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第五十七話 会長不在の生徒会へ勧誘

学校に着き、明菜は一年生なのですぐに別れて恋華もクラスが違うので途中までは一緒だったが教室に着くくらいに別れた。愛奈と舞は相変わらずだったがそれはそれで安心してる。


「おはよう、世刻」


僕が二人を見てたら橋本が話し掛けてきた。僕は二人を見るのはやめて橋本の方へ向く。そこには橋本ともう一人、相澤がいた。


「ああ、おはよう」


「なぁ世刻、昨日のこと何か知ってるか?」


「昨日?」


相澤に唐突に言われてさすがに戸惑う。昨日は櫻井達との戦いがあった。だから昨日のことを聞かれても正直なんのことで話が出ているのかはわからない。そもそも昨日の騒ぎは櫻井達との戦いで起こったものだし。と、僕の困惑顔を見て相澤は「知らないのか?」と聞いてくる。そういやよくよく考えればあの時間帯はまだ部活に励んでた連中は職員室に殺到したって言ってたな。


「ああ。なんでも生徒会室から銃声が聞こえたり窓が割れたりと色々あったらしい。そんで他にも見に行った奴は何人かの血を見たって話だ。特に生徒会室の机の周りが酷かったらしい」


銃声は間違いなく櫻井だな。んで窓が割れてるのは冬美達と明菜との戦いだな。血は櫻井が僕に刺された所が机の近くだったからだろう。まぁ他にも櫻井が冬美達を撃った所にもあるんだろうけど。ともかくその辺だろうな。


「生徒会と結構繋がりがあるからお前なら何か知ってるかと思ったんだが……」


なるほど、確かに今生徒会の連中と繋がりは僕が大きいだろうな。だから知ってるかと思ったんだろう。それは別に間違いじゃない。というかむしろ一番よく知ってる。さすがにこれを話すわけにゃいかないから言わないがな。


「おあいにく様、僕はそこらは聞いてないな。繋がりがあるからって必ず話されることでもないし」


これは本当に思ってることだ。冬美は僕を次期生徒会長にしたいみたいだがそれを断ってるし今生徒会に入ってるわけでもない。ただ繋がりがあるからと言っても話せることには限度がある。


ピンポンパンポーン


『生徒のお呼び出しをします。二年一組世刻秋渡君、世刻舞さん。至急保健室へ来てください』


あれ?なんか呼び出しくらった?だが保健室ってことはもしかしなくともかな?


「悪い。ちょいと行ってくる。……舞、行くぞ」


「はい、お兄様」


席から立ち、いつの間にか近くに来てた舞に声をかけてから教室を出る。そしてそのまま保健室へと向かった。なんとなく用事は想像ついてるからその話だろうと思う。


ーー

結論から言おう。やはり予想通り昨日のことだった。ただし、違う点もある。


「生徒会のメンバー全員が休み?」


保健室に着くなり荒木から話されたことは冬美達が全員休んだことだった。別段不思議なことではない。疲れと傷が原因で動けなくてもおかしくはない。僕と舞が呼ばれた理由にはとてもじゃないがなっていない。


「昨日あんなことがあったから無理はないんだけど……」


荒木はどこか言いにくそうにしながら頭をかく。一体なんなんだ?と、荒木はまた僕を見る。そして舞も見る。


「二人に頼みたいこと、それは三人が復帰するまででいいから生徒会の仕事を引き受けてくれないかしら?」


あー、そういうことね。要するに代理か。そして荒木が言いにくそうにしてた理由。それは僕が頑なに生徒会の勧誘を断ってるのを知ってる奴は多いからだ。教師の間でも噂になってるらしい。だがここで僕はふと思ったことがあった。


「室川はどうしたんだ?あいつは軽傷だったはずだろ?」


室川は軽傷だったから僕達と行動もできた。怪我も大体僕と同じくらいか少し酷い程度だ。冬美と工藤はかなり重症だったから無理はない。荒木は僕の言葉になんて言えばいいのかが思い浮かばないのか、頭をかき、困り顔をする。どうやら言いにくいことらしいな。


