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第六十七話 ファースト……キス

今回は三話投稿です。お間違いのないようお願いします。

秋渡side


ーー


僕は安心させるように抱き着いてきた幸紀の頭を撫でる。そしておもむろに男を睨み付ける。ペットボトルを食らった方は気絶をしていた。情けないな。とりあえず幸紀に少し離れてもらい、幸紀を背後に回す。こうすれば男は簡単には手を出せない。


「僕の婚約者に手を出したんだからな。覚悟しろよ?」


僕の言葉に男は「こ、婚約者!?」と反応をしたがすぐに笑い出す。そして懐からナイフを取り出して余裕やこっちの不利を知らしめるように見せてくる。


「けへへ。なーにが婚約者だ。じゃあお前を殺してその子は俺がもらうぜ!」


ナイフがあればビビると思ったのだろう。だが僕はナイフごときじゃビビりはしない。棗の大剣といい黒坂の改造銃といい青葉の大鎌を相手にしてればビビることはないだろう。あいつらは殺気も尋常じゃないしな。それに……。


「ナイフか」


「ああ。本当は女の服や下着を切るために持ってたんだけどな」


「ナイフ相手なら素手でいいか。達人でもないみたいだし」


僕は弱そうな最低男は刀を使う必要はないなと判断した。そもそも今は刀ねーし。なんであれさっさとやってさっさと幸紀を送るとしよう。


「余裕ぶっこいてんじゃねぇぞ邪魔者が!」


「その言葉、そっくりそのまま……」


男が走り出して叫ぶと同時に僕も走る。が、速度が違う。


「へ?……がっ!?」


「返してやる」


僕は男の鳩尾に一発だけ拳を叩き込んでやった。速度も加わっているから普通よりも威力がある。男は何が起きたか理解する前に気絶した。その場に倒れてる男共には目もくれずにペットボトルを拾う。これはもう捨てるか。僕は近くにあった自動販売機の横にあるゴミ箱にペットボトルを放り込んだ。ペットボトルは綺麗な放物線を描きながら見事に入った。


「幸紀、無事……か?」


ペットボトルを投げて入ったことを確認すると幸紀はまた僕に抱き着いてきた。身長差があるからだろうか、腹に何か柔らかいのが当たってる。が、それよりも僕は幸紀の頭を撫でてやる。すると幸紀は顔を上げて上目遣いで見てくる。……かわいいな。


「秋渡さんこそ、大丈夫ですか?」


「フッ、当然だ。あんな奴になんて負けないよ」


「クスッ、そうですね」


「ああ。それよりもなぜここに?」


「それは私も秋渡さんにお聞きしたいです」


というわけでさっき僕が座っていたベンチでお互いにここにいた理由を話す。


「はは、まさか同じ理由とは思わなかったな」


「ふふ、はい。二人とも婚約話で悩んでて夜風に当たりになんて」


「偶然にしてはできすぎだな。それにしても……」


僕は幸紀をまじまじと見る。……前に比べたら笑うようになったな。


「ど、どうかしましたか?」


急に僕に見られて恥ずかしいのか幸紀は顔を逸らす。髪は少し長くなっていて茶髪の色が少し明るくなってる気がする。


「……いや、なんでもない」


ここは黙っていようと僕は幸紀をまじまじと見るのをやめる。幸紀はやはり恥ずかしそうにもじもじしていたがチラチラと見てくる。


「そ、そうですか」


……なにこの子、かわいいな。僕はフッと笑って自動販売機で飲み物を買う。そういや幸紀の好きな飲み物ってなんだろうか?


「なぁ幸紀」


「はい?」


僕が声をかけると幸紀は即座に反応する。


「幸紀の好きな飲み物ってなんだ?」


「私のですか?そうですね……」


幸紀は考えるように空を見る。しかしすぐに僕を見てくる。


「やはり紅茶が一番ですね。とはいえそこまで嫌いな物もありませんが……」


「そうか」


僕はそれを聞いて自動販売機にある中から一つ選ぶ。ガコンッと音をして飲み物が出てくる。僕は幸紀にリンゴジュースを手渡す。


「ほらよ」


「え?い、いえ、悪いですよ!」


「婚約者の気遣いだ。受け取ってくれ」


「あ……。うぅ……卑怯ですよ……」


幸紀は最初は断ろうとしていたが僕の婚約者という言葉におずおずと受け取った。


「ありがとうございます」


「ああ」


お礼を言ってから幸紀は蓋を開けると両手で持ちながらリンゴジュースを飲む。僕もその姿を見ながらスポーツ飲料水を飲む。やっぱうまいな。


「美味しいです」


「そりゃよかった」


他愛のない話をしながら僕と幸紀は飲み終えるまでベンチで喋っていた。弓月は相変わらずらしいが、男性に対する罵倒はしなくなったらしい。ただどうすれば僕に振り向いてもらえるかを日々考えるようになったとか。そんなことよりも学校のことを考えろと言うと幸紀は笑った。


「と、もうこんな時間か。幸紀、送るぞ」


「え?いや、ですが……」


「さっきの連中みたいに襲われるかもしれないだろ。だから護衛だ」


「ではお言葉に甘えますね。ありがとうございます」


こうして僕は幸紀を家まで送っていった。道中はずっと談笑をしながら歩いていた。

しばらくして家に着くと幸紀は頭を下げる。


「今日は本当にありがとうございました。秋渡さん」


「フッ、ほぼ偶然だけどな。まぁどういたしまして」


幸紀は頭を上げるとなぜか少し顔を赤らめる。どうしたんだ?


