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第七十三話 結婚についての返答、そして刺客

食事が終わり、あれから場所が移って一つの大きな部屋へ招かれた。そこは客人と会話するに相応しい場所だということからして何かしらの大事な話だということが理解できる。ただ俊明さんと早奈英さんがここに来る途中までニコニコ笑ってたのは絶対何かあるからだと僕は思ってた。幸紀は何の話かは聞かされてないらしく、緊張した思いをしてそうだ。が、ふと僕は何かしらの気配を感じたので椅子に座ってる俊明さんに声をかける。


「俊明さん」


「ん?どうかしたかね?」


僕の呼び掛けに俊明さんは態度を変えずに答える。僕は窓の外をチラッと見てから俊明さんに何者かの気配について話す。


「ふむ、今日は誰かが来る日……というのはなかったはずなのだが……」


話を聞いて俊明さんは顔をしかめる。早奈英さんも覚えがないようで首を少し傾げてるし幸紀も同様だ。僕は一つの推測をしてどうするかを決める。


「少し様子を見てきます。少し時間をください」


「……わかった。案内は執事にさせるから私達はここで待っているよ」


「了解です」


僕は素早く扉に行って窓に近付くと執事さんに開けといてくれと言ってから外へ出る。そしてすぐに幸紀の家の所有地から離れると近くから先程の気配がした。


「何の用だ?」


「……」


三人ほどの女性が目の前に現れ、声をかけたが無視される。僕は刀をまだ抜かずともいつでも抜刀できるように構え、警戒を最大にまで上げる。ちなみに女性だとわかったのは胸の膨らみがあるからだ。だが敵なのは間違いないだろう。一人がナイフを何本か構え、一人が短刀を右手に構え、そしてもう一人がハンドガンを二丁構えてる。こりゃ質問するだけ時間が取られるだけだな。僕は即座に腰を落として刀を抜く。そしてすぐさま走り、ナイフを持っている女性を峰打ちで気絶させる。距離はそれなりにあったのにも関わらず瞬時に懐に潜り込まれたナイフ使いは諸に食らってしまい、倒れた。そして残り二人を見るや否や、二丁銃使いが数発発砲してくるのを刀で防ぎ、その隙に迫ってきた短刀使いを刀で力任せに叩き伏せる。女性は吹っ飛んで塀に衝突して気絶した。残り一人がリロードをすると同時に接近して鳩尾を柄で殴り、前のめりにしてから背後を取って首を峰打ちして倒れさせた。この三人が何者かは知らないが今はこれで充分だろう。さて、三人を回収し、担ぐ。


「(チッ。三人も担ぐとさすがに重いな)」


とりあえず近くなので幸紀の家に向かい、三人を出迎えてくれた執事に渡すと他の執事とメイドが来て三人をどこかへ連れていった。そして残ったメイドが僕を案内してくれ、幸紀達の待つ部屋へ戻る。


「おお、早かったね。一体どうしたと言うんだい?」


俊明さんが笑顔で出迎え、幸紀と早奈英さんも笑顔で、いや、幸紀は安心したように息を吐いていた。僕は俊明さんに説明をすると俊明は何事か考え、そして何とか情報を割らせると言ってくれた。僕はとりあえず席を薦められたのでそこに座る。すると俊明さんは真面目な顔になり、僕達も自然とそうなった。


「さて、では早速話をしようか。秋渡君、幸紀との結婚のことだが……」


「親父からすでに婚約者とのことは聞いてます」


「うむ、ならばいい。それで、君はどう思ってるんだ?」


どう思ってるか。それは幸紀と結婚するかどうかについてだろう。普通の男性ならばまずその男性の方からそういった話を持ち出すだろう。だが今回は逆だ。僕の答えが優先される。五神将ってすごいんだな。幸紀をチラリと見るとどこか不安そうな、そして期待の籠った目で見てくる。早奈英も同様だ。この親子、見た目から仕草までそっくりだな。さて、俊明さんへの答えだが……。


