先だ。それでも優衣も思うところがある。


「(冬美じゃないけど私も少し生徒会に彼を勧誘してみようかしら?)」


本人が聞けば絶対に否定してくるであろう、彼のカリスマ。五神将すらも圧倒するその強力すぎる実力。それは恐らく生徒会メンバーだけでなく秋渡と周りの人間が皆思っていることでもあるだろう。誘ったら間違いなく嫌そうな顔をする秋渡が容易に想像できるがそれでも誘うことを決め、そしてどうにか説得しようと思った。


「(もし世刻君が生徒会長になったら開校から初の男性生徒会長ってことになるのね)」


そんなことを思いながら優衣は綺羅と冬美の二人の会話に混ざって祭りを楽しんでいた。



ア「どうも、アイギアスです!」

冬「冬美です」

綺「綺羅です」

優「優衣です」

ア「まずは投稿がかなり遅くなってしまい申し訳ありません」

綺「全くよ。しかも遅くなった上に短いとか……」

優「優衣せめて1ヶ月以内が許容範囲だと思うわよ」

冬「ま、それはもういいでしょう」

ア「う……」

綺「それよりも急激に冷え込んで来たわね」

優「そうね。体調管理をしっかりしないと風邪を引くわ」

ア「そうですね。気を付けないと……」

冬「秋渡君が風邪引いたら看病してあげたいわ……」

綺「……こう言うのもなんだけど彼って風邪引くのかしら?」

優「あまり想像できないわね。体調管理とかしっかりしてそうだし」

ア「なんというか仮に引いてもそれを隠しそうですね……」

冬「有り得そうで怖いわ……」

ア「皆さんも風邪には気を付けてくださいね!寒くなったりすることが増えてきますから!」

冬「もうすぐ冬にもなるものね」

優「その前に……」

綺「戦いね……」

冬「秋渡君なら大丈夫だとは思うけどやっぱり不安ね」

ア「相手が相手ですからねー。三人もお祭りを楽しんでください」

綺「そうするわ。じゃ、終わらせましょ」

ア「はい!それでは……」

ア・冬・綺・優「また次話で!」


オマケ


秋「次は星華や愛奈達のsideだ」

恋「いつになるかはいつもの如くわからないけどなるべく早めに投稿するようにするわ」

秋「チッ、今回呼ばれてたら一発殴ったんだがな……」

恋「仕方ないよ。さ、お祭り回ろ!」

秋「……そうだな」


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