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第六話 一途のお嬢様

更新が遅れました!すみません

街に着くととりあえず暇潰しにはなるだろうと思い、本屋に行くことにした。その道中、


「お願いです、離してください!」


「んなつれないこと言わないで俺たちと遊ぼうぜ~?」


「さっきから嫌と言ってるじゃないですか!」


……なんか街に着いて早々に目の前で今の世界じゃだいぶ減ってるけどなんかナンパしてるアホ共(不良っぽいやつらが四人)がいる。でもなんであの子は正当防衛としてあいつらを攻撃しないんだ?人数の問題か?


「さて、どーすっかな」


なんであれ彼女は困っている。僕はどーすっかな。


「おい、そこの男、なにさっきからこっちをジロジロ見てんだ?」


あ、気付かれた。じゃあしゃーないね。

ボコボコにしちまおう。


「いや、集団でなにやってんだこいつらバカじゃね?って思ってな」


喧嘩を売ってみた。さて、こいつらの反応は?


「あぁ?テメー、死にてーのか?」


「ぶふっ!」


あ、やべ、思わずよくある台詞に吹いちまった!


「テメー!!」


怒り狂って一人が殴りかかってきた。僕はそれを左に少し避けて足をかけてその不良Aを転ばした。ちなみに地面はコンクリートな。


「ごふっ!?」


勢いよくこけた。……さすがに痛そうだ。


「この野郎!」


残りの不良B、C、Dも殴りかかってきた。僕は不良Bに蹴りをお見舞いしてすぐに倒す。そしてそのまま不良Cに勢いを殺さずに腹部を殴る。これで不良Cは「おぶす!?」とかよくわからん言葉を発して倒れた。……なんで彼女はなにもしなかったんだ?こいつら弱いぞ?それも普通の女でも今は倒せるぐらい。残り一人はっと、ん?なんか腕が変だな?


「よくも邪魔してくれたな!覚悟しやがれ!」


ブォン!と強く殴ってきた。…が、

ガシッ!


「んなっ!?」


それを僕は軽々と受け止めた。そして僕は気付いた。


「(こいつの腕の感触、機械じゃないか?)」


こいつの腕は両腕とも硬い。それは正しく機械だった。

なるほど、彼女が振りほどけなくても無理はないな。機械で少し力を強くすればそりゃ女の力にも勝てるわな。けど今日は運が悪かったとだけ言っておこう。


「くそっ、離せ!」


ぱっと手を離す。この不良Dは相当力を入れていたのか、勢いよく後ろに転んだ。が、すぐに起き上がった。他の不良?そこらに転がってるよ。


「チッ、舐めるなぁ!」


今度は蹴りも入れてきた。それを軽く僕は避けた。そして、

ゴスッ!と、こいつの顔面を殴った。手で顔を押さえて距離を取る不良D。ま、すぐに距離を縮めて腹に蹴りを入れたけどな。不良Dはそれで倒れた。ふぅ、終わった終わった。さて、


「大丈夫か?」


さっき絡まれてた女に声をかける。が、無反応。どうしたんだ、こいつ。するといきなり女は、ぽーっと頬が赤くなってく。風邪なのか?


「おーい」


もう一度声をかける。


「あ、はい!」


次は反応した。なぜかびくんとしてたけど。


「とりあえず怪我はなさそうだな。なら大丈夫か。んじゃあなー」


無事を確認したので僕は本屋に向かって歩き出す。


「え?あ、待ってください!」


なぜか彼女に呼び止められた。僕なんかやったか?


「なんだ?」


「えっと、助けていただいたので、その、ありがとうございます」


わざわざお礼を言うためにか。律儀だな。

あ、ついでに彼女の容姿を説明しておこう。

名前は知らんけど顔立ちはもう完璧と言っていいほど整ってる。目はパッチリしてる。色は黒い。その目で上目遣いをされたら普通の男ならそれだけで惚れるだろうな。髪は長く、腰までとはいわないがそれでも腰より少し上くらいなので相当長いだろう。よくは知らんが。んで髪の色は銀色。僕と一緒だな。そしてスタイルはかなりいいだろう。出るとこは出てる(どことは言わない)。所謂ボン、キュッ、ボン……だっけ?そんなものだ。知らんけど。


「礼なんて気にしなくていい。僕が見てたのが悪いんだし」


「でもそのお陰で私は助かったんです。だからお礼を言うのは当然のことなんですよ」


ふーん、そういうもんなんだ。


「あの、この後って少し時間は空いていますか?」


唐突にそう言う女。


「ああ、空いてるけど?」


「良かった…。お礼がしたいのでよければどこかでお茶しませんか?」


お茶か。ま、暇潰しになるからいいか。本屋は別に用があるわけでもないし。憂さ晴らしはあの不良たちが犠牲になってくれたし。え?あいつらはどうなったかって?邪魔だから捨ててきた。