「実は室川さんは二人のお見舞いにね。関澤さんと工藤さんは昨日世刻さん達が帰ったあとに病院連れていったら入院することになっちゃって……。二人は少なくとも一週間は入院みたい。けどさすがにここで生徒会が不在になるのはマズイって職員会議で出て代理を頼もうにも強さとか信頼度が関澤さん並の人なんてこの学校にいないでしょ?だから困ってたのよ……」


なるほど。冬美と工藤は入院したのか。あれだけ気絶してたし血も流したから無理はないか。室川も見舞いと言いつつ他にも何かあるだろうな。だがこれだけでは僕に代理を頼むことになった経緯がない。


「とりあえず二人が入院してる間は学校に何事もないようにするために強い人を、てなってね。で、五神将を退けた腕前から世刻君が出てきたの。世刻さんなら兄のサポートもできるだろうし」


「……要するに五神将対策とか強襲対策か」


「ええ。とりあえず引き受けて貰えないかしら?」


学校防衛のために、か。正論な上に学校に通ってるからには僕も無関係じゃない。けど正直言って凄くめんどくさい。そもそも別に生徒会の人間が必ずしも守る必要はないし一番生徒を守らなきゃいけないのは教師達だ。


「お前らが守るってことはしないのか?」


「するわよ!失礼ね……」


あ、それはちゃんとするのか。


「あの、お一つよろしいですか?」


今までずっと黙っていた舞がここで会話に加わる。僕も荒木も何事かと舞を見る。舞の顔は遠慮しそうな顔をしていた。


「お話を聞く限りではお兄様が学校を守るために生徒会代理に選ばれた訳ですが別に守るためならば無理に代理を頼む必要はないかと思いますが……」


舞は少し言いにくそうにしながらも言葉を発した。だが僕は舞の意見を聞いて納得できる。確かにただ守るだけならば無理に生徒会代理を引き受ける理由にはならない。逆に何か起これば責任は来るしそもそも守るだけなら生徒会じゃなくてもできる。それならば引き受ける必要もない。そもそもこれを引き受けてもメリットが何もないからな。


「それを言われると辛いなぁ……」


荒木は困りながらも笑ってる。どうやら荒木はそれを聞いた時に同じことを思ったらしい。今まで棗、黒坂が来た時は全部僕が勝手に動いただけだしな。青葉に至っては深桜高校は全くと言っていいほど関係ない。


「……だが僕も舞の意見には賛成だ。わざわざ代理を引き受ける必要もない。それに何かに束縛されるのは嫌いだ」


元々僕は何かに捕らわれるのが嫌いな方だから生徒会に縛られたりするのは正直嫌だ。話は終わりだと言わんばかりに僕と舞は椅子から立ち、保健室から立ち去ろうとする。


「世刻君、世刻さん。実は生徒会代理を頼んだ理由はまだあるのよ」


僕と舞はその場で止まり、荒木の方へ向く。荒木の顔には諦めの顔が写ってるが、それでも言わなくちゃいけないように見える。


「……最近、暁春樹が動いてるっていう話が出てるのよ」


僕と舞は荒木の言葉に絶句する。今思えばいつもならば僕が断ったら少しだけ粘ってもすぐに諦めていた。だが今回はえらく粘っている。最初は冬美達がいないからだけなのかと思っていたのだが、どうやら一番の理由が暁のようだ。だがあいつが動いてるとなれば深桜じゃなく、凛桜のような女子校の方が危険だ。


「暁……」


未だに噂でしか聞いたことがない男。あの青葉ですら手駒に取ると言われているほどの強さ、知略を持っているという噂もある。


「(そして五神将の中で最凶とも最強とも言われている……。五神将が相手だと女じゃ勝てない。だが棗や黒坂を撃退したことを知っていたら?青葉との戦いを見ていたら?間違いなく僕に希望を持つ。そして今度もきっと勝てると思う)」