「そうですね。幸紀との結婚は僕自身は嫌とは思ってません。逆に聞きたいのですが俊明さん達は僕でも構わないのですか?」


「無論だ。だから今まで来てた婚約話も全て蹴っていたのだからな。五神将を名乗る者が多かったがそれでも私は君が最後の五神将だと知っていたからな」


「へぇ。それは初耳だ。おっと、初耳ですね」


ダメだ、気を付けようとしてもどうも敬語が苦手だな。それに気付いたのか俊明さんは薄く笑う。


「普段通りで構わないよ。元より君は秋雨の息子なんだし堅苦しくされるのは私は本意ではない。逆に本来ならば私が敬語にしなければならないのだぞ?」


「五神将ってステータスは想像以上のものなんだな」


僕は思わず苦笑する。五神将がその称号からすごいのは知ってたが……。


「それで、秋渡君の質問の返答は先程言った通り。私も早奈英も願ってることだ。ちなみに別に君が五神将じゃなくても私は君を選んでたぞ?」


「なぜだ?」


「わ、私が秋渡さんの妻になりたいからです!」


横からまさかの返答。僕はおろか、俊明も虚を突かれたように幸紀を見る。幸紀はハッとなって頭から湯気出るほど顔を赤くしていた。俊明はそれを見て笑い、早奈英さんも微笑む。僕も苦笑する。


「……まぁ理由はわかった。ただすぐに結婚はできない。年齢がまだ達してないしまだ高校生でもあるからな」


「その辺りは承知だよ。今日は君が承諾してくれるか、だけを聞きたかったからね」


「……フッ、物好きだな」


「いやいや、そんなことはないぞ。君ならば幸紀を絶対に幸せにしてくれると思ってるからこそ、だ」


そこまで断言するアンタがすごいよ。五神将ならば怖いイメージしかないんじゃないのか?それを訊ねると。


「秋渡君は以前幸紀を五神将青葉龍大から守ってくれたんだろう?女性と敵対する中で一人はその五神将達と対立することから五神将と戦ったって時点でもう納得さ。秋雨もそう言ってたしな」


笑いながらさらりと五神将についてのことを話す俊明さんも僕からしたら只者じゃないと思うぞ……。けどそのことを話したのか。まぁいいけど。


「それで、幸紀との結婚の返事だが……」


僕がそういうと俊明さん達は皆真面目な顔になって僕の言葉を待つ。僕はあの幸紀とキスをした時にはもう決めていたのかもしれないな。


「承諾しよう。僕も幸紀との結婚は嫌じゃない」


僕の言葉に俊明さんは笑い、早奈英さんは幸紀に「良かったわね」と声をかけ、幸紀はそれに「はい!」と顔を赤くしながら、そして泣きながらも嬉しがっていた。


「幸紀に害を侵す輩からは僕が守ろう。それでいいな?」


「秋渡君が幸紀を守ってくれるならば願ってもないことだよ。よろしく頼む」


「うふふ。さすがは秋雨さんの息子ね。舞渡もさぞこんな風に喜んでたわ」


俊明さんと早奈英さんがにっこり笑い、承諾してくれる。これで僕と幸紀は正真正銘婚約者となったというわけだ。両親公認のな。幸紀が立ち上がって僕の前まで来ると両手を前に合わせて綺麗な礼をする。まだ少し涙が出てるが床へと落ちる。


「秋渡さん!よ、よろしくお願いします!」


「ああ、こちらこそ。よろしくな」


「はい!」


顔を上げた幸紀は今まで見た中で最高にいい笑顔をしていた。僕はこれから託されたことをしっかりと成し遂げなければな。


と、幸紀の家族達と話していた時だった。

コンコンとドアがノックされて執事が入ってきた。その顔はかなり真剣な顔で何かあったのは間違いない。さっきの女共か?


「失礼致します」


「……どうした?」


「幸紀様との婚約を望むという方がこちらへ来ております」


執事の言葉に俊明さんは眉をピクリと動かし、早奈英さんからは笑顔が消えた。


「相手は誰だ?」


「……柏木様です」


柏木?誰だ、それは。


「……五神将最後の一人の候補とされている者の一人です」


僕の疑問がわかったのか、幸紀がこっそり耳打ちして教えてくれた。なるほどな。高須と同じ奴か。


「まだ諦めてなかったのか……」


俊明さんは歯を食いしばって悔しい思いをしていた。幸紀はどこかビクビクしてるし何かあったのか?ともかく出るとのことで、俊明さんは僕にも付いてきてほしいと頭を下げてお願いしてきた。早奈英さんからもだ。しかし僕が「構わん」と言うと安心した。幸紀は怖がっているから僕が手を差し出すと迷わず握ってきた。

そして玄関まで行ったらそこには……。


「やぁ、長谷川家現当主の俊明さん。そしてその妻の早奈英さん。そして愛しの幸紀」


いかにも傲慢で偉そうな金髪の男がいた。地毛ならば五神将の特徴である体のどこかの変化には当てはまるな。だが目は黒いことから可能性はそう高くはないだろう。と、観察していたら


