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第五十六話 決意の明菜

朝飯を食べ、今日も学校なので登校をする。また朝から愛奈が迎えに来たが人数が人数だし恋華が凄く愛奈を睨んでいた。愛奈も負けじと睨み返しており、凄くめんどくさい状況になっていた。僕は溜め息を付きながら先に歩き出す。舞と明菜はすぐに気付き、すぐに追ってきた。恋華と愛奈も二人の後に気付き、やはり付いてくる。珍しく口喧嘩をしなかったな。いつもなら口喧嘩して少し時間がかかるんだが……。


「そういえば舞、知ってる?あの新しくできたクレープ屋」


「あ、それ知ってます!とても美味しいと評判なんですよね♪」


「うん。中でもイチゴチョコカスタードは甘さがあるけどオススメなんだって」


「ふわー。一度食べてみたいですね」


二人の会話を聞きながら歩く。いつもならばスマホの音楽を聞きながら登校するんだが今日はこれだけ人がいるからさすがにやめておいた。それにしてもクレープか。もう結構作ってないな。まぁクレープがそこまで好きってわけでもねーしな。甘いものは……うん、バレンタインで地獄を見たからな……。橋本と相澤にも食ってもらったけどそれでも消化するのが大変だった。胸焼けがやばかったな。


「そうだね。私、バイト探さなきゃな……」


「バイト?」


「うん。今手元にはお金ないから稼いで舞達に何か返したいし」


「そんなの気にしなくていいぞ。てか金はめっちゃあるからバイトしなくても平気だ」


「ううん、それでもしておきたい。恩を返したいし」


恩返しか。それなら家事をしてくれてるだけでも充分なんだがな。僕は明菜の顔を覗き見る。そこにはやる気やらなんやらに満ちている明菜の姿がある。前屋上で戦った奴と思えないほどに変わってるよな……。


「秋渡さん、秋渡さん」


愛奈に呼ばれ、僕は明菜から目を離して僕の斜め後ろにいる愛奈を見る。そしたら突然近付いてきた。が、どうやらキスを狙ったわけじゃなく、内緒で何かを話したかったみたいだ。


「あの子ってどういう経緯で秋渡さん達と同居になったんですか?」


これを聞いてそういや愛奈は知らなかったなと今思い出した。ただ言わなくてもこいつの場合どこからか情報を入手できそうな気もするがな。ま、こいつの性格上そんなことしなさそうだけど。けどどうする……。説明をしてやるべきなのか?正直これは話の中身が意外と重い。明菜のこともあるが櫻井や僕達のこともある。


「申し訳ありません、愛奈さん。これは少々複雑なことが起きた成り行きでして。なのであまりお話をするわけにはいかないことなのです」


こっそりと愛奈が聞いてきていたのだが、どこから話を聞いてたのかはわからんが舞が珍しく頭を下げていた。その行動に僕や愛奈はキョトンとしていた。明菜はと言うと少し寂しそうに、だがどこか嬉しそうにしながらも黙っていた。恋華はずっと黙っていた。どうやら恋華は話を聞いてから何かを考えているようでこの話になると高確率で黙ってしまう。


「あ、いえ、私も無理に聞こうとは思いませんので頭を上げてください、舞さん」


結構あたふたしながら愛奈はそう答えた。舞はそれを聞いてから頭を上げたが、どこかまだ辛そうな顔をしていた。今思えば櫻井や雷紅達は明菜にとっては親も同然と言ってもいい間柄だった。しかし今回僕が明菜と接触し、櫻井と対立して僕が殺してしまった。僕は思わず目を瞑ってしまい、少し俯いた。


「あ、あの……。本当にこんなこと聞いてしまってすみません……」


愛奈が舞と同様に頭を下げる。どこか暗い雰囲気になってしまった。


「いえ、今は無理だけどいずれ話します。必ず……」


明菜がそんな暗い雰囲気を飛ばすかのように、そしてどこか決心したかのように手をギュッと握り、僕達に告げた。そう、愛奈にではなく僕達に、なのだ。よくわからなからないが明菜が決めたのならば僕は口出しをする気はない。フッと軽く笑い、明菜に近付きただ一言だけ伝える。


「……頑張れよ」


僕は明菜の横に立ち、小さな声でそれだけを伝えた。このことに明菜は少し驚いたがそれでも少しだけ微笑み、一言。


「……ありがとう」


とだけ言った。


「さぁ、学校に行こうぜ、みんな。そろそろ行かないと遅刻しちまうからな」


僕は薄く笑いながらそれだけ言って歩き始める。


「うん!」「はい!」「わかりました、お兄様」「了解、秋渡」


それぞれ返事をして僕の後に付いてきて僕の横に並んで登校をしたのだった。


余談だが愛奈はまた腕に抱き付こうとしてきたのを恋華と舞に止められ、またいつもの口喧嘩を始めたのだった。なお、この時の僕は呆れて溜め息を付いていたが、明菜はこの光景を微笑ましく見ていたのだった。





ア「どうも、アイギアスです!」

秋「……秋渡だ」

美「美沙です」

星「……星華です」

ア「いやー、最近は暑いですね」

美「はい。汗で衣装がベタベタするんですよ、この季節」

秋「しかもあれだけ会場が熱狂に包まれればそりゃそうだろう」

星「……夏用に新しい衣装作ってみたら?」

美「夏用ですか……。うーん……」

星「……水着とかいいんじゃない?」

美「え、えぇっ!?そ、それはいくらなんでも無理だよぉ!」

ア「下心があるわけではないのですが聞きますね。どうしてですか?」

美「いや、だって、その……。えっと……」

秋「……なぜチラチラ僕を見る?」

ア「あぁ、そういうわけですか」

星「……そういうことね」

秋「え、二人はわかったのか?」

ア「はい」

星「……うん」

美「しゅ、秋渡君は……み、見たい?」

秋「何をだ?」

美「み、水着……」

秋「まぁ美沙の水着は貴重だから見れたらそりゃ嬉しいが……。僕に見せても平気なのか?」

美「あ、そ、そうなんだ……。うん、秋渡君なら……平気……」

ア「……初々しいですね」

星「……照れてる所、かわいい」

美「あう……」

秋「無理すんな。さて、終わろうか」

ア「ここですんなりと終わらせようとすることができる秋渡さんはさすがだと思います」

星「……同感」

美「しゅ、秋渡君……。今度、一緒に水着選んで……」

秋「……………………え?」

ア「じゃあ終わりましょうかね」

星「……そうね」

ア「では」

ア・星「また次話で!」


オマケ

秋「水着選ぶなら恋華や愛奈とかの方がいいんじゃ……」

美「ううん、私ね、秋渡君に選んでほしいな……なんて。秋渡君に似合ってるって言われたいし……」

秋「……僕にそういったセンスは求めてほしくなかったがな」

美「それでも秋渡君に選んでほしい。ダメ?」

秋「はぁ……。わかったよ。ただ、期待はするなよ?」

美「あ……。うん!楽しみにしてる!」

秋「……プレッシャーを与えないでくれ……って聞いてねーし……」

美「わー、楽しみだなぁ。これってデートになるよね……。気合い入れなきゃ!」

秋「美沙?」

美「ん?どうしたの?」

秋「……なんでもない。さ、終わろうか」

美「?うん!」

秋・美「ではまた次話で会いましょう!」

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