なんて勝手なことだ。それじゃ冬美が滞在していても結局僕の所に話は来ていたということになる。今回は偶々冬美達がいないからそれを餌にして僕を釣ろうとしてきている。だがたとえどんなことがあろうとも僕の意見は変わらない。


「……僕は僕の好きなように動く。暁がもしやって来た時も僕の勝手にさせてもらう」


僕はそう吐き捨て、舞を伴い今度こそ荒木の言葉も聞かずに保健室から出ていった。次は荒木は僕を止めることをしなかった。

暁……。お前をもし倒したら果たしてこの世界はどうなるんだろうな?女性がまた主導権を握るか、それとも男女が平等になるか。少なくとも男性にはいいことはあまり起きないだろう。けどな、暁。お前がやろうとしてることはさすがに阻止させてもらうぞ。





ア「どうも、アイギアスです!」

秋「……秋渡だ」

幸「幸紀です」

愛「愛奈です!」

秋「……はぁ」

幸「ど、どうかしたのですか?秋渡さん。いきなり溜め息をつくなんて……」

愛「何かあったのですか?」

秋「いや、前回の後書きを見てればわかるんだが……。美沙の水着を選んだんだ」

ア「行ってきたのですね」

秋「ああ。それはまだよかったんだが……」

幸「何かあったのですか?」

秋「美沙ってアイドルだろ?しかもかなり有名な」

愛「そうですね。ですがそれがどうかしたのですか?」

秋「周りに人が集まるんだよ。んで、僕はそれの対処に追われる。そしてそこで時間を食うんだ」

ア「アイドルが水着選んでればそれは気になりますよね」

幸「撮影用ならば事務所が用意しますからね……」

愛「プライベートならばなぜ水着を買うのか、それに秋渡さんがいたことから選んでもらうのか、二人でどこかで泳ぎに行くのか、など色々考えられますからね……」

秋「当然、聞かれたよ。撮影用って答えたかったが僕は事務所の人間でもないし専属の何かでもない。だからどう答えようか悩んでいたんだが……」

ア「そこで何かがあったのですね」

秋「……美沙が『恋人です!なので私の私用の水着を選んでもらっています!』って笑顔で答えてな」

幸「それ、美沙さんアイドルとして続けて行けるのですか?確かアイドルって恋愛禁止ですよね?」

秋「その通りだ。だけどなぁ……。どういうわけか、黄色い歓声が飛び散るという謎の状態になってな……」

愛「待ってください、なぜ歓声が?」

秋「そこは僕にもわからん。が、少なくともあまり人気が落ちる気配はなかったな」

ア「他に何か美沙さんは言ってたのですか?」

秋「僕が時々美沙の護衛に付いてたのは知ってるよな?」

ア「おっしゃっていましたね」

秋「だから美沙は僕が護衛に付いているのは自分のわがままで近くにいたいからって言ったんだよ。そしたら……」

幸「納得された?」

秋「ああ。だが恋愛禁止のことも聞かれたが……」

ア「なんて答えたのですか?」

秋「たとえ私がこれでアイドルが続けられなくなっても私は彼だけのアイドルで居続けます!って答えた」

愛「美沙さん、結構グイグイ行きますね……」

秋「そのうちテレビか新聞に出るかもな……」

ア「……とりあえずお疲れ様でした」

幸「……終わりましょうか」

ア「では」

ア・秋・愛・幸「また次話で」


オマケ

美「秋渡君が選んでくれた水着、フリルの黄色で可愛かったなぁ……。ふふ、それよりもやっぱり秋渡が選んでくれたってことが一番嬉しい♪あの質問に答えたことも嘘じゃないよ、秋渡君。もしものことがあれば本当に秋渡君だけのアイドルにだってなるよ……。秋渡君に恋をしない方が無理だもん。命を助けられたってこともあるけどあの頼りになる背中はやっぱりかっこよかったからね。今度は秋渡君に対してメッセージになるような歌詞でも考えてみようかな?よし、今日もまた頑張ろう!」

友「美沙、時間よ」

美「はい!秋渡君、私の頑張り、見ててね」

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