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第四十六話 生徒会室で起きたこと

結局校長室では危険視されてる生徒の名前が乗っている紙を見付けただけで本物の校長は見付からなかった。愛奈と美沙が乗っていた理由もわからなかった。とりあえず今日は怪我をしたということもあり、保健室で冬美達が起きるのを待とうと室川が提案した。僕と舞も反対せずにそれに従い、保健室へ足早に戻る。


ーー

保健室のドアを開け、中にいるパソコンで何かしている荒木を確認する。荒木もすぐに僕達に気付き、すぐに顔をパソコンから顔を上げこちらを見てきた。


「お帰り。何かあった?」


「何かとは?」


室川が疑問を抱き、荒木に質問で返す。たしか僕達は理由を言わずにここから出た。だから「どうしたのか」を聞くならばわかるのだが「何かあった」と聞いてくるのはおかしい。まるで今回のことを知っているかのような口振りだ。僕も室川と同感だ。


「……そんな怖そうな顔で睨まないでよ。生徒会室を見れば何かあったのはそりゃわかるわよ」


荒木は待てと言うように両手をあげ、何もしないことを表した。それよりもだ。生徒会室を見た?つまり現場を見られたということか。なぜこいつはもう見たんだ?僕はまた少し目を細め、荒木を見る。だがなぜ見たのかは荒木の次の言葉で納得した。


「部活やってる生徒が職員室に来て生徒会室から何か銃を撃ったかのような音がする!って言ってきたのよ。最初はみんな冗談だと思ったんだけど何十人も来たらさすがに冗談とは思えなくて何人かで見に行ったの。そしたら部屋は荒れてるわ血が飛び散ってるわ血塗れで倒れてる人がいるわだもの。けど一人の血にしては量が多いし保健室で手当てしてると思って私はここに来たの。そしたら関澤さんと室川さんと工藤さんがベッドで横になってるし一年の……えぇっと櫻井さん?もソファーで寝かされてるし。そして足を怪我した世刻君と手当てしてた世刻さんもいたってわけ。しかも生徒会室で何かあったのはもう一目瞭然。生徒会メンバーがみんな気を失ってるんだもの」


やれやれと言った感じで説明をしてくれた荒木。なるほどな。確かにあの銃声なら外まで響くわな。そりゃ部活してた奴等は気付くわ。


「……ところで私から質問してもいいかしら?」


「なんでしょうか?」


「あの倒れてたのって櫻井校長よね?なんで?」


荒木が手を上げて室川がそれに答え、荒木が質問をしてきた。放置してたからな……。室川は答えられないのか僕をチラリと見てきた。荒木もそれにつられて僕を見てくる。僕は「はぁ……」と溜め息をついてから答える。さすがに誤魔化すのは無理だからな。


「まずこの話をしてからだな。信じる信じないはあんたの勝手にしろ」


「間違いなく今から聞くことは事実だろうから信じるわ」


「……なら率直に言う」


僕は荒木の目を見て嘘を言ってないことを確認してから一旦言葉を区切り、荒木の目を見て言う。


「倒れていた校長は本物じゃない」


なので本当にただ事実を伝えただけだった。


ーー

「……え?」


荒木はさすがにポカーンとなっていた。そりゃそうだ。職員会議などで仕切っているであろう人が本物じゃないと言われれば誰でも驚く。同じ立場なら僕でも驚く。


「もう一度言うか?」


「あ、いや、大丈夫よ」


やはり混乱したか。ま、そりゃそうか。僕は荒木を見てまだ混乱してることを確認し、冬美と工藤の様子を窺う。とはいえカーテンがしてあるので起きてるのかはわからないが……。けど工藤はともかく冬美は多分まだ寝てるだろう。勘だけどな。顔を荒木の方に向けると荒木は混乱が収まったのか、僕の方へ向いた。


「そっか……。てことは全員騙されてたってことね」


「ああ。そうなるな」


僕や冬美も気付かなかったからな。僕は元々校長の顔を覚えてなかったってのもあるが……。


「じゃあ本物は一体……」


「それがわからないから今僕達は校長室を見てきた。どこかに隠されてると思ってな。まぁいなかったが」


僕は手を上げてやれやれと呟く。まぁ何も発見がなかったわけでもなかったがな。あの紙のおかげで狙われるのが誰かがわかったしな。


「とにかく偽者だったのはわかったけど銃声は?」


「それはあいつが撃ってきた」


「私もろとも殺そうとしてね」


僕は自分の言葉に付け足してきた声の方へ向く。そこには未だにソファーで横になっていた明菜が目を覚ましていた。


「え?え?」


荒木は先程よりも驚いた顔をする。室川と舞も黙って聞いていたが驚いていた。


「……起きたか」


僕はそれだけを言う。心配とかそんなことは何もしていない。敵対してる相手だからな。


「……世刻秋渡。なぜ私もあの人みたいに殺さなかった?」


「え?」


さすがにこれは聞きのがさなかった荒木。ここで言うあの人は櫻井のことだ。それは全員理解している。だが倒れてたのは誰かは知ってたが誰が殺したのかはさすがにわからなかったらしい。荒木は僕に確認するように見てくる。だが僕はそれを無視して明菜を見続ける。


「お前には聞きたいこと……いや聞き出すことがあったからな」


「……話すとでも?」


「話さなければお前のプライドをズタズタにするだけだ」


「……鬼畜ね」


「何とでも言え」


「ふぅ……。けど今はしないのね」


「さすがにな。個人的に知りたいことだからな」


「スリーサイズとか?」


「そんなの聞いてどうする……」


こいつは少しおかしなことを言うな。舞の視線が痛い。


「私のスリーサイズくらいなら答えるわよ?」


「そこから離れろ」


僕は少し呆れながらそう言う。するとだった。


「ふふ……」


明菜が少し笑った。それは屋上で対立した時のような狂ったような笑いではなく、一人の女性の笑い方だった。これには僕だけでなく室川も驚いていた。舞と荒木はわかっていないがな。というか荒木は話について行けてないと思う。


「どうした?」


僕は明菜に尋ねる。


「ごめんなさい。こんな風に会話することなんて今までなかったから……」


急に重い話をしれっとしてきた。なんかそれだけで空気が凍った気がした。


「櫻井さん?どうし……」


「荒木。余計な詮索はやめておけ。死にたくなけりゃな」


僕は荒木が言いかけたことを遮って半ば脅しをかけながら黙らせる。僕は舞と室川の方へ向き、


「二人とも荒木への説明は頼む」


「承りました、お兄様」


「わかったわ」


荒木への説明は二人に任せ、僕は近くの椅子を引き、ソファーの側で座る。明菜は僕の行動をただ見てるだけだった。



ア「どうも、アイギアスです!」

秋「秋渡だ」

明「明菜です」

ア「今回は敵の明菜さんですね」

明「もっとも、今は人質みたいなものだけどね」

秋「その人質がこんなところで呑気に話してると」

明「そうとも取れるわ」

秋「そうとしか取れねーよ」

ア「まぁまぁ。ここでくらいいいじゃないですか」

秋「別にそんなに怒ってるわけじゃない」

明「貴方はその仏頂面をなくさないと説得力がないわね」

秋「うるさい」

ア「本当に落ち着いてくださいよ!」

秋「…………」

明「ところで貴方はなぜオッドアイなの?」

秋「あー、これは生まれつきだからなぁ……。それしか言えねーわ」

明「そうなのね」

秋「お前はなぜそんなことを聞いてくるんだ?」

明「ふと気になっただけよ」

秋「そうか」

ア「キリがいいのでここで終わりにしましょう」

秋「ああ、わかった」

明「終わるのは早いのね」

ア「では!」

ア・秋・明「また次話で会いましょう!」

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