「……貴様は誰だ?なぜ僕の幸紀に気安く触れている」


柏木がいかにも不機嫌そうな顔で僕を睨み付けてくる。だが僕はそれには怯えずに平然としている。その態度が気に食わなかったのか、更に不機嫌そうに怒りを表す。


「離れよ、雑魚が。俺が誰かを心得ているのか?」


「知るかよ。誰だテメーは」


威圧するように言った言葉は僕には通じない。だってこいつ……。


いかにも地位はあるアピールすれば大抵が弱腰になると思っている奴だし、何よりもこいつの睨みなんて五神将の青葉、黒坂、棗に比べて天と地ほどの差があるし。


「ハン!だったら聞いて驚け無礼者めが!俺の名は柏木大貴。柏木家の現当主だ」


「へぇ。で?」


「つまり俺はこの家の者よりも立場が上であり、何よりも隠れた五神将の最後の一人であるぞ?」


「あー、ふーん。じゃあ証明してくれや」


僕は軽く笑い、柏木に喧嘩を売る。柏木はピクリと眉を動かして見下すように睨む。俊明さん達は不安そうにしていたが僕はそれに構わず前に進み出ると柏木がさらに怒りを露にする。


「死にたいのか?貴様は」


「殺せるならやってみな。なんだったら後ろの配下を戦わせても構わんぞ?」


「ほう?ならば……」


「ただその時点でお前が五神将じゃないことが確かになる」


僕の言葉に柏木だけじゃなくて幸紀達も驚く。さて、この先、こいつがどんな反応をするか楽しみだ。


「本当に五神将ならば普通は部下から戦わせるなんてことはないからな」


僕のその言葉に周りは絶句していた。




ア「どうも!アイギアスです!」

秋「秋渡だ」

恋「恋華です」

舞「舞です」

明「明菜です」

秋「今回は人数が多いな」

ア「そうですね。いつもは一人か二人ですから」

明「ま、そこはあまり気にしなくてもいいんじゃない?」

舞「そうですよ」

恋「そういえば以前ここで続編みたいなものの話をしたらしいじゃない。あれはどうなってるの?」

ア「書いてますよ。ただ色々悪戦苦闘してましてね……」

秋「何が大変なんだ?」

ア「やはり文章力の問題とこの作品にはない設定ですね」

舞「この作品にはない……ですか?」

明「この作品、意外と色々あるわよね?」

ア「簡単に言ってしまえばファンタジー的なものです」

恋「要するに魔法とかそういうものなのかしら?」

秋「……苦幻夢も魔法っぽく感じるがな」

ア「あれとはまた違います。が、魔法とかのような類のものは書いたことがないのでそこが大変なのと炎や水、風、地のようなありがちな設定以外の変わった属性も取り入れたいのです」

舞「変わった属性?よくありがちですとなんですか?そういうことに疎いので……」

明「そうね……。例えばで言えば空属性とかじゃないかしら?結構ファンタジーの本で聞くものだし」

秋「光や闇はよくあるな。僕が読んだものには硬化魔法とか身体強化とかがあるぞ?」

ア「なるほど……。参考にします」

秋「そうだな……。これを読んでくれている人でこんなのがあれば面白いという属性があれば参考にしたいから是非教えてほしいな」

舞「魔法……かぁ。やっぱり非現実ですけどそういう本やアニメを見るとやはり少し憧れますよね」

恋「わかる!私も空飛んだりとかしてみたいって思うな……」

明「秋渡は身体強化魔法を使ってるって説明できそうなほどの体をしてるわよね」

秋「確かに現実ならあり得ないとは自覚してるがな。悲しいことに」

ア「自覚してたんですね……。それはそうと何か面白そうなアイディアがあれば教えてほしいです」

秋「ま、そんな心優しい人がいるのかも疑わしいがな」

舞「そろそろ締めましょう」

ア「ですね。それでは……」

ア・秋・恋・舞・明「また次話で!」


オマケ


秋「魔法とかがあってユニーク魔法ならばと少し考えたら美沙は真っ先に歌属性っていうのが出てきたな」

美「歌属性……かぁ。みんなが元気になるものだったら面白そうだね」

秋「確かにな。癒しとかありえそうだ。ゲームでいうと回復担当だな」

美「そういうようなものが本当に使えたらなぁ……」

秋「……(魔法なんてものがあったら五神将がカオスになりそうとは言えないな)」


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