「……秋渡さん」


不意に呼ばれて「ん?」と返事をする。すると幸紀が近付いてきて僕の頬を両手で包み込む。そしてグイッと引き寄せて……。


「え?……ん!?」


「ん……」


唇を重ねてきた。僕は目を瞑っている幸紀を驚きの目で見る。しかしどうしてか僕は抵抗をしてない。愛奈だったらされる前に絶対に止めるんだけどな。けど僕はなぜか受け入れている。つまりは……そういうことなのか?


「(変わるもんだな……。婚約者だからじゃないんだろうな。これは)」


僕がそう思っていたら幸紀から離れた。幸紀を見ると顔を真っ赤にしており、だがどこか嬉しそうにしながら僕を見ていた。


「しちゃいました……キス」


「……やれやれ。女はこういった時は恐ろしいな」


「それが恋する乙女、ということですよ」


「……初めてだ。こんなに落ち着かないのは」


僕は思わず幸紀から顔を逸らす。今はどうやって見ればいいのか全くわからないから……あまり見られたくない。


「ふふ、秋渡さん照れてますか?」


「誰かさんがいきなりとんでもないことをしてきてくれたおかげでな」


「秋渡さんかわいい……」


「はっ!?」


僕はかわいいと言われて思わず幸紀を疑う。何を言ってるんだこの子は!?


「照れている姿……とても新鮮です。いつもはクールなところしかほとんど見てなかったので」


「こ、こいつ……。……幸紀、散々僕をおちょくるのはいいが」


「え?お、おちょくってなど……」


「くく、こいつは少しお返しをしてやらんとな?」


「え、あ、うぅ……す、すみません……」


今の僕は間違いなく黒いオーラを出しながら笑っているだろう。幸紀は小動物みたいにプルプルしてる。心なしか少し涙目だ。だがここまでされたんだ。さすがに、な。


「さぁ、覚悟しろよ?」


「あうぅ……。せ、せめて……」


僕が手を伸ばすと幸紀は懇願するように僕を見てくる。そして……。


「せめて布団かベッドの上でお願いします……」


とんでもない勘違いをしていた。僕は幸紀の顔を見る。なぜか恥ずかしそうにしながらも嬉しそうに頬を緩ませていた。……ひょっとして期待したとかじゃないよな?


「待て、幸紀は何をされると思ったんだ?」


「え?そ、それは……」


かぁ……と顔を赤くさせる幸紀は何を想像しているのかが些か疑問だが多分幸紀が想像したのとは違う。そもそも布団かベッドの上ならしてもいいのか。


「い、言わせないでください!恥ずかしいじゃないですか!」


「逆ギレ!?」


なぜか怒られた。いや、単に恥ずかしさから出たんだろうけど。ともかく勘違いしてるのだけは間違いなかった。


「とりあえず言っておくと幸紀が想像してることはしないぞ?」


「え?」


「……なんで残念そうにしてるんだ」


「だ、だって……」


なぜ残念そうにしてたかはわからないがともかくそろそろ帰った方がいいだろう。きっと両親も心配してる。


「今日はありがとうございました。おやすみなさい、秋渡さん」


「ああ、おやすみ……と、その前に」


チュッ


「え?」


「仕返しだ。さっきのな」


僕は挨拶して別れる前にさっきのお返しだけはしておいた。幸紀は自分の唇に触れて顔を真っ赤にする。それを見て僕は満足して背を向ける。


「じゃ、またな」


「え?あ、はい!おやすみなさい」


「おやすみ」


顔を赤くしたままの幸紀がペコリと頭を下げたのを見てから僕は帰路に着いた。後ろから幸紀の気配はしていたがやがてそれもなくなる。家に戻ったのだろう。

こうして僕はなんだか長く感じた夜を過ごした。……舞への言い訳はどうしようかと思いながら。



ア「新年明けましておめでとうございます!どうも、アイギアスです!」

秋「明けましておめでとう。秋渡だ」

明「明けましておめでとうございます。明菜です」

秋「……まさか今回幸紀がこんな行動に出るとはな……」

明「私は散歩に行ったにも関わらず遭遇したことに驚いたけど……」

秋「偶然だ。幸紀が不良をイメージしてやってきただろうチンピラどもに絡まれてたんでな」

ア「普通にチンピラか不良でよくないですか?」

秋「気にするな」

明「それにしても作者が三話も投稿するなんてね」

秋「お年玉は配る用意したのか?」

ア「え?」

秋「ああ、それはまだか」

ア「そうですよ!」

明「ふふ、みんないい一年になるといいわね」

秋「……そうだな。神社に行くのもこの時期ならではだしな」

ア「おみくじとかも引きたいですね」

明「いいわね。みんなで行く?」

秋「じゃあこの後に行くか」

明「みんな起きていられるかしら?」

秋「愛奈や美沙辺りはわからんな。……とと、メールだ。何々?」

ア「どうしましたか?」

秋「……フッ。明菜、どうやらみんないつでも行けるらしい。舞が連絡しててくれたみたいだ」

明「そうなの?じゃあ急がないとね」

秋「ああ。幸紀にも連絡して、と。これでよし」

ア「いいですか?では新年早々で申し訳ありませんが今回はここまでで。それでは……」

ア・秋・明「また次話で!」


ーー


恋「楽しみね。秋渡と行くのは久しぶりかな」

星「……そうね。混んでいそうだけど」

愛「それはしょうがないですよ。ですが皆さんと一緒ならば大丈夫でしょう」

美「そうだね。うん、楽しみ♪」

舞「吐いた息が白いです。んー、いい年になるといいです!」

幸「急に呼ばれた時は驚きました。でも秋渡さんとは楽しみ♪」

明「待たせたわね」

秋「すまんな、少し遅くなって」

ア「ではここでも挨拶をしておきましょう」

ア・秋・恋・星・愛・美・舞・明「今年もよろしくお願いします!!」




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