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第五話 VS棗 達也決着+生徒会長冬美の気持ち

僕は棗と対峙した。


「負けても恨まないでくれよ?俺、あんま加減できねーから」


「さっきも言っただろ?あんたを倒すって」


五神将である棗から威圧感がかなりある。けど僕は冷や汗をかくどころかまったく動じない。


「喋ってじゃ始まらねぇ。行くぜ!」


「ああ」


最後まで焦らない僕に期待でもしたのか、ニッと笑みを浮かべて猛スピードで向かってきた。同時に剣を振りかぶってきたが、

キンッ!

僕は刀を振るってそれを弾いた。


「へぇ、でもまだ序の口だぜ!」


棗は笑みを浮かべて連撃を加えてきた。しかし僕はそれをすべて防ぐ。でも連撃喰らうとさすがにもたねーかな。さてどーしよ。


「防御ばっかだと、俺には勝てねーぜ!」


まあ確かに守りだけじゃ勝てねーわな。


「なぁ」


僕は話し掛ける。もちろん、棗の連撃は止まない。


「なんだ?まさか降参か?」


「それはない。なぁ、あんたは本気で戦ってるのか?」


「あ?本気?お前に?」


どうやらこいつは全力では戦っていなかったみたいだ。けど考えてみたらそうか。だってこいつ僕がただの男子としか見てねーしな。


「僕はあんたの全力と戦いたい。ま、嫌ならいーけど」


だから少しつまらなそうに言った。すると棗は、


「……後悔するぜ?」


「どうだろうな」


僕がそう言うと棗は一旦離れ、そして、


「はあぁぁぁぁぁ!!」


こちらに先程とは比べ物にならない速さで接近してきた。しかも強く地面を蹴ったためか地面が抉れてた。おーこえー。砂煙も発生してやがるよ。ま、どーでもいいか。


「さぁ、死ね!」


「やだよ」


ひょいとかわす。だが棗は瞬時にこっちを向いて再び先程と変わらない速さで向かってきた。

ふむ、砂煙で他の生徒達には今は見えないよな。現に、


「どうなった!?」


「わからん!」


という声が聞こえる。んじゃ、この五神将様にはご退場願おうか。

棗の位置がわかると僕はそこに向かって棗よりもさらに速いスピードでやつに接近した。そしてすれ違い様に僕はたった一回だけ刀を振るった。その攻撃は…、

ザシュッ!


「がっ!?」


棗の腹部に直撃した。


「こんなとこか」


僕は刀を鞘に仕舞うと棗に近付いた。棗はというと、


「負け…た?俺が…?…ぐふっ!」


そう言って血を吐いて倒れた。一撃で倒せたらしい。


「達也様!?」


あ、さっきの男だ。さて、どーするのかな?


「くっ、いい気になるなよ、少年!次はこうはいかんぞ!」


「何度来ても同じだ。今回は加減したけど次は容赦しねーぞ」


男がこちらを睨んで言ってきたが、僕は逆に殺意を交えて睨み返した。男はその威圧に怯んだが、すぐに棗を抱えて退いてった。

ふぅ、無事に勝ったな。いやーよかった。しっかし棗はあんま強くなかったな。ま、もういっか。撤退してったんだし。

さて、まずは、


「大丈夫か?冬美」


未だに立てない冬美に手を貸してやることだな。いや、正しくは肩を貸してる。ゆっくり立って保健室に向かう。


「勝った…の?」


「ああ、勝ったぜ」


「あの五神将を相手に?」


「そうだ。なんだよ、勝ったんだしいいじゃねーか」


ひでーな、どんだけ疑うんだよ。


「秋渡君、君は一体…?」


こっちを見て冬美が尋ねてくる。もちろん、何者?ってことだろうな。


「深桜高校に通う一人の男子生徒の世刻秋渡だ」


そう答えてやった。けど冬美を見る限り納得してねーな。校舎を見ても驚きの顔が沢山あった。それもそうか。なんせ普通の男子が五神将を退けたってことだしな。


「しゃーねーなぁ……」


そこに恋華が駆け寄ってきた。お?星華もいるな。


「どした?」


「どした?じゃないよ!秋渡、怪我はない?」


どうやら心配で来てくれたみたいだ。怪我?どこも負ってないぜ?


「ああ、見ての通り無傷だ」


冬美を支えながら僕は腕を広げた。どこも痛くない。そりゃそうだ。一回も攻撃食らってねーし。


「……秋渡、凄い」


短い賞賛をくれる星華。


「ありがとな」


星華の頭を優しく撫でる。星華は顔を真っ赤にしてた。


「ねぇ、秋渡君。もしかして君、五神将?」


冬美が率直に聞いてくる。はぁ、ここまできたら言うしかねーか。


「保健室に着いたら教えてやる。恋華と星華はどうする?」


「私は行く。幼馴染みとして秋渡のことを聞きたい」


「……私も。秋渡のことを知りたい」


「…わかった。付いてきなよ」


そう言って保健室へ。冬美は痛みこそあるが目立った怪我はないそうだ。よかった…。


「なぁ、荒木あらき、これから大事な話があるから少し席を外してくれ」


荒木とは保健の教師だ。あ、女ね。


「わかったわ。関澤さん、少し安静にね」


そう言って荒木は出ていった。このあとに職員会議があるらしい。だからどっちにしても席は外しただろうがな。


「さて、まずは僕の正体を話す」


冬美はベッドから起き上がってこちらを見、恋華と星華は椅子に座って僕を見る。


「もうわかったと思うが僕は五神将のうちの一人だ」


そう言うと三人とも少し驚いたがすぐに真剣な顔に戻った。


「でも五神将の名はテレビとかでも出てたから五神将だったらすぐにわかると思うけど……」


「そうだな。たしかにそこでも知れるかもしれないがその時は四人しか公表されてないぞ」


「……そういえばそうね。……私も五神将なのになんで四人だけ?ってずっと思ってた」


「実はそれは簡単な話、僕はそいつらの召集に一度も行ってないからだ。だから名前も知らないし顔も知らない。棗も僕だとわからなかったのはそれもあるだろうな。ましてや僕は五神将としての気配を普段から消している。だから余計に気付かないと思うぞ」


他の五神将はまだわからんが棗は正体にも気付かず、一瞬で敗北した。しかも五神将は基本的に女子の味方をしない。だから余計に五神将だと思わなかっただろうな。


「ねえ、秋渡」


不意に恋華に呼ばれる。


「なんだ?」


「なんで私にずっと黙ってたの?」


幼馴染みだからお互いを大体知ってた僕と恋華。でも、


「黙ってたのは謝る。すまない。けど知ったら恋華は僕から離れたんじゃないのか?」


「え?」


「五神将がほぼ全員女子が気に食わないのはみんな知ってるだろ?」


僕は恋華だけでなく冬美、星華にも聞いた。


「「「うん」」」


「つまり知ったら恋華は僕を幼馴染みではなく、恐怖の対象として見てただろう」


「そ、それは…」


そう言うと恋華は否定できないためか俯いた。


「まあ仕方ないことさ。でも僕は恋華との関係を崩したくなかったから黙ってた。それだけさ」


そう続けると恋華はばっと顔を上げた。…少し顔が赤いけど大丈夫か?


「んで、僕が五神将って知ったけどどうする?僕は今まで通りが一番嬉しいが…」


「そんなの決まってるよ!私だって例え秋渡が五神将でも一緒にいたい!」


そう力強い発言に僕は笑った。


「ありがとな、恋華!そしてこれからもよろしくな!」


「うん!」


もういつも通りの恋華だった。さて、次はこの二人だな。僕が振り向くと星華は僕を真っ直ぐに見て、


「……私も例え秋渡が五神将でも変わらないよ。……私の大事な人だもん」


「…そか。ありがとな、星華」


いい親友を持ったな、僕も。さて、残るは、


「冬美、お前は?」


「テレビでの五神将は女の敵しかいなかったのにね。でも唯一女を助けてくれたあなたは他の五神将とは違う。だから私もなにも変わらないよ」


「はは、そうか。ありがとな」


みんな受け入れてくれた。いいやつばかりでよかったよ。



その後は恋華と星華は先に帰った。今は保健室で冬美と二人だ。あ、変なシチュエーションは想像するなよ?


「もし他の五神将がやってきたら僕が相手をするか」


不意にそう呟いた。そしたら、


「秋渡君を手伝えたら一番よかったんだけど、棗であれだから私じゃ無理かな」


そう冬美は悲しげに言う。でも棗にこそ敗れた冬美だけどあの側にいた男は絶対冬美なら勝てたと思うけどな。


「気にすんな。僕がやりたいだけだからな。とりあえず冬美はゆっくり休んでなよ」


「うん。ありがとね、秋渡君」


大分回復したのか、顔色がさっきよりもよくなってた。


「やれやれ、こうも早く五神将だってバレるとはなぁ…」


そうぼやく僕を見て笑う冬美。


「くすっ。五神将を倒しちゃったんだもん。それはバレるわよ」


「それもそうか」


棗はさぞ悔しいだろうな。一般人に、しかも今の世界では弱い男に敗れたんだからな。


「でも五神将の棗を負かした秋渡君なら他の五神将が来ても大丈夫よ、きっと」


僕の心を読んだかのようにそう言う冬美。だがそうは言っても他の五神将は恐らく棗よりも強いだろうな。


「できれば目立ちたくはなかったんだがな」


「もう遅いわよ。きっと明日は秋渡君の話で持ちきりね」


笑顔で言われた。明日からしばらくは疲れそうだ。はぁ…。諦めるしかないか…。


「それより、もう遅いしそろっと帰らねーか?それともまだ動けないか?」


気が付けば外はもう暗くなっていた。下手に遅いとこいつの両親も心配するだろう。


「そうね。な、なんなら秋渡君、一緒に帰らない?」


なぜかは知らんが急にもじもじしながら言う冬美。


「なんでもじもじしながら言うんだ?」


「い、言うのが恥ずかしいんだもん!」


恥ずかしいなら言うなよ。ま、今はこいつの護衛代わりになった方が懸命か。いつ棗以外の五神将が来るかもわからんしな。


「ふーん。でも一緒に帰るのは構わんぞ」


「え?」


え?じゃねーだろ。自分で言ったんだからよ。


「だから一緒に帰るのは構わんって言ったんだよ」


僕は再度同じことを言った。そしたら理解したのか少し微笑んだ。

なぜか頬が赤くなっていたけどな。


「顔が赤いけど大丈夫か?」


「だ、大丈夫だよ!うん!」


冬美、すっげぇ取り乱してるからそう言っても説得力ねーぞ。


「大丈夫ならいいか。んじゃ、帰るか」


「そ…、その前に一つ聞いていいかな?」


恐る恐るといった感じで冬美はそう言ってきた。どうしたんだ?


「どした?」


「しゅ、秋渡君って好きな人っている?」


顔を真っ赤にして聞いてきた。てか好きな人?


「いねーな。つーかなんでいきなり?」


「い、いないんだよね?」


「ああ」


なんでいきなりこんな話に?一体どうしたんだ?冬美。


「秋渡君!」


「お、おう、なんだ?」


いきなり凄まじい剣幕に少し驚いた。な、なんなんだ?


「私、秋渡君のことが好きです!だから私と付き合ってください!」


…………………………。

…………………。

…………。

……は?

はぁぁぁぁぁっ!?

え、なに?なんなんだ?え?なんで僕いきなりコクられたんだ?そ、そうか、きっとこれは夢なんだな!


「夢じゃないよ!」


「心を読むなよ!?」


でも夢じゃないんだな。現に少し頬をつねったら痛かったし。ふむ。

てかよく一瞬で冷静になったな、僕。あぁ、心を読まれてそっちに驚いたせいか。


「なら聞こう。僕のようなカスと付き合ってお前の評判が下がったらどうすんだ?」


「秋渡君はカスなんかじゃないよ!私はただ自分の好きな人と一緒にいたい。それだけだもん。周りの評価なんてどうでもいいよ!」


こいつは驚いた。こいつは僕と一緒にいれるなら周りの評価なんて関係ないらしい。冬美は周りの評価を気にするやつと思ってたから意外だな。てかカスじゃないってまさかの即答だった。


「そ、それで……、へ、返事は……?」


先程とはうって変わっての不安そうな声。

さて、流石にこれにはしっかり考えた方がいいな。

正直付き合ってもなにもないと思うが…。冬美は生徒会長だから忙しいだろう。ましてや僕達は学年が違う。だから二人の時間なんてそんなに取れないだろうと僕は思う。…が、恐らくそれを承知で言ったのだろう。けど、


「んー、悪いけど無理かな。冬美は生徒会もあるしこの学校の護り手でもある。そんなやつが彼氏ができて浮かれたなんてなってみろ。すぐに他の生徒会のやつらが反対してすぐに別れさせるだろ」


現に生徒会にいたとある生徒は彼氏ができたからと言って少し浮かれていたらある役員に色々されて二日で別れたらしい。しかも同時に生徒会も辞めさせられたらしい。なにがあったかは知らないが…。


「そんな理由でダメなの?」


泣きそうな声で冬美は呟く。いや、実際には涙を少し流していた。


「でも私はその子達とは違って例えなにを言われても別れるつもりはないよ。だから、あとは秋渡君の気持ちが知りたい…」


「……」


僕の気持ち、か。誰かと付き合うなんて考えたこともないし仮に付き合ってもなにをするのかがわからない。でもま、こいつは完全に本気だ。それは目を見ればわかる。今は涙目だがそれでも強い意志の目だ。だけど僕は気持ちの整理がつかない。


「少し時間をくれ」


そう言うしかなかった。



その後は学校を出て二人で帰り道を歩いている。だが僕と冬美は学校を出てからはずっと無言だ。僕はこいつと付き合うべきかで悩んでいる。冬美は恐らく僕がなんて返事をするのかが不安なのだろう、チラチラこちらを不安そうな目で見てきている。だが僕は返事はまだ出せない。さて、どうするよ、僕よ。

そう考えていたら冬美の家の近くに来ていた。


「じゃあね、秋渡君。いい返事をもらえることを祈ってるよ」


と言って帰っていった。

僕は少し憂さ晴らしに家に帰らず街に行くことにした。


短い対決でしたね。

そして冬美の衝撃の告白!

これに対して秋渡はどうするのでしょうかね。

それと事情を知らない恋華と星華はどうするのか、楽しみですね。



また、次回は新キャラが登場する予定です。

どういったキャラかはお楽しみってことで。



はぁ、文章力上げたいです。


とういわけで今回はここで失礼します。次回も読んで頂けたら幸いです!


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