「別にいいぞ」


そう答えた時の彼女はとてもいい笑顔だった。理由は知らんけどな。




その後は近くの喫茶店に入った。そこで席に着くと彼女はなにかを思い出したのかポンと手を叩いた。


「そう言えばまだ自己紹介をしていませんでしたね。私は雨音あまね愛奈あいなといいます。よろしくお願いしますね!」


彼女ーー雨音はそう言って微笑む。ん?雨音愛奈ってもしかしてあの?とりあえずこいつに自己紹介しとくか。


「世刻秋渡だ。ま、よろしくな」


「世刻秋渡さんですね?絶対に覚えときます!」


なぜこんなに意気込んでるんだろうか…。


「ところであんたはーー」


「あんたではなく愛奈です!」


名前で呼べというのか。それだと変な誤解を受けるから雨音でいいか。


「んで、雨音は僕の記憶が正しければ雨音財閥家の娘だよな?」


「はい!」


……さっきから元気だな、こいつ。


「なんでこんなとこにいるんだ?」


僕の素朴な疑問だ。普通はこんな街にいるやつじゃない。


「お父様にこの街に住んでいる御友人がいるそうなのでここに来ました。私は単に暇潰しで街を歩いてました」


んで、ぶらついてたらさっきの不良に絡まれたってわけか。だが普通護衛がいると思うんだかな。


「どうせなのでここでお父様がお前の相手を探せというので散歩ついでに探してました」


ふーん。お嬢様って大変なんだな。僕なら即刻反抗するな。てか相手探しをついでにしていいのか?


「そか。それで、相手に相応しいやつはいたのか?」


「はい!私はもうこの方しかいないと思いました!」


え、もう見つかったのか。スゲーな。しかもこんなお嬢様に一目惚れさせるとかスゲー。そいつはきっと泣いて受け入れるんじゃないのか?


「その人は他の人が見て見ぬふりしてるのに私に助けの手を差し伸べてきてくれました。素敵な方です。しかも相手をボコボコにしちゃいましたし」


おぉ、そいつはスゲーな!どんだけ強いんだ、そいつは。しかも度胸がまたスゲーな。


「へぇ、んで、そいつにもう想いは伝えたのか?」


聞いてておもしれーや、これ。相手はどんなやつなんだろうな。


「いえ、でも今から伝えようと思います!」


……行動力あるな、こいつ。しっかし今から伝えるってどうやるんだ?ここにはいないだろうに。


「秋渡さん。私と結婚してください!私はあなたと共にいたいです!」


…………………………………え?


「ちょ、ちょっと待て!まさかその相手って僕なのか!?」


「はい!」


超真顔で言われた。本気…なのか?いやいや、有り得ない。まだ会って一時間も経ってないんだぞ?


「決断早すぎないか?」


「いえ、秋渡さん以上は絶対にいないと私は思います。だから秋渡さんとがいいんです!お父様も絶対に許してくれます!」


…………よし、ここで僕の頭の中を整理しよう。まず雨音が僕に結婚を申し込んできた。……この時点で色々飛んでね?そして雨音は僕以上はいないと断言した。……絶対いるよな?てか雨音のお父さんや、助けてくれ。娘が暴走してるぞ。


「あれ?」


不意に声を上げた雨音。視線も僕の後ろに行ってる。僕も気になったので振り返ったらそこには、


「ん?おお、愛奈じゃないか!こんな所で会うとは奇遇だな。一緒に食事を……、ん?その男は?」


その男とは言わずとも僕だ。てかこの人は雨音家の主こと雨音あまね久英ひさひでじゃねーか!僕居づらい!


「あ、はい、私を助けて下さった世刻秋渡さんです!」


「どうも」


久英さんは僕を見て途端に真剣な顔付きになった。

……まさか僕が五神将だと気付いたのか?

しかし、


「君が愛奈を助けてくれたのだな?ありがとう」


いかにも大切な娘を守ってくれた恩人に言うように微笑む。見た目は厳ついのだが思ったより穏和な人のようだ。

なにより僕は五神将だと気付かれなくて良かった…。


「お父様」


雨音ーーだと紛らわしいな、愛奈は真剣な声で久英さんに声をかける。


「なんだ、娘よ」


それに久英さんも真剣な顔で答える。どうしたんだ?


「私、秋渡さんと結婚したいです」


おい!その話を今ここでするか!


「とりあえず座らないか?ここだと邪魔になるし」


「ふむ、そうだな」


僕がそう言うと僕と愛奈が座ってた席に久英さんが座る。

その時に久英さんは僕をジロジロ見ていた。諾か否かを判断してるんだろうな。出来れば否になって欲しい。


「愛奈よ」


久英さんが愛奈を見た。そして放った言葉は……!


「むしろワシがこの男に頼んでいたかもしれん。ましてやお前を救った男だしな。だから許可しよう!」


まさかの諾!?なんでだよ!

愛奈はえらく輝いた顔をしていた。……眩しいよ、あんたら。


「本当!?」


「本当だ。ワシが嘘を言うわけなかろう」


これ、いい加減口を挟まないと勝手に結婚することが決まってしまう!


「待て、僕はまだその話をOKした覚えはないぞ」


そう言うと二人してこっちを見る。……なんだよ。


「そうですよね。まだ会ったばかりですしね。ならお父様、私を秋渡さんの学校に行かせて下さい!そこで私のことを色々知ってもらおうと思います!」


待て、絶対なにか起こるよ。ん?でも待てよ?そこでこいつの相手を探せば僕は助かるんじゃね?ああ、でもどっちにしても何かに巻き込まれそう。


「うむ、秋渡君の学校に行って彼を存分にメロメロにするがいいぞ、愛奈」


年頃の娘に何を言うんだこのおっさんは!?


「はい!絶対にして見せます!彼以上はいないので!」


対して愛奈も気合いを入れてた。しかも断言してた。……もうやだよ。固い握手もしてるし。何に対しての気合いなんだろうか…。


「学校行きたくなくなりそうだ……」


一人呟く僕だった。もちろん、二人には聞こえていなかった。



どうも、アイギアスです。

また新キャラが登場しました。お嬢様って恐ろしいですよね。



次回はまだ何も考えていませんが、バトルが出ることは多分ないと思います。

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