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第六十一話 前の敵と同盟

僕は二人の墓の前でしゃがみこんで墓の前に花を添えて線香に火を付けてそれを置き、目を閉じて手を合わせる。後ろで舞も僕に倣って同じようにしている。


「(とりあえず今のところはだが舞はちゃんと守ってるぞ。だから安心して眠っててくれ、二人とも)」


僕の心の声が聞こえたのか、それとも偶然なのか、それはわからないが僕の心の声に反応するかのようなタイミングで風が少しだけ吹いたような気がした。僕は目を開けて立ち上がって墓を少し見てから振り返り、舞とその奥で僕達を見守っていた新崎を見る。舞は僕を見返していたが新崎は何かを考えているのか、腕を組んでいた。


「お二人は……安らかに眠れたでしょうか?」


舞が寂しげな顔をしながら質問をしてくる。僕は舞の頭に手を乗せて優しく撫でる。


「それは本人じゃないから僕にもわからん。が、こうして舞が来てくれたことは喜んでいそうな気がするぞ」


「お兄様……」


「さ、帰るぞ。あまり遅くなると恋華と明菜に心配をかけちまう」


「……ふふ、そうですね」


やっと舞は笑顔になった。僕も舞の笑顔を見て安心する。


「世刻君、少しいいかしら?」


と、話し掛けるタイミングを読んでくれたのか、新崎に呼ばれる。僕は新崎の方へ向き直り、話を聞く姿勢になる。余程のことなのか、新崎は真剣な顔をしている。


「なんだ?」


「お願いがあるの」


声をかけられたからお願いなのはわかってはいた。問題はその中身だ。


「高須を倒すのに加勢をしてもらえない?」


高須を倒す?一応新崎の上司……って言っていいのかはわからんがともかくそんな感じだったはずなんだが……。


「お前、苦幻夢使えるだろ」


「五神将の黒坂には効かないわよ」


「待て、僕に黒坂の相手をしろってことか?」


勝てるには勝てるが後から暁に目を付けられそう。それとまた青葉がやって来そうでおっかない。


「タダとは言わないわ。ちゃんとお礼は出す」


「待て、そこまでしないといけないほどなのか?」


「深桜にもやって来た五神将を撃退したんでしょ?」


「……」


確かにあいつらは僕が撃退したけどさ。うーん、黒坂の相手か。まぁそこまで苦戦はしねーけどそれでもあいつの銃器はめんどくさい。ハンドガンタイプなのになぜかマシンガン並みの連射速度を誇ってるしライフルなのに普通に追尾してくる弾を打ち出せるし。あとは弾に爆薬が仕込まれてるから爆発の恐れがあることがめんどいな。


「……僕は以前お前に負けてる。そんな奴が黒坂をどうにかできるとでも?」


僕は苦い思い出を思い出すかのように伝える。横で舞が信じられないといった感じの顔をしていた。僕が負けるところを見てない分、負けたところが想像できないんだろうな。負けたことは僕にとってかなり悔しい。今までそう負けなかった分、悔しさが余計に強かった。しかし僕のそんな顔を見て新崎は首を横に振って否定する。


「あの時のあなたは怒りに任せていたからでしょ?冷静なあなたと戦ったら勝てるとはとてもじゃないけど考えられないわ」


新崎はそんなことを冷静に言ってくる。確かにあの時はかなり動きが大きくなって隙を見せてしまった。それによって前は負けたと思っている。あの時は幸紀にも迷惑をかけちまったな。


「正直あの時は偶然私の運が良かったに過ぎないわ。今戦ったら確実に私が瞬殺されるのが目に見えてる」


「さぁ、どうだかな」


「私の苦幻夢は色んな人に使えるけど弓月や冬美のような強い部類の女子や男子でも五神将には効かないの。理由はわからないけど……」


苦幻夢が効かない?凛桜を襲撃してきた時に弓月にやらなかったのは効かないからか。五神将には、か。黒坂にでも試してみたのか?だとしたら相当勇気がいると思うんだがどうなんだろう。


「……お兄様、どうなさるのですか?」


「……考えたいのは山々だがそうもいかないだろう」


「では……」


「加勢してやる。だが条件がある」


僕は新崎のお願いを受けることにした。だけど報酬があるとはいえ僕にはこれだけは譲れない。


「条件は何かしら?」


「戦う時だが僕は僕の自由に動かせてもらうぞ」


誰かの指揮の元で動くのは正直言って苦手だ。だから僕は僕の好きなように動いて戦う。


「え?最初からそうさせる気だったけど……?」


……こいつはよく僕の性格を理解しているな。まだこれで二回しか会ったことがないはずなんだがな。それとも僕がわかりやすいのか?


「弓月相手にも引けを取らなかった時点で薄々感付いたわよ。それに、どう考えてもあなたが誰かの下で動く人とは思えないし」


「……僕ってそんなにわかりやすいか?」


「そんなことないですよ、お兄様」


新崎は人間観察が得意な奴なんだろうな。一度でそんなにわかるとは素直に驚いた。まぁわかりやすいかどうかは舞曰くそうでもないみたいだが……。ただ超真顔で言うのだけはやめてほしかった。


「世刻君、さすがに連絡はしたいから連絡先は教えてもらえないかしら?」


「まぁさすがに必要だよな」


僕はジャケットからスマホを取り出し、新崎に連絡先を教える。横で舞が頬を膨らませてるがなぜだろうか……。すぐに連絡先を交換して僕は交換できてることを確認し、スマホをポケットにしまうと爺達の墓をもう一度見、また新崎を見る。


「じゃあまたな」


「ええ。協力、ありがとう」


「気にするな。それよりもまた深桜高校に遊びにでも来い。冬美達も喜ぶだろ」


「……そうするわね。その時は世刻君が生徒会長か何かになっているかしら?」


「やめろ、僕はそんなタマじゃないだろ」


「そんなことないと思うけど……」


……どうしてどいつもこいつも僕が生徒会長になることを疑わないんだ?五神将だって知ってるのならともかく知らないのにどこからそんな根拠が……。


「……まぁいい。とりあえず何かあったら連絡しろよ?」


「ん、わかったわ」


それだけ最後に会話をして僕と舞は駅へ向かった。



ア「どうも!アイギアスです!」

秋「作者の投稿の遅さに呆れてる秋渡だ」

美「みんなを笑顔にしたい、美沙です」

明「後輩なのに後輩らしくないと恋華さんに言われた明菜です」

秋「待て、明菜、そんなこと言ってたのか?」

明「言われたわ。まぁ自覚もしてたし」

秋「恋華のやつ、ポツリと呟いたな……」

美「あ、秋渡君。これ縫っておきましたよ」

秋「ん?お、すまないな」

ア「頼み事とは珍しいですね」

秋「アンタ、わかってて言ってるだろ」

ア「まぁ君が言ってましたからね」

明「……(ジー)」

秋「……なんだ、明菜?」

明「恋華さんが言ってた秋渡の苦手なことって裁縫?」

秋「……なんのことだか」

明「料理とか掃除とか自分でできることは自分でやろうとするからね。それなのに他人に頼むってことはそうでしょ?」

秋「はぁ……。ああ、そうだよ。裁縫は苦手だ」

美「あはは、まぁまぁ。誰でも苦手ことはありますよ」

秋「そりゃそうだろ。ない人の方がおかしい」

ア「苦手なことがそれしかない人が言いますか?」

明「捉え方を考えたら嫌味にも聞こえるよ」

秋「んなこと言われたってな……」

美「ところで秋渡君、お礼の件なんだけど……」

秋「ああ、買い物に付き合ってほしいんだろ?構わんぞ」

美「……やった(ボソッ)」

ア「抜け目ないですね……」

明「相手はただの買い物としか認識してないけどね」

ア「さて、今回はここまでにしましょう」

明「それじゃ……」

ア・明・秋「また次話で!」


ーー

オマケ

美「帰ったら服をコーディネートしなくちゃ!」

秋「……